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Q. ABEMAがワールドカップ放映権に約200億円を投じた理由とは?

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ヒント:サイバーエージェントの事業ポートフォリオを考えるとその理由が見えてきます。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

2022年11月から開幕している「FIFA ワールドカップ2022カタール大会」は世界最大級のスポーツイベントの一つです。本大会の放映権をサイバーエージェントが運営するインターネットテレビ局の「ABEMA」が獲得し、日本初の全64試合無料生中継を行うことが話題となりました。

サイバーエージェントは、以前からABEMAに積極的な投資を行っており、人気アニメや恋愛番組など幅広いジャンルを取り扱い、2022年夏には世界最高峰のサッカーリーグであるプレミアリーグの2022-2023シーズンの放映権も取得しています。

本日は、積極的に投資を継続しているABEMAが、約200億円超のワールドカップ放映権を獲得した理由について考察していきます。


ワールドカップの盛り上がりを支えるABEMAの全試合無料放送

FY2022 4Q Presentation Material

ABEMAは日本史上初めて、全64試合を無料生中継することを発表し、元日本代表である本田圭佑氏をGM(ゼネラルマネージャー)に起用するなど、非常に盛り上がりを見せています。

今回のワールドカップの放映権料は公式には公表されておりませんが、以下の記事を参考にすると、ABEMAが投資したとされる放映権料は約200億円と推定されています。

参考:サッカーW杯無料生中継を可能にした「ウマ娘マネー」のスゴい力(FRIDAY DIGITAL 2022/5/12)

これまでABEMAの過去最高のWAU(Weekly Active User:1週間あたりの利用者数)は1,896万人でしたが、ABEMAのプレスリリースで、11月23日に開催された日本vsドイツ戦の1日当たりの視聴者数は1,000万人を超えて、史上最高記録を更新したと発表しました。

その後、11月27日の日本vsコスタリカ戦では、スポニチの報道によると、ABEMAの1日の視聴者数が1,400万人を突破したとのことです。

さらに、12月2日の日本vsスペイン戦終了後、サイバーエージェント代表の藤田氏のツイートで、「ABEMAが過去最高視聴を更新した」ことを明かすなど、短期間で過去最高記録を更新し続けています。


ワールドカップ放映権の仕組みと数十倍に跳ね上がるワールドカップ放映権

ご存知の方もいるかも知れませんが、ワールドカップの放映権取得までの仕組みを簡単にご紹介します。

02年の日韓合同開催から18年のロシア大会までのワールドカップはオリンピックと同様に、放映権料の抑制とテレビ局同士の連携で番組制作を効率化するために、NHKと民放で構成する「ジャパンコンソーシアム」(JC)が、FIFA(国際サッカー連盟)の仲介役を務める電通を経由してワールドカップ放映権を購入していました。

しかし、日本におけるワールドカップ放映権料は、98年フランス大会の5.5億円から18年のロシア大会では約300〜600億円まで高騰したと報じられています。今回のカタール大会で、電通がJCに提示した金額は200億円を超え、交渉が難航したと一部のメディアでは伝えられていました。

しかし、そこにABEMAが単体で約200億円の投資を決定したことで一気に話が進み、NHKや民放各社の放映権料を合わせて300億円超で妥結したようです。


テレビ局が放映権獲得を渋った訳

前述の通り、カタール大会の放映権料の交渉は難航したようですが、その理由は主要テレビ局の財務状況を見るとよく分かります。

上記は主要テレビ局のFY2022の業績です。いずれのテレビ局も売上は微増からほぼ横ばいで推移しています。さらに営業利益は通期で約85億円〜約586億円規模のため、放映権料200億円という大規模な投資判断は簡単にできるとは言い難いでしょう。

日本vsコスタリカ戦の世帯視聴率は42.9%、瞬間最高視聴率は53.8%とかなりの高視聴率です。(この秋の民放ドラマで最高視聴率の「相棒 season21」の平均視聴率は14.6%)
しかし、いくら視聴率が高いと言っても、高額な放映権料を広告費だけでペイすることはかなり難しいと予想され、各局が当初の電通の提示額に尻込みしたことも納得できます。

ここまで、ワールドカップの放映権獲得の仕組みと、放映権料が高騰する中で主要テレビ局との交渉が難航した背景を紹介しました。

記事の後半では、ABEMAが200億円もの巨額投資を行った理由をサイバーエージェントの決算をもとに解説しています。

この記事は、メディア事業に従事されている方や、企業の経営分析や投資判断に関心がある方に最適な内容になっています。


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・Q. ABEMAがワールドカップ放映権に約200億円を投じた理由とは?の答え
・サイバーエージェントにとって200億円のインパクトはどれほどのものか?
・サイバーエージェントの強気の投資を支える稼ぎ頭は?
・不安要素を挙げるとすると?
・まとめ


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