Q. フードロス削減ECクラダシが上場!激安商品の原価率は?
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先日、フードロス削減を目的としたECを運営する株式会社クラダシ(以下、クラダシ)の新規上場が承認されました。
クラダシは、まだ食べられるにも関わらず、賞味期限間近という理由などによって捨てられてしまう可能性のある食品を激安価格で販売する「kuradashi」を運営しており、利用したことがある人もいるのではないでしょうか。
本日は、そんなクラダシが取り組むフードロス問題や、激安価格で販売するための商品仕入れの仕組み、同業他社との比較を交えた原価率、クラダシの今後の成長戦略について解説していきます。
クラダシが新規上場承認
クラダシは、フードロス削減を目的としたEC事業を運営する企業です。
具体的には、まだ食べられるにも関わらず、捨てられてしまう可能性のある食品などをお得な価格で販売するECを運営しています。
また、クラダシは売上の一部を環境保護・災害支援などに取り組む団体へ寄付しています。
2014年7月に設立後、2022年にロート製薬や博報堂DYベンチャーズが運営するCVCファンドなどから総額6.5億円の資金調達を行い、2023年6月30日に東証グロース市場に上場予定(想定時価総額は53.8億円)です。
クラダシの事業概要
クラダシは、メーカーや食品卸、小売店といった廃棄予定の在庫を持つサプライヤーと、商品をお得に購入したい・社会貢献したい消費者を結ぶECプラットフォームの「kuradashi」を運営しています。
上図のように、kuradashiでは食品やお菓子、飲料、日用品、美容・健康などの多数のジャンルがあり、50%〜70%超といった高い割引率が設定された商品が掲載されているため、消費者はお得に購入することが可能です。
商品詳細ページでは、その商品の具体的な説明に加えて、「賞味期限間近」という旨と、具体的な賞味期限もきちんと記載されています。
また、購入代金の一部が指定した支援先に寄付される仕組みとなっており、kuradashiで商品を購入すると、フードロス削減だけではなく環境保護や災害支援などを行う団体への貢献ができるソーシャルグッドな設計になっています。
■売上は順調に成長、ただコストも増加
クラダシの売上は、昨年度の2022年6月期が年間20.74億円(YoY+64.1%)で、今年度の2023年6月期第3四半期累計は22.25億円と、9ヶ月間で既に前年の売上を超えています。
一方で、経常利益は2022年6月期から積極投資を行っている為、2023年6月期第3四半期累計では▲1.26億円と、赤字幅が拡大しています。
クラダシが解決を目指すフードロス問題
クラダシは「日本で最もフードロスを削減する会社」というビジョンを掲げています。
フードロスは日本だけではなく、世界的に大きな社会問題の1つです。
消費者庁消費者教育推進課が公開している参考資料を見ると、日本の食品廃棄等は年間2,372万トンで、そのうち食品ロス(本来食べられるのに捨てられる食品)は522万トンです。
上図の通り、世界の食品廃棄量は年間13億トンであることから、日本は世界の約1.8%の食品廃棄が行われており、概ね人口比と同様です(日本と世界の人口比は、約1.3億人 ÷ 約80億人 = 1.6%)。
参考:食品ロス削減関係参考資料
上図右(円グラフ)のフードロスの発生要因を見ると、事業系(食品関連事業者)で53%、家庭系(一般家庭)で47%と、事業系と家庭系でほぼ1:1の関係です。
このうち、クラダシの顧客は、事業系のうち外食産業(16%)を除いた「食品製造業」「食品卸売業」「食品小売業」の3つであり、日本のフードロス全体の37%を占める領域において、フードロス削減を目指している事が分かります。
クラダシの肝となる商品仕入れの仕組み
クラダシは、通常ルートである1次流通、中古販売である2次流通に対して、新品にも関わらず、流通過程で廃棄されてしまう商品を「1.5次流通」させることにより、フードロスの削減を進めています。
具体的には、メーカー・食品卸・小売店などのパートナーが、(1)在庫型(クラダシが在庫を買い取った上で、クラダシの倉庫から消費者へ発送)か、(2)マーケットプレイス型(商品を掲載した上で、購入された数量分をパートナーから発送)を選択して、消費者に商品を届けています。
パートナーの事業性質から、おそらく在庫管理が難しい小売店などはクラダシが在庫管理から配送までを行う「在庫型」、メーカーや食品卸は「マーケットプレイス型」を選択することが多いと思われます。
ここまで、クラダシの会社概要や事業内容、決算状況を整理してきました。記事の後半では、激安商品を取り扱うクラダシの原価率について、他EC事業者との比較を交えながら見ていき、成長戦略も解説します。
この記事は、マーケットプレイスやプラットフォームビジネスに従事している方やフードロス削減に関心がある方に最適な内容になっています。
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