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同じシェアリングエコノミーでもAirbnbの方がUberよりも優れているのは何故か?

今日はシェアリングエコノミーの話をしたいと思います。先日友人と話をしている際に、AirbnbとUberの違いについての議論になりました。この議論が非常に面白く、他の友人にも評判が良かったので、披露してみたいと思います。今日のnoteは普段とは少し異なり、両者とも非公開企業であるため、決算の詳細というよりは、少し抽象的な話になることを最初にお断りしておきます。 

Airbnb Enters the Land of Profitability」という記事にあるように、Airbnbは2016年の下半期に黒字化を達成するなど、非常に順調に成長しています。

一方でUberの方は、売上規模こそ拡大しているものの、内部でのスキャンダルが多発したり、異常に大きな赤字を出していたりと、Airbnbほど順調には見えません。

両者ともシェアリングエコノミーの代表銘柄と言われますが、一体何が違うのでしょうか。


シェアリングエコノミー=「ネットワーク外部性」で勝敗が決まるビジネス

始めに両者の共通点をあげてみたいと思います。両方ともシェアリングエコノミーと言われるビジネスモデルです。世の中にある稼働していない資産を、利用者同士が貸し借りする仕組みを提供し、そこで手数料を得るというモデルになっています。

Uberは、車を持っている人であれば誰もがタクシーのようなビジネスを簡単に行える仕組みを提供しています。

ちなみに、個人が所有している自動車の稼働率は10%以下と非常に低くなっており、動いていない残りの90%の時間を使ってタクシーのようなビジネスを誰もが行えるようにする、と言うのがポイントです。

Airbnbは、自分が所有あるいは賃貸している不動産を、自らが使わない時間だけ他人に貸すことができる、という仕組みを提供しています。いわば誰もが小さなホテルを経営できるというような仕組みです。

例えば自分が2週間海外旅行に行く期間だけ、自分の部屋を第三者に貸す、ということができるようになります。あるいは観光地で不動産を所有している場合、アパートとして貸し出すのではなく、数日単位で別々の人に少しずつ貸し出して、より大きな利益を得る、ということも可能になる場合もあります。

これらのシェアリングエコノミービジネスの特徴としては、非常に強い「ネットワーク外部性」が働く、ということに尽きると思います。

ネットワーク外部性、というのを、もう少し分かりやすく説明してみます。

例えばUberの場合、多くの運転手が登録すればするほど、Uberを利用したい乗客が簡単に車を捕まえることができるため、利便性が上がります。逆にたくさんの乗客ユーザーが使えば使うほど、運転手側から見るとより多くの回数、乗客を乗せることができるため、ビジネスとして魅力的になります。

Airbnbの場合、部屋を貸したい人が多く登録すればするほど、借りたい人から見れば魅力的なマーケットプレイスになります。逆に部屋を借りたい人が多ければ多いほど、部屋を貸す人にとっては多くの収益が得られるマーケットプレイスになります。

ネットワーク外部性とは、このようにサービスの提供者と利用者の双方を囲い込む仕組みのことを言います。 サービスの提供者と利用者の両方をたくさん囲い込みことができれば、マーケットプレイスとしての魅力が大きくなり、それ自体が競争優位になるという仕組みです。

以上がUberとAirbnbに共通する点ですが、この二者に違いがあるとすれば、一体どういった点でしょうか。


UberとAirbnbの違い = サービス利用者と提供者の両方を兼ねるユーザーが多いかどうか

一番大きな違いは、サービスの利用者が一度サービスを利用した後、サービスの提供者に回る(あるいはその逆の)可能性が高いかどうか、だと思います。

Airbnbの場合、Airbnbで部屋を貸したことがある人のほとんどは、Airbnbを使って実際に部屋を借りたこともあるのではないかと思います。

例えば海外旅行に行って、Airbnbを使って部屋を借りてとても良い経験をし、自分の家に帰った後に自分の部屋を貸し出してみる、という経験をしている人が、非常に多いのではないかと思います。

一方で、Uberのサービスを乗客として使ったからといって、必ずしもUberの運転手になりたいと思う人は多くない気がします。

このように、サービスの利用者がサービスの提供者になるかどうか、というのは非常に大きな違いをもたらします。特にユーザー獲得の中でも、サービスの提供者側の獲得コストが圧倒的に違ってきます。


メルカリと楽天市場・ヤフーショッピングの違いも同じ仕組みで説明できる

シェアリングエコノミーとは関係ありませんが、メルカリは、Airbnbに非常に似た仕組みを有していると言えるでしょう。

メルカリで物を販売したお金を使って、別の物を購入する、あるいは逆に、メルカリで何かを購入した後にメルカリで何かを出品する、という具合に、サービスの提供と利用(この場合は売り手と買い手)の、両方を行っているユーザーがかなり多いのではないかと思います。

一方で、楽天市場やヤフーショッピングといったBtoBtoC型のマーケットプレイスの場合、恐らく例えば楽天市場で何かものを買ったユーザーが、楽天市場でお店を始めようと思う確率は、非常に低い気がします。

楽天は基本的に地道な営業活動によって店舗獲得を行なっており、ユーザー獲得・購買者の獲得とは全く連動していないと言ってもいいでしょう。こちらはどちらかと言うと、Uberに近い形になっていると思います。


非常に抽象的な議論になってしまいましたが、Airbnbやメルカリのように、1人のユーザーがサービスの提供者側と利用者側の両方担うようなサービスは、マーケットプレイスの中でもさらに強固なネットワーク外部性を有する可能性がある、という話でした。


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