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Q. YouTuber事務所UUUMに所属するYouTuberが1カ月に投稿する動画本数は何万本か?

A.所属YouTuberの投稿動画本数の合計は1カ月あたり平均26,936本


この記事はスギヘイ(https://twitter.com/sugi_invest)さんとの共同制作です。

スギヘイさんは、証券会社や調査会社で約10年のキャリアをお持ちで、新しいビジネスやネット企業をリサーチするのが好きなライターさんです。ご自身の Twitterでは、投資初心者に役立つ情報なども提供しています。

今日はYouTuber事務所の最大手「UUUM(ウーム)」について見ていきたいと思います。

UUUMは、所属するYouTuberの活動をサポートする「タレント事務所」と考えるとイメージしやすいかもしれません。2013年に前身のON SALE株式会社がYouTuberの動画をオンライン販売に利用するために設立されました。そこで個人活動のYouTuber達が様々な課題を抱えていることを知り、YouTuberのマネジメント事業を中心に据え、2014年に社名をUUUM株式会社に変更しました。2017年7月に東証マザーズに上場しています。HIKAKIN氏や、はじめしゃちょー氏をなどの多くの有名YouTuberが所属しており、8,000以上のYouTubeチャンネルに対してマネジメントや動画制作サポートを提供しています。

そのUUUMの成長要因や収益構造、将来のビジョン、今後の成長戦略も詳しく決算説明会資料で記載されています。具体的にはYouTubeというプラットフォームに依存しないための戦略、つまり「脱プラットフォーム戦略」についても説明されています。

UUUMについて詳しく見た後に、「タレント事務所」という点では競合とも言える老舗の大手タレント事務所で東証一部に上場している株式会社アミューズ(1977年設立。所属タレントは、サザンオールスターズ、福山雅治、神木隆之介、賀来賢人、吉高由里子、上野樹里など)と比較分析をしていきたいと思います。

UUUM 2019年5月期決算説明資料(2019/10/11)


動画広告市場はどれくらい伸びるのか?

まず動画広告市場の成長率を見ていきましょう。説明会資料に市場規模と今後の予測が掲載されています。

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2015年から2024年(予測)までの動画広告の市場規模を見ると、2015年の535億円から、2024年の4,957億円と、10年間で約10倍になると予想されています。この数字を使って市場の成長率を計算してみましょう。

2015年~24年でCAGR(Compound Annual Growth Rate=年平均成長率)を算出すると、28%の成長率となります。同資料で他のマスメディアはマイナス一桁の成長となっているのに対し、年平均+28%の成長をし続けている急成長市場です。

この動画広告市場の推移を見ると、企業などの広告主がテレビなどマスメディアから、動画をはじめとするネット媒体へ広告をシフトしていることが分かります。


UUUMの成長率は?

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UUUMの2019年5月期通期の売上は約197億円で前年同期比+68%、粗利益は約54億円で前年同期比+59%、営業利益は約12.5億円で前年同期比+74%でした。

先ほどの市場全体の成長率28%と比較しても、高成長な事が分かります。

このP/Lを見て、営業利益率が6.3%と意外に低いなという印象を持った方も多いかもしれません。異なる事業やビジネスを比較する時には営業利益を使って比較することが多いですが、UUUMのような成長企業や、投資フェーズの企業は粗利益率を見るとまた違った見方ができるかもしれません。UUUMの粗利益率は2019年5月期が27.4%、2018年5月期は29.0%と30%近い水準です。

ここから販管費で事業投資や販促費が差し引かれ、営業利益は6.3%となっています。繰り返しですが、今は投資フェーズなので多くの販管費が必要ですが、仮に投資フェーズが終われば、営業利益が更に改善していくのではないでしょうか。

UUUMにとしても、現在は売上拡大フェーズとしており、中長期的には営業利益率10%~15%を目標としています。粗利益と販管費の中身を詳しく見てみると、いつもと違った見方ができるかもしれません。


UUUMの収益構造、ビジネスモデル

著しい成長をしているUUUMですが、ビジネスモデルや収益の構造がどのようになっているかを見ていきたいと思います。

基本的なビジネスモデルは、UUUMは様々なパートナー企業と提携しており、YouTuber(UUUMではクリエイターと呼ばれます)に対して、撮影のサポートからYouTuberを広告などに採用したい企業の紹介など幅広い収益機会を提供しています。

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YouTuberにとってはUUUMに所属することで、自らのYouTube収入だけでなく、企業広告のオファーがきたり、素材を提供してもらったり、動画制作サポートを受けられるというメリットがあります。その代わりにUUUMに所属したクリエイターはYouTubeチャンネルを作成する必要があり、そのチャンネルの再生数に応じて広告収入がUUUMに入る形となります。

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決算説明資料の6ページにセグメント別の売上が記載されています。

UUUMの事業は主に以下の4つです。
(1)アドセンス:YouTubeからの広告収入(売上構成比:約56%)
(2)広告:所属クリエイターと企業のタイアップ案件(同:約24%)
(3)クリエイターサポートその他:クリエイターのグッズ、イベント運営など(同:約13%)
(4)自社サービス:自社チャンネルやゲーム等(同:約8%)
  *売上構成比率は2019年5月期通期業績の数値を使用

上のグラフから分かるように、アドセンス事業の広告収入が大半を占めています。つまり、YouTubeからの広告収入がUUUMの売上のほとんどを占めている状況です。

この4つの収益の構造を詳しく見た後に、大手タレント事務所のアミューズとの比較とUUUMの抱えるリスクと今後の成長戦略に関してこの後分析していきたいと思います。

この記事は、動画ビジネスに携わっている方、広告ビジネスに携わっている方、タレントマネジメントの仕組みに興味がある方に最適な内容になっています。


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・競合アミューズとの比較
・UUUMとアミューズのKPIの違い
・UUUMの脱プラットフォーム戦略とは?
・まとめ

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