Q. LINE Payのアクティブユーザーあたりの獲得コストは?
Q. LINE Payのアクティブユーザーあたりの獲得コストは?
A. 1KYCユーザーあたり約10,000円。
*KYC = Know Your Customer: 顧客確認の意味。登録の際に本人確認を取る一連の手順や書類も指します。
本文では本人確認が取れているユーザーをKYCユーザーと記しています。
2019年4月〜6月期のLINEの決算で「LINE Pay」に関して凄まじい数字が公開されていたので、今日はそれを取り上げたいと思います。
LINE株式会社 2019年12月期 第2四半期決算説明会 プレゼンテーション資料(2019/7/24)
はじめに決算の概要を見ていきましょう。
セグメントが「コア事業」と「戦略事業」と二つに分かれています。コア事業は、四半期の売上が484億円、前年同期比+8.6%と伸びが鈍化してきています。
一方で、戦略事業は売上が70億円、営業赤字が▲235億円と戦略事業に約300億円もの巨額な投資を行っていることがわかります。
この300億円赤字の内訳は、大半がLINE Payのキャンペーン費用だと推測されます。今日はその辺りを詳しく読み解いていきたいと思います。
LINE Payのビジネスモデル
LINE Payのビジネスモデルを見てみましょう。おそらくこのスライドは今回初めて追加されたのではないかと思います。
ビジネスとしては三つのビジネスモデルが想定されており、一つ目は広告、二つ目はOMO、三つ目は金融と記載されています。
*OMO=Online Merge Offline:オンラインとオフラインの融合
中国の「Alipay」や「WeChat Pay」などの成功事例を見ると、この三つにビジネスモデルが集約されており、中国モデルを着実にコピーしていくのではないかと考えられます。
LINE Payの1ユーザーあたりの月間消費額
LINE Payの「グローバルにおける1ユーザーあたりの月間消費額」を簡単に見ておきましょう。
取扱高が四半期あたり2,860億円、MAU(Monthly Active User:月間利用者)が741万人なので、単純計算すると1ユーザーあたりの月間利用額は12,865円になります。
個人的な印象ですが、1ユーザーあたりの月間利用額が非常に大きい気がします。別の言い方をすれば、LINE Payはかなり高い頻度で使われる決済手段になりつつあると言えるのではないでしょうか。
決済アプリは「習慣化」が最大の壁
ここからは、日本国内のLINE Pay事業を深掘りしていきたいと思います。
初めにアクティブ率ですが、登録ユーザー数が3,600万人を超え、国内のMAUは490万人となっているので、アクティブ率は13.6%ということになります。
この数字を高いと見るか低いと見るかですが、LINEがメッセンジャーアプリとして毎日使われていることを想定すると、LINE Payに登録するフェイズと、実際に決済手段として利用するフェイズには大きな隔たりがあると個人的には見ています。
以下では、LINE Payの決算から読み取れる非常に特徴的な数字をいくつか紹介した上で、LINE Payの強みというものを分析していきたいと思います。
この記事は、キャッシュレス決済事業に携わっている方、FinTech事業に携わっている方、その中でも特に決済関連ビジネスを担当されている方に役立つ内容となっています。
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