Q. リモートアシスタントのキャスターが上場、高水準の売上総利益率を実現する仕組みとは?
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2023年8月30日、リモートアシスタント事業を展開する株式会社キャスター(以下、キャスター)が東証グロース市場に上場承認されました。
キャスターは2014年に設立された企業で、幅広い業務をサポートする「CASTER BIZ アシスタント」などの、リモートアシスタントサービスを展開しています。
そんなキャスターは、類似したビジネスモデルを展開する企業と比較して、高い売上総利益率を誇っています。
コロナによって、リモートワークを取り入れる企業がかなり増えた今日、この記事ではキャスターの事業内容や決算情報、高い売上総利益率を実現できる理由について解説していきます。
キャスターが新規上場
キャスターは2014年に設立されたリモートアシスタントサービスを提供する企業です。具体的には、人材不足の企業などから仕事を受注し、その仕事を全国のリモートアシスタントが代行します。
2023年8月30日に東証グロース市場への上場が承認され、同年10月4日にIPO(株式公開)予定で、想定時価総額は12.4億円です。
キャスターは2022年2月に約13億円の資金調達を行っており、スタートアップの情報をまとめているユーザベースのINITIALによると、当時の同社の想定時価総額は123億円と推察されていることから、今回のIPOは大幅なダウンラウンドとなります。
また、2023年上半期のIPO案件と比較すると、キャスターの想定時価総額12.4億円は小規模なため、小型のIPO案件と言えるでしょう。
参考:2023年上半期のIPO動向について(KPMG あずさ監査法人)
キャスターの主要事業「WaaS事業」とは?
まずは、キャスターの事業内容について整理しましょう。
キャスターは大きく分けて、(1)WaaS事業と、(2)その他事業の2つを展開しています。
(1) WaaS事業
WaaS(Workforce as a Service)事業はさらに、(1-1)CASTER BIZシリーズと、(1-2)My Assistantの2つに大別できます。
(2) その他事業
その他事業では、顧客に対して全国のアシスタントを派遣・紹介する「在宅派遣」や「Reworker」などを提供しています。
柔軟なサービス展開
前述のWaaS事業では、採用や経理・労務・マーケティングなどの様々なサービスを展開することで、幅広いバックオフィス業務を代行しています。
また、記事執筆時点では、CASTER BIZシリーズは月額10万円以上の価格設定である一方で、My Assistantは個人での利用もできるよう月額4万円と提供価格を抑えることで、多くの顧客に対して、柔軟かつ幅広い選択肢を提供することを可能にしています。
売上は4期連続で前期比約50%超えの急成長
上図のように、キャスターの売上は右肩上がりに増加し続けており、前年同期比成長率は約+50%超を実現しています。冒頭でも記載した通り、キャスターにとってコロナによるリモートワークの普及はかなりの追い風となったことは間違いないでしょう。
一方で、直近期である2023年8月期(第3四半期累計)の売上は31億円のため、過年度の売上成長率と比較して、2023年8月期通期の売上成長率はやや低下するかもしれません。
売上総利益率は40%前後で推移
前述の通り、キャスターの主要事業であるWaaS事業は顧客とアシスタントをマッチングするビジネスモデルです。
一般的に、アシスタントへの報酬は売上原価に計上されることを加味すると、キャスターが提供するプラットフォームの価値を測るためには、「売上総利益率」が重要な指標となります。
キャスターの売上総利益率を見ると、2020年8月期以降は概ね40%前後で推移しています。
事業性質は異なるものの、同じく自社の担当者が介在してマッチングする事業の参考例として、クラウドワークスのエージェントマッチング型事業の売上総利益率を見ると32.3%であることから、キャスターの売上総利益率の高さが伺えます。
なぜ、このような高い売上成長率を実現することができるのでしょうか?記事の後半ではこの理由とキャスターのKPIから分かる改善点について考察します。
この記事は、プラットフォームビジネスに従事している方や、利益率を高める事業戦略に関心がある方におすすめの内容になっています。
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