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世界最大の動画配信サービスNetflixの5つのここが凄い

2016/4/8 2:35am 訂正: コンテンツ調達費のところで、ドル=>円の変換が一部間違えていましたので修正しました。(ドル表記は間違えていませんでした。)

今日は、要望が多かったNetflixのビジネスを見てみたいと思います。


Netflixとは

Netflixとは、月額課金で映画やテレビなどの動画がストリーミングで見ることできるサービスです。

アメリカから始まったサービスですが、世界60カ国以上でサービス提供されており、合計で6900万人の有料加入者がいます。(アメリカが4300万人、アメリカ外が2600万人)

2015年10-12月期の決算を見てみると、2015年通年での売上が$6.78B(約7400億円)、営業利益が$306m(約340億円)という規模感です。売上は、日本のネット企業だと楽天とほぼ同程度というスケールです。


では、今日も恒例の5つの「ここが凄い」という形で整理したいと思います。


ここが凄い#1: 郵送DVDレンタルから動画ストリーミングへの見事な事業転換

Netflixの創業は1998年。動画ストリーミング事業に転換したのが、2011年です。それまでは、郵送DVDレンタル事業が主な事業でした。

こんな形でDVDが送られてきます。新しいDVDを借りたい時は、古いDVDを送り返すという形です。日本でもツタヤが似たようなビジネスをしていたかと思います。

Netflixが凄いのは、郵送DVDビジネスでシェアNo.1だったにも関わらず、自ら率先して、動画ストリーミングビジネスに事業を転換した点です。通常、シェアNo.1のプレーヤーは、所謂「イノベーションのジレンマ」に陥り、事業転換が遅れがちですが、全くそんなことなく、見事な事業転換を果たしました。


ここが凄い#2: アメリカの全トラフィックの3分の1を専有するサービス

Netflixは動画ストリーミングサービスのため、インターネットのトラフィックが必要です。要は、早いネット回線が必要だ、ということです。

上の図は、NetflixのIR資料からの抜粋ですが、全米のネットトラフィックのピーク時にどの程度トラフィックを専有しているか、示したものですが、全ネットトラフィックの37%をNetflixが専有しています。Youtubeの倍以上です。

サービス種別ごとで見ると、アメリカでは、OTT(Over-the-top, 所謂、動画ストリーミング)が全インターネットトラフィックの61%もの帯域を専有していることが分かります。

OTT(動画ストリーミング)のトラフィック専有割合は年々増えている訳ですが、その中でも、Netflixが圧倒的にシェアも増やしていることが良くわかると思います。


ここが凄い#3: 独自コンテンツも開始

Netflixは、最近まで、自社でコンテンツを作らずに、コンテンツ制作者(テレビ局、映画会社)が作成したコンテンツを配信してきました。ところが、ここ数年間の間に、独自コンテンツを制作し始め、業界を震撼させています。

オリジナルコンテンツは、2015年は4.5億時間分の新コンテンツが追加されたとのことで、2016年には6億時間分を追加する、とのことです。特に、ファミリー系、キッズ系のコンテンツにフォーカスしており、35組(シーズン)の新しい番組を2016年に追加する予定です。

主要なオリジナルコンテンツに関しては、The Netflix Original Series, Rankedにランキングがあります。日本語版もあります。

これらの施策もあってか、Netflixのコンテンツ調達費はうなぎ登りに増えています。

2015年では、年間で$10.9B(約1.2兆円)分の独自コンテンツ発注を行っています。(注: 「obligations」とあるので、2015年に発注した分が$10.9Bであって、この額全てを2015年内に払うものではありません。)例えば、"The Fundamentals Of Caring"の権利を買うために$7m(約7.7億円)、"Tallulah"を買うために$5m(約5.5億円)を費やしたと言われています。


実際に2015年に、コンテンツ調達にいくら使ったかを見てみます。

このデータによると、Netflixは2015年にコンテンツ調達に$3.3b(3630億円)も使っていることが分かります。この数字はAmazonやHuluなどの競合に比べて倍程度大きく、コンテンツ調達で差別化しようという強い意思が見られます。

また、Netflixの2015年のコスト構造を見ると、67.7%が「原価」に相当するもので、ここがほぼ全てコンテンツ調達コストに相当すると思われます。

独自コンテンツにお金をかけ続けるのは、短期的な利益率改善よりも、他社との差別化のため、ということですね。


ここが凄い#4: 加入者数が未だに2桁成長中

Netflixのビジネスモデルは、定額制の月額課金である、と冒頭で述べました。従って、有料加入者数が最も大事なKPIになります。

この図が有料加入者数の推移ですが、綺麗な右肩上がりになっています。アメリカ(図のDomestic)では、2015年10-12月(Q4)には、156万人もの有料加入者数が増えました。YoYで+14%です。

前年同期のYoY+16%と比べると、アメリカでの成長スピードが下がってきていますが、それでも凄まじい数の新規加入者を獲得していることになります。(成長スピードが下がってきているのは、アメリカでのシェアが既に十分高いからだと考えられます。)


ここが凄い#5: 国際展開も着手

アメリカでの成長スピードが落ちてくる前に、既に国際展開も着手しています。

アメリカ外の会員獲得は、なんとYoYで+64%と未だに急成長を続けています。日本でもソフトバンクと独占契約をしたようですが、まだまだ伸びしろが大きいということなのでしょう。

IR資料によると、アメリカでのストリーミングビジネスの売上が$1.1B(約1210億円)に対して、アメリカ外でのストリーミング売上が既に$566m(約622億円)もあります。つまり、アメリカ外がアメリカの半分にまでなってきている、という急成長っぷりです。

他方、アメリカ外での事業はまだ赤字なので、先行投資を行ってシェアをとりに行っているというのが現状でしょう。


まとめ

以上をまとめると、Netflixの現状は以下のようになります。

■概要
  有料加入者数は全世界で6900万人
    アメリカが4300万人、アメリカ外が2600万人
  2015年の売上は$6.78B(約7400億円)
    営業利益は$306m(約340億円)

■#1: 郵送DVDレンタルから動画ストリーミングへの見事な事業転換
  郵送DVDレンタル事業が1998年開始
  動画ストリーミング事業が2011年開始

■#2: アメリカの全トラフィックの3分の1を専有するサービス
  アメリカでは動画ストリーミングが全インターネットトラフィックの61%を専有
  Netflixの動画ストリーミングがアメリカの全インターネットトラフィックの37%を専有

■#3: 独自コンテンツも開始
  2016年には、35シーズン分のファミリー系・キッズ系のコンテンツを独自制作予定
  2015年には、年間で$10.9B(約1.2兆円)分の独自コンテンツ発注

■#4: 加入者数が未だに2桁成長中
  アメリカでの有料加入者数はYoY+14%で成長

■#5: 国際展開も着手
  アメリカ外での有料加入者数はYoY+64%で成長
  アメリカ外ではまだ赤字(先行投資中)


「テレビ・動画業界」全般に関して興味がある方は、「テレビも放送からネット配信へ。アメリカのテレビ・動画市場の5つのトレンド」もご覧ください。


余談ですが、動画配信ビジネスは、携帯キャリアとの関連性が強まっていくと思われます。そういった点を詳しく知りたい方は「あなたにピッタリの携帯キャリアは? キャリアの差別化戦略を読み取る」もご覧ください。


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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。

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YouTubeの倍以上とは、凄い。
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