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Q.ソフトバンクグループの決算で、3兆円の損失よりも注目したい点とは?

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ヒント:●●のための資金調達

この記事は沼幹太さん(企画・リサーチ担当)とmasmさん(ライティング担当)との共同制作です。

ソフトバンクグループ株式会社のFY23Q1(2023年度第1四半期)決算が2022年8月8日に発表され、3.2兆円という純損失を記録していることがわかりました。

前四半期のFY22Q4の2.1兆円の純損失を超え、ソフトバンクグループにとって過去最大の赤字額となりましたが、日本国内の上場企業としても歴代1位の赤字額となりました。

ソフトバンクグループは、この赤字額の大きさが注目を浴びていますが、それよりも注目をしたいポイントがあります。

今回の記事では、その注目ポイントについて深堀していきます。


FY23Q1決算業績

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まず、ソフトバンクグループのFY23Q1の業績を見ていきましょう。

ソフトバンクグループは、戦略的持株会社としての投資活動がメイン事業であり、中でも再先端テクノロジーを活用しているユニコーンへの投資を行うSVF(ソフトバンクビジョンファンド)事業に力を入れています。

そのSVF事業のFY23Q1の損益は▲2.9兆円、ファンドの累計利益は1,122億円となっています。FY20~FY21の2年間で稼いだ利益のほとんどが相殺された形となっており、SVFがスタートした5年前(FY17Q1)の1,069億円とほぼ同水準に戻っています。

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SVF内での損益の内訳は以下の通りです。

        FY23Q1  累計
=============================
Vision Fund1:▲1.3兆円  1.5兆円
Vision Fund2:▲1.3兆円 ▲1.3兆円
LatAm Fund :▲0.3兆円 ▲0.1兆円

いずれのファンドも四半期損益はマイナスとなっており、累計でもVision Fund 1のみが黒字になっています。

このような大幅な損失拡大は、インフレ抑制目的での金利上昇、景気後退懸念での株価下落、ウクライナ情勢などの地政学リスクなどの複合的な要因が考えられます。

これは、ソフトバンクグループ固有の問題ではなく、株式市場全体で同様の現象が起こっていると言えます。直近決算のSVF保有の上場株はQoQ(前四半期比)▲31%で、同期間のNASDAQ総合指数は▲22%、S&P500も▲16%程度下落しています。

また、投資の神様と呼ばれているウォーレン・バフェット氏がCEOを務めるバークシャー・ハサウェイも、同期間(2022年4月~6月)で投資損益が▲22%、約5兆円の損失を計上しています。

バフェット氏の米バークシャー、最終赤字5兆円 4~6月


ソフトバンクグループの重要指標#1:NAV(時価純資産)

次に、ソフトバンクグループの重要な指標である、NAVについて見ていきます。

ソフトバンクグループの投資事業での損益は、あくまで保持している株式からの含み損益であり、現実で損益が発生(実現)しているわけではありません。

よって、四半期の売上や損益よりも、負債を除いた保有株式の現在の正確な価値を示す、NAVが重要指標となります。

NAVはNet Asset Valueの略称で、時価純資産を意味し、以下の式で計算されます。

NAV = 保有株式価値 - 純負債

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FY23Q1のNAVは、円ベースでQoQが横ばいの18.5兆円です。

ドルベースではFY22Q4が$151B、FY23Q1が$135Bとなっており、QoQ▲10.6%減少していますが、円安による為替差益が2.2兆円発生し横ばいとなりました。

上の資料は、NAVをセグメントごとに分けた棒グラフです。Vision Fundや上場株式投資でのNAVも減少はしているものの、ここ最近で最も減少幅が大きいのはAlibaba株(オレンジ色)であることが見てとれます。

FY21Q2時点のソフトバンクグループのNAVは27.3兆円あり、そのうちの59%にあたる約16兆円をAlibaba株が占めていましたが、FY23Q1ではNAV全体の21%、約4兆円にまで減少しています。


ソフトバンクグループの重要指標#2:LTV(純負債/保有株式価値)

投資事業がメインであるソフトバンクグループにおいて、もう1つの重要視すべき指標としてLTVがあります。

LTVとは、Loan to Valueの略称です。株式評価額に対する負債の割合を意味しており、以下の式で計算されます。

LTV = 純負債/保有株式価値

ソフトバンクグループは、このLTVが25%(異常時でも35%)を超え、負債の比率が増えすぎないようにするという基準を持ちながら、事業を運営しています。

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上の資料は、左から保有株式、純負債、LTVの推移が表されてます。

保有株式価値が毎四半期減少しており、それに伴いLTVはFY22Q1~Q3にかけて上昇し、FY22Q4も20%を上回っていました。しかし、直近のFY23Q1では投資を抑制したことや、資金調達を行い純負債を返済したことで、LTVが14.5%に改善しています。

LTVを25%以下に保つという基準が徹底して管理されており、財務面での安全性を優先した動きが見てとれます。

ここまで、FY23Q1の決算で3兆円を超える赤字を計上したソフトバンクグループの業績、重要指標を確認していきました。

記事の後半では、ソフトバンクグループ独特の資金調達方法などについて深堀していきます。

この記事は、ソフトバンクグループに興味関心がある方、SVF(ソフトバンクビジョンファンド)の仕組みについて知りたい方、投資会社の資金調達方法に関心がある方に最適な内容になっています。

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