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KDDIと楽天の提携は「ソフトバンク包囲網」

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KDDIと楽天が、今最もホットな二つの領域である「決済」と「通信分野」における提携を発表しました。

KDDIと楽天、決済、物流、通信分野における事業協争を推進(KDDI 2018年11月1日)

今日の記事では、この提携の背景と今後の展開を簡単に考察していきたいと思います。

タイトルで書いた通り、今回の提携は結果としては「ソフトバンクグループ包囲網」になると言えるでしょう。


提携#1: 決済

今ネット業界で最もホットな領域の一つは、モバイル決済と言っても過言ではないでしょう。

モバイル決済を考える上で、二つ重要なポイントがあります。

一つ目は、「決済する側のユーザー獲得」です。

一方、KDDIも、発行枚数2,420万枚の「au WALLET」や「auかんたん決済」などのサービスを通じて決済領域の強化を進めており、2019年4月よりバーコードやQRコードを使った新たなスマホ決済サービス「au PAY」を開始いたします。

モバイル決済の分野でKDDIと他社を比較すると、QRコード決済という点においてはこれまで目立った動きがなかったようにも感じますが、すでに2,420万枚の決済カードを発行している超巨大なユーザー層を抱える会社でもあります。

KDDIの強みはこの2,420万人の決済ユーザーを抱えている点ですが、一方で二つ目のポイントである店舗側の獲得においては、ドコモやソフトバンクグループといった他のキャリアと比べると遅れている印象がありました。

楽天は今後、「楽天ペイ (アプリ決済)」をはじめとした決済プラットフォームや加盟店網をKDDIへ提供します。これにより、KDDIは、楽天グループが直接契約している全国約120万箇所の加盟店等を活かしたスマホ決済サービス「au PAY」を2019年4月より順次開始します。

今回の楽天との提携によって、楽天が契約済みの120万の加盟店においてKDDIの決済サービスが利用できるようになります。KDDIとしては、QRコード決済分野における遅れを一気に取り戻すことができる可能性が見えてきたことになります。

一方で楽天の視点から見ると、2,400万人を超える巨大なユーザーを抱えるKDDIがどこか他のライバル企業と提携されてしまうよりは、自社と提携してくれた方が嬉しかったということはもちろんあると思いますし、仮に他社と提携しなくても、KDDIが独自で店舗開拓を始めると強力な競合が一つ増えるということになります。

すでにソフトバンク・ヤフー連合やLINEなどが大きく投資を始めている決済分野ですので、これ以上強力な競合を増やすことなく、手を組むことで不毛な競争を減らすという意味があったのではないでしょうか。


提携#2: 通信インフラ

二つ目の提携ポイントは、「KDDIが楽天に対して通信インフラのローミングを提供する」という内容です。

楽天が独自にゼロから携帯キャリアとしての通信インフラを構築できるのか?という点が話題になっていましたが、楽天にとってはこの提携によってサービス提供初日から全国でそれなりのクオリティのサービスを提供できることになるでしょう。

ただし、この提携に関しては以下の三つのポイントを押さえておく必要があります。

一つ目は、ローミングの対象は4G LTEに限られているという点です。別の言い方をすると、これから設備投資が必要になる5Gに関しては、お互い独自にネットワークを構築して競争するということでもあります。

二つ目は、提携期間が2026年までと時限付きになっている点です。こちらは「楽天が携帯電話の免許を申請した際には自力で全国にネットワークを構築するように」という総務省からの通達があったと言われていますが、それに配慮した形になっているとも言えるでしょう。

三つ目は、ローミングの対象エリアが 「東京23区、大阪市、名古屋市を除く」全国エリアとなっている点です。

楽天から見れば、「東京23区、大阪市、名古屋市」という人口密集エリアに関しては、4Gも5Gも自力で最初からインフラを構築していきたいということになります。これらの人口密集エリアに関してはユーザー数が十分多いため、設備投資をしてもきちんと収益をあげられる見込みが高いからです。

一方で人口密度がそこまで高くないエリアに関しては、自力で設備投資をしても回収に時間がかかるのがインフラ産業の悩みでもあります。そういったエリアは少なくとも初期のうちは自力でインフラ構築をすることなく、すでに構築済みのKDDIのインフラを借りることができる。というのが今回の提携内容になっており、楽天としては通信分野におけるインフラ投資計画をよりフレキシブルにできるという点において、非常に有意義な提携になるのではないでしょうか。

KDDIの視点から考えると、人口密度が高くないエリアにおいて、すでに構築してあるインフラを楽天に貸し出すことで、追加の設備投資をあまりせずともローミングによる収入が見込めるという点で、とても意義がある提携内容だと言えるでしょう。

KDDIはここで得られるローミング収益を自社の5Gのインフラ投資に回したり、あるいは携帯電話の契約者数を増やすためのマーケティングに回したりといったことが可能になります。

政府からの値下げのプレッシャーや、楽天の新規参入によるマーケットシェアの低下によって、既存の3キャリアは今後これまで以上に、売上利益を増やしていくことが相当厳しい展開になっていくのは間違いありません。KDDIはこのローミングディールによって、短期的には他の大きな他の二つのキャリアよりも設備投資やマーケティング投資に積極的になれるという点において意味があるのではないでしょうか。


提携#3: 物流

三つ目の提携ポイントは「物流」に関してです。

楽天は、KDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma! (ワウマ)」に対して、楽天の物流サービスを2019年4月より順次提供します。

楽天は「ワンデリバリー」と言う包括的な物流サービスを提供する旨を発表していますが、それらのサービスをKDDIが運営するショッピングモールに対しても提供していくという内容です。

この物流に関する提携に関しては、まだ楽天のワンデリバリー構想が具体的にどうなっているのかよく分からないため様子を見る必要があると思います。楽天としては、自社の物流インフラを利用する店舗が増えれば増えるほど便利なサービスになることは間違いありませんし、KDDIから見ても楽天の物流網に乗れるのであればメリットがありそうにも見えます。


個人的な所感

冒頭にも書いた通り、今回の提携は一言で言えば「ソフトバンクグループ包囲網」と言えるのではないでしょうか。

お互い既に持っているアセットを貸し出すだけの提携になっており、万が一提携がうまくいかなくてもあまり大きなダメージはお互いにないと言えるでしょう。

決済分野での提携に関しては、ソフトバンクやLINEなどを含めて、各プレイヤーが当面の間はオープン化せずに店舗とユーザーを独自に囲い込む、囲い込み合戦になりつつあります。

また、この分野は手数料を無料にする、さらにはポイントバックでのインセンティブを強化するなど、非常に長期的に投資が必要な分野になりつつあります。
KDDIのauユーザーが楽天ペイの端末で決済できるようになるという提携内容は、お互いにとって不毛なマーケティング投資を削減できるという意味において非常に意義があるものだと言えるでしょう。

通信分野に関しては、楽天の新規参入によって既存の三大キャリアのマーケットシェアが落ちていくことは明らかであり、さらに政府からの値下げ要請もくるという非常に過酷な市場環境の中で、KDDIとしてはたとえ短期間であっても楽天を抱えておきたかったというのが本音ではないでしょうか。

KDDI単体としてはマーケットシェアが減っていくかもしれませんが、KDDI+楽天という二つのキャリアを足すと当面の間は市場シェアが増えていくことになりますので、KDDIとしてのインフラ投資を支えるだけの収益を稼ぐという点においては、意味がある提携だったと言えるでしょう。

一方で楽天としては、ドコモやソフトバンクからローミングを受けても良かったわけですが、ドコモとはこれまでの経緯から難しそうだなという印象がありましたし、ソフトバンクに関してはヤフーとの競合関係があるので、やはりKDDIが一番理想的なパートナーだったと言えるのではないでしょうか。

今回の提携は、仮にうまくいかない部分が多少あったとしても、通信と決済という今最もホットな二つの領域で少なくても短期的にはお互い握手をしたままの状態になりますので、お互いの競合相手とのアライアンスが起こりにくいというだけでも、非常にプラスなニュースだと言えるでしょう。

以下では、さらに個人的な意見になりますが、ソフトバンクやドコモが今後取り得る打ち手を考察してみたいと思います。

何度か書いているように、今の携帯キャリア業界は三つしかなかった会社が四つになるという点、そして政府からの値下げ要請が続いているという点において、少なくとも追い風が吹いている状況ではありません つまり、ソフトバンクもドコモも何もしないとかなり厳しい状況が続きそうだというのが現状です。

ソフトバンクは携帯事業のシェア減る上にpaypayもしんどくなるので、割と辛いかもですね。ソフトバンクは割と打ち手が限定されてきたように思えます。ドコモはまだ打つ手がある気がします。

この記事は、携帯キャリア業界あるいはその関連ビジネスで仕事をされている方、携帯キャリアの乗り換えを検討されている方、通信とネットの融合に興味がある方に最適な記事になっています。


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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。