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【保存版】マネーフォワードのIPOはSaaSのお手本レベル

先日、マネーフォワードの上場申請が許可されました。今日はそのマネーフォワードの目論見書から、特にB2BのSaaSのビジネスモデルを勉強したいと思います。最初に結論を書くと、今回のマネーフォワードのIPOは、上場であることが問題ないだけでなく、SaaSモデルのIPOとしてはシリコンバレー型に近い、お手本・ロールモデルになるようなKPIをたくさん含んだ内容になっていると言えます。

始めに売上と営業利益をおさらいしておきます。

最初に申し上げておきますが、マネーフォワードの決算は11月期となっており、あくまで個人的な主観ではありますが、これだけでとても読みにくい決算書になってしまっています。

やはり、決算は3月6月9月12月のいずれかにすべきだと強く思います。この辺りは証券会社や東証が、上場時にしっかり変更させるなどの対処をする方が、投資家にとって良いのではないかと思います。


売上は2016年11月までの1年間で約15億円、2017年5月までの半年間で約12億円という具合に、右肩上がりで増えています。

売上が急成長しているわけですが、営業損失も非常に大きなレベルで赤字になっています。2016年11月までの1年間で8.8億円の赤字、2017年5月までの半年間で約6.8億円の赤字と、非常に大きな赤字を計上したまま上場することになります。


事業別の売上・成長率

四半期ベースで売上を事業別に見てみます。

マネーフォワードの場合、事業は大きく2つあります。

1つ目はPFMと呼ばれるもので、これはコンシューマ向けの家計簿アプリ、マネーフォワードを中心とした事業です。

2つ目はBtoBのMFクラウドと呼ばれるもので、個人事業主か中小企業に対して、会計ソフトをクラウド上で提供するというサービスです。

約1年半前の時点では、コンシューマ向けのPFM事業の方がMFクラウドよりも大きな売上を誇っていましたが、成長率で見るとMFクラウドの方が成長スピードが速く、直近の四半期ではMFクラウドの方が売上が大きくなっています。

全体の売上高の四半期ベースでの成長率を見ると、YoY+99.74%と、約2倍のペースで成長していることになります。


赤字のタイミングでIPOすべき理由

日本では未だに、赤字でのIPOはよろしくないと言う人が多くいる気がしますが、なぜこのタイミングでIPOをすることになったのか、少し考えてみたいと思います。

アメリカのナスダックなどを見ていると、SaaSモデルの場合

・上場承認時の売上成長率が YoY +100%
・上場1年後で売上成長率が YoY +50%

というタイミングでIPOをする会社が多いように見えます。

つまり、上場直前の時点ではYoY+2倍程度、上場した直後の決算でYoY+1.5倍のペースで成長できていると、投資家から見て安心できる、ということになります。

上で述べた通り、四半期ベースで見ると、売上高の成長率が丁度YoY+100%になっているタイミングなので、まさにのアメリカのSaaSのIPOモデルを踏襲しているかの様なタイミングとも言えます。

仮にこれよりも早いタイミングでIPOをしようとすると、売上の実績が小さすぎて時価総額がつきにくくなりますし、仮にこれよりも遅いタイミングでIPOをしようとすると今度は成長率が落ちてきてしまうため、時価総額がつきにくい、ということになりかねません。

従って赤字ではありますが、売上成長率という点で見ると、上場のタイミングは良かったのではないでしょうか。

もうひとつの理由は、競争環境にあるとも言えるでしょう。マネーフォワードのBtoBビジネスであるMFクラウドは、競合他社であるfreeeとライバル関係にあり、競合よりも先にIPOすることで、資金調達を含めて有利な状況に持って行きたかった、という点もあるかもしれません。

ただ最近では、プライベートな状態を長く続けた方が資金調達も沢山できて、会社の評価額(バリュエーション)も高く保ちやすいという傾向もあるようですが、特に日本では、上場をした方が採用や取引先からの信頼を得やすいという、未だに強く残っている都市伝説のような側面もあると聞きますので、そういった点も大きく影響しているのかもしれません。

(最近は、IPOするタイミングでの目論見書を分析すると、色々トラブルが起こる可能性があるようなので、ここから先は有料にしたいと思います)

売上成長率という意味で、IPOのタイミングが今であるのが好ましい理由を説明しましたが、これだけ赤字が大きい状態でIPOをして本当に良かったのか、という点を次に検証したいと思います。

そして2つの種の事業である、アプリ事業とMFクラウド事業の、ユニットエコノミクスを分析してみたいと思います。


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・アプリ事業のユニットエコノミクスと存在意義
・BtoB事業「MFクラウド」のユニットエコノミクス
・まとめ

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