見出し画像

Q. 急拡大するHRテック市場、今後の成長を加速させる3つの方向性とは?

新着記事をTwitterやLINEでお届けします。下記URLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote
LINE: https://line.me/R/ti/p/%40pap3801g

----------------------------

ヒント:3つの方向性
・●●市場の開拓
・●●基盤の活用
・●●の拡大

この記事はゲストライターとの共同制作です。

今回は、HR(Human Resources:人事)領域のSaaS(Software as a Service)を提供する、カオナビ、チームスピリット、HRMOS(ビジョナル)、wevox(アトラエ)の4社に注目し、今後の成長を加速させる方向性を考察します。

HRテックSaaSは、コロナ禍でのオンライン化のニーズだけでなく、人事データの可視化による従業員の最適配置、組織サーベイによる従業員と会社とのエンゲージメント向上が期待されており、成長性の高い市場です。

※HRMOS、wevoxはサービス名、ビジョナル、アトラエが企業名です。


HRテッククラウド市場

画像1

まずは、市場としての成長性から見ていきます。デロイト トーマツ ミック経済研究所のデータによると、2021年の市場規模は566億円で、前年比(YoY)+32.9%と成長しています。2025年には2021年から約3倍の1,710億円に成長すると予測されています。

HRテック SaaSのサービス領域としては、グラフにあるように「採用管理」、「人事・配置」、「労務管理」、「育成・定着」がありますが、サービス内容の理解を深めるために、代表例として、「採用管理」と「人事・配置」について解説していきます。


HRテック SaaS例(採用管理)

画像2

採用管理サービスの代表例として、ビジョナルが提供する採用管理クラウド「HRMOS採用管理」を紹介します。

・採用状況の可視化及び分析、
・日程調整機能
・採用媒体連携機能
・人事管理システムとの連携機能

などの機能があり、採用に係る管理工数を削減し、採用業務の生産性向上のためのサービスです。


HRテック SaaS例(人事・配置)

画像3

人事・配置サービスの代表例「カオナビ」は、人事データベースを核としたタレントマネジメントシステムです。

人事評価、異動・昇格、スキル管理、教育研修、エンゲージメント、パーソナリティなど社員に関するデータを一元管理することで戦略的人材マネジメントを実現し、組織のパフォーマンスを高めるためのサービスです。


ARRとARR成長率の横比較

画像4

次に、HRテッククラウド企業のARR及びARR成長率を俯瞰して見ていきます。

上段の表は、FY20Q1(2020年1-3月)からFY21Q2(2021年4-6月)までの4社のARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)の推移です。下段の表は、各社のARRの成長率の推移です。

ARRは、直近のFY21Q1(2021年1-3月)で33.2億円のカオナビが最も高く、続いてチームスピリットが24.2億円(直近FY21Q2の金額)、ビジョナル(HRMOS)が12億円、アトラエ(webox)が7億円となっています。

アトラエは、4社の中ではARRは最も小さいですが、ARRの成長率ではYoY+87%と最も高く、成長率第2位のカオナビのYoY+36%とも大きな差をつけた成長率となっています。また、YoYのARRの伸び幅では、ビジョナルを上回っています。

次に、それぞれの企業の決算概要について個別に見ていくことで、各社の成長要因に迫っていきましょう。


カオナビの決算概要

画像5

カオナビのFY21Q4(2021年1-3月期)の売上は9.4億円、YoY+29.1%となっています。ストック収益は8.3億円でYoY+36%と、全体の売上成長よりも高い成長率になっています。

画像6

上図は、直近2年間(8四半期)のカオナビ利用企業数の推移です。
カオナビの利用企業数は2021年3月時点で2,061社あり、そのうち66%がアカウント登録数200~900名の中堅企業です。増加社数が最も多いのもこの中堅企業層です。1,000人以上の大企業も利用企業数は増加していますが、100人までのプランは、横ばいか減少する四半期もあり、中堅企業以上の規模の組織にマッチしたサービスであることがわかります。


wevoxの決算概要

画像7

アトラエが提供しているエンゲージメント解析ツール「wevox」は、FY21Q2(2021年1-3月期)の売上が1.76億円となっており、YoY+87.2%と急成長しています。

導入企業1社あたりの売上(顧客単価)は、

(四半期売上高/3)÷導入社数=顧客単価

こちらの計算式で算出できます。実際に、直近の四半期(FY21Q2)と前年同期(FY20Q2)の顧客単価を算出してみると、次のようになります。

FY20Q2
(四半期売上94百万円/3ヶ月)÷1,500社=約2.1万円
FY21Q2
(四半期売上176百万円/3ヶ月)÷1,900社=約3.1万円(YoY+47.8%)

顧客単価がYoY+47.8%と大幅に上昇していることがわかります。

wevoxの課金モデルは1アカウント300円であるため、大企業など社員数の多い企業等への導入が進んでいることが、顧客単価上昇の要因であると考えられます。

また、コロナ禍のリモートワークで従業員の働く姿が見えづらくなっているため、社員アンケートやエンゲージメント可視化ツールを活用する動きがこれまで以上に活発になっているということも予想され、顧客単価だけでなく、導入社数の拡大も期待できるでしょう。

ここまで、HRテックSaaS市場の成長性や、サービスの概要、カオナビとアトラエの決算概要について見ていきました。

HRテックSaaSの市場規模は、5年後に3倍になると予想されており、その場合CAGR(年平均成長率)は30%以上となります。

しかし、代表的な4社の決算を俯瞰すると、全社の成長率が30%を超えているわけではなく、成長率にばらつきがあることがわかります。

カオナビ、チームスピリット、HRMOS(ビジョナル)、wevox(アトラエ)が、HRテックSaaS市場の拡大スピード以上の成長を実現するためには何が必要なのか?記事の後半では、各社の成長を加速させる戦略を3つに区分して、詳しく解説していきます。

この記事は、HRテック企業に従事している方や興味関心がある方、SaaSビジネスを成長させるための具体的な施策が知りたい方に最適な内容になっています。

----------------------------

ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、月額1,000円のマガジンをご購入ください。有料マガジンは、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加される予定です。

マガジンは初月無料です。月末までに解約すれば費用はかかりません。購読開始した月以降の有料記事が読めるため、月末に購読開始しても不利にはなりません。

有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。

・Q. 急拡大するHRテック市場、今後の成長を加速させる3つの方向性とは?の答え
・成長を加速させる3つの方向性に対する具体的な解説
・まとめ

続きをみるには

残り 3,737字 / 9画像

¥ 500

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ツイッターで決算に関する情報を発信しています。ぜひフォローしてください!