Q. クラウドソーシング・スキルシェアの上場4社で取扱高成長率が最も高いのは?
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A. ビザスクの取扱高成長率はYoY+88.4%で一番高い。続いて、ココナラがYoY+56.9%。
一方で、クラウドワークスの取扱高は四半期で38.6億円と、圧倒的な存在になっている。
この記事はゆべしさんとの共同制作です。
本日は、クラウドソーシング・スキルシェア市場の主要プレーヤーであるクラウドワークス、ランサーズ、ビザスク、ココナラに注目して、各社の規模感や特徴、戦略を整理します。
クラウドソーシングやスキルシェアは、企業を中心としたクライアントが、オンライン上で受注者とつながり、仕事を依頼したりスキルを提供してもらう仕組みです。受注者は、時間や場所に左右されないことから、フリーランスの方や副業の方が多くなっています。
また、政府による副業推奨の方針を受けて、多くの企業で副業や兼業が解禁され始め、2021年のフリーランスの経済規模は、昨年より約10兆円増の28.15兆円と活況を呈しており、クラウドソーシングやスキルシェア市場は今後も大きな成長が期待されています。
そのような活況な市場において、一見類似したビジネスモデルを展開する各社には、どのような違いがあるのでしょうか。今回の記事では、記事の前半で各社の決算情報やKPIを整理し、後半では、各社の業績やKPIを比較して、各社の特徴や戦略を考察していきます。
クラウドワークスの決算
株式会社クラウドワークス 2021年9月期 第2四半期決算説明資料(2021年5月14日)
クラウドワークスは、企業と個人がオンラインで直接つながり、仕事を受発注できるマッチングプラットフォーム「クラウドワークス」を運営するマザーズ上場企業です。クラウドワークスでは、事務作業、デザイン、ホームページ制作など、200種類以上の仕事の受発注が行われています。
2021年1-3月の四半期総契約額は38.6億円(YoY+19.6%)、売上総利益は8.7億円(YoY+24.2%)、テイクレートは22.6%です。
クラウドワークスのユニットエコノミクス
各社のビジネスモデルは「マッチング」であるため、クライアントサイド(発注者側)とワーカーサイド(受注者側)の双方で、上記のように流通総額を分解することができます。
■クライアントサイド
契約クライアント数 × 年間発注額 = 流通総額
■ワーカーサイド
契約ワーカー数 × 年間受注額 = 流通総額
まずは、クラウドワークスのクライアントサイドのKPIから見ていきましょう。
2020年9月期の12ヶ月間における契約クライアント数は4.2万社で、クライアントあたりの年間発注額は30.2万円です。
次に、ワーカーサイドのKPIを見ていきます。2020年9月期の契約ワーカー数は25.1万人で、契約ワーカー1人あたりの年間受注額は5.1万円です。
ランサーズの決算
ランサーズ株式会社 2021年3月期 通期決算説明資料(2021年5月13日)
クラウドワークスと同様に、ランサーズは個人と企業をマッチングするプラットフォーム「ランサーズ」を運営するマザーズ上場企業です。ランサーズも200種類以上の仕事の受発注が行われていますが、発注の際にアドバイザーに無料相談できる点が特徴です。
また、ランサーズはマッチング事業に加えて、同社グループが介在して、プラットフォーム上の案件の受託・管理を支援するマネージドサービス事業や、IT人材紹介を行うテックエージェント事業を展開しています。
2021年1-3月のランサーズの四半期流通総額は25.9億円(YoY+17.8%)、売上総利益は5.4億円(YoY+9.1%)、テイクレートは20.9%です。
※ランサーズでは、全ての事業がプラットフォームを軸に個人と企業をマッチングしているため、今回の記事ではランサーズの全ての事業を「クラウドソーシング」としています。
ランサーズのユニットエコノミクス
次に、ランサーズのクライアントサイドのKPIを見ていきます。2020年4月〜2021年3月の12ヶ月間におけるクライアント利用社数は3.63万社で、クライアントあたりの利用額は25.1万円です。
次にワーカーサイドのKPIを見ていきます。信頼ランサー数(ランサーズが定めた基準をクリアしたワーカー数で、ワーカーの総数は未開示)は2021年1-3月時点で約1.9万人、信頼ランサー1人あたりの年間受注額は、総契約額から計算して48.6万円です。
●クライアントサイド
・契約クライアント数:3.6万社
・年間発注額:25.1万円
→総契約額 = 3.6万社 × 25.1万円 = 90.36億円
●ワーカーサイド
・信頼ランサー数:1.86万人
→信頼ランサー1人あたりの年間受注額 = 90.36億円 ÷ 1.86万人 = 約48.6万円
ビザスクの決算
株式会社ビザスク 2022年2月期 第1四半期決算説明資料(2021年7月15日)
ビザスクは、市場調査や新規事業の仮説検証をより手軽に行うために、実名登録された有識者の”生の声”を直接ヒアリングできるスポットコンサルサービス「ビザスクInterview」の運営を中心に、アンケート調査や社外取締役のマッチングなどを行うマザーズ上場企業です。
2021年3-5月のビザスクの四半期取扱高は9.1億円(YoY+88.4%)、営業収益は5.6億円(YoY+85.2%)、テイクレートは62.0%です。
ビザスクのユニットエコノミクス
ビザスクのクライアントサイドのKPIを見ていきます。2020年4月〜2021年5月の12ヶ月間における法人クライアントの口座数は826口座で、1口座あたりの年間発注額は270万円です。
ワーカーサイドのKPIは、決算資料では開示されていません。
ココナラの決算
株式会社ココナラ 2021年8月期 第3四半期決算説明資料(2021年7月15日)
ココナラは、個人の知識やスキル・経験を商品化し、ECのように売買できるマッチングプラットフォーム「ココナラ」を運営するマザーズ上場企業です。
クラウドワークスやランサーズはビジネス系の仕事内容が多いのに対し、ココナラは占いや悩み相談などの仕事内容も多く掲載されており、企業のビジネス系の利用に加えて、個人ユーザーによる利用割合も多い点が特徴です。
2021年3-5月のココナラの取扱高は25.3億円(YoY+56.9%)、営業収益は7.3億円(YoY+63.1%)、テイクレートは28.9%です。
ココナラのユニットエコノミクス
次に、ココナラのクライアントサイドのKPIを見ていきます。2021年3-5月の四半期購入UU数は12.7万人、1人あたりの購入額は同期間で2.0万円です。
次に、ワーカーサイドのKPIを見ていきます。2020年8月期の12ヶ月間における販売UU数は4.5万人であり、1人当たりの販売額は13.7万円です。
ここまで、クラウドソーシング・スキルシェアサービスを展開する各社の業績やKPIを整理しました。記事の後半では、業績やKPIを比較して、各社の戦略を分析していきたいと思います。
この記事は、クラウドソーシングやスキルシェア事業に従事する方や、マーケットプレイス型のビジネスに関心がある方、企業の競争戦略・差別化戦略に興味がある方に最適な内容となっています。
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・比較その1:成長率・テイクレート
・比較その2:クライアントサイドのユニットエコノミクス
・比較その3:ワーカーサイドのユニットエコノミクス
・まとめ
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