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Q. ぐるなびの業績が悪化した原因・楽天傘下での打ち手とは?

Q:ぐるなびの業績が悪化した原因とは?

1. 大口顧客への過度の依存
2. ネット予約への対応の遅れ
3. 外部サービスとの連携の遅れ
4. 飲食店業務支援サービスの遅れ

今日の記事では、ぐるなびの過去3期におよぶ業績悪化の原因と今後の打ち手を考えてみたいと思います。

最初に記載しておくと、後述するぐるなびの決算資料に書かれている「三つの遅れ」以外にも業績悪化の原因が決算資料から読み取れるので、ぐるなびの業績悪化は上記の通り4つの原因があると整理できると思います。

ご存知の方も多いかもしれませんが、ぐるなびはここ数年間赤字が続いていて、昨年楽天との資本提携を発表しました。さらに今回の発表で楽天が筆頭株主になり、6月19日に開催される株主総会で楽天の常務執行役員3名をぐるなびの取締役として選任する議案が出され、資本関係だけでなく経営に関しても楽天に支配されることになりそうです。

つまり一言で言うと、ぐるなびが楽天グループの傘下に入ったと言っても過言ではないでしょう。

こちらが過去10年間のぐるなびの株価の推移になります。最も株価が高かった2016年と比べると現在の株価は約1/6程度となってしまっており、このタイミングで創業者が株式を楽天に手放したということは、事実上のギブアップだと言えるのではないでしょうか。

ここからは、ぐるなびの何が問題だったのか?、そして今後楽天グループ内でどのような手を打っていくのかを決算資料から読み取れる範囲で見ていきたいと思います。

株式会社ぐるなび 2019年3月期 決算説明会資料(2019/5/14)

2019年3月期の売上は年間ベースで327億円で、YoY-9.7%とマイナス成長になっています。
営業利益は約12億円でYoY-74.4%と大きく減少していることが分かります。

営業利益の大幅な減少については、もしかしたらこのタイミングだからこそ悪いものを全部吐き出してしまおう。という意図もあるのかもしれませんが、少なくとも好調な決算でないことだけは間違いないと言えるのではないでしょうか。

こちらはぐるなびの決算資料にいつも出てくる折れ線グラフです。縦軸がストック型サービスの一店舗あたりの売上(ARPU)、横軸が有料加盟店舗数となっています。このグラフの線が右肩上がりになるのが理想的な成長曲線です。

しかしこのグラフを見ると、2016年度からどんどん左下に進んでしまっていることがお分かりいただけると思います。

つまり、1店舗あたりの売上が減り、有料店舗数も減るという負のスパイラルに陥ってしまっていたことが、このグラフから読み取れます。

売上の内訳を見てみると、棒グラフ赤色の部分のストック型サービスの売上が次第に落ちてきており、スポット型サービスで穴埋めしようとするも追いつかずに、全体としてマイナスになっているということが読み取れます。

なぜこのようなことになってしまったのか?というシンプルな質問に対して、ぐるなびが分析した原因が記載されているのが、このスライドになります。ここには具体的に「三つの遅れ」が挙げられていますが、一言でまとめると「市場の変化に対する打ち手が全て遅れてしまった」ということになるのではないでしょうか。

決算説明会の質疑応答で以下のような内容がありました。

「2019年3月期 決算説明会」 主な質疑応答

Q. 消費者行動の変化への対応遅れが業績悪化の要因とのことだが、これまで取り組んできた GoogleやInstagram、トリップアドバイザーなど外部サービスとの連携は、取り組みへの着手自体が遅れたのか?それとも成果に遅れがあるのか?

A. 市場環境の変化への対応については、3~4年前から遅れが生じていたと認識している。その遅れを取り戻すため、外部サービスとの連携などに他社に先行して取り組み、昨年1年間でようやく形になってきた。
外部サービス連携だけでなく業務支援の領域なども含めて、遅れを取り戻すための商品はだいぶ整ってきたと考えている。

こちらの回答にあるように3〜4年前から遅れが生じてしまっていたということを、現経営陣が認めた形になっています。

今回の決算資料を読んだ率直な感想は、「決算内容としては非常に苦しい状況であるにも関わらず、悪いニュースをしっかり隠さずに開示している点は、とても好感を持てた。」というのが個人的な感想です。

悪いニュースはついつい隠したくなりますが、少なくとも今回の決算では隠すことなく、正直に過去の失敗を認めて、楽天グループの支援を得て、これから挽回していきたいという強い意志が感じられる決算資料でした。

以下では、決算資料から読み取れる過去の失敗の原因と今後の打ち手を整理していきたいと思います。

この記事は、レストラン向けのビジネスを展開されている方、業績が下向いていてV字回復をする必要がある方、BtoBtoC型のマーケットプレイスビジネスを展開されている方に役立つ内容になっています。


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・原因1: 大口顧客への過度の依存に対する打ち手
・原因2: ネット予約への対応の遅れに対する打ち手
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・原因4: 飲食店業務支援サービスの遅れに対する打ち手


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