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Q. ラクスルの新規事業ノバセル・ハコベルが急成長しているのはナゼ?

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ヒント:ノバセルやハコベルは既存のビジネス慣習や業界構造を、インターネットを活用することで変革するビジネスを展開していることがポイントです。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

先日、ネット印刷事業を中心に、複数のプラットフォームサービスを展開するラクスルの2021年7月期3Qの決算発表が行われました。

ラクスルは、2018年5月に東証マザーズに上場し、翌年の2019年8月に東証一部に市場変更したEC/マーケットプレイス+SaaSのビジネスモデルを持つ企業です。ユニークなテレビCMを見たことがある人も多いでしょう。

「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、印刷業界や広告業界、運送業界など、規模が大きい市場でサービスを展開し、2016年7月期からの売上CAGR(年平均成長率)は+43.4%と、驚異的な成長を続けています。

そんなラクスルの今回の決算発表の注目ポイントは、ノバセルやハコベルといった新規事業の成長です。この記事では、この注目ポイントについて、ビジネスモデルや業界構造から深堀していきます。


ラクスルの決算

ラクスル株式会社 2021年7月期第3四半期決算説明会資料(2021年6月10日)

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まずはラクスルの全体の業績を見ていきます。2021年7月期3Q(2021年2月-4月)の四半期売上は89.7億円(YoY+64.5%)、四半期売上総利益は20.8億円(YoY+70.8%)と大幅に成長し、共に上場来の四半期成長率としては、最高水準となりました。

また、前四半期の営業利益は▲1.5億円の赤字でしたが、今四半期は4.4億円の黒字に転換し、過去最高益を達成しています。

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今回の決算発表による株価の変動を見てみると、決算発表前日の6月9日の株価は4,650円でしたが、決算発表翌日である6月11日の株価は5,240円と10%以上上昇しています。株式市場からも高い評価を受けていることが分かります。


ラクスルの3つの事業

次に、ラクスルのセグメント別の業績を見る前に、ラクスルの事業展開を簡単に解説します。

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ラクスルは3つの事業を展開しています。1つ目の事業は、印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」、2つ目の事業は、テレビCM・動画の広告プラットフォーム「ノバセル」、3つ目の事業は、物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」です。

ラクスルは、印刷業界や運送業界などデジタル化が進んでいない業界に、インターネットを活用して、既存のビジネス慣習を変革することで事業を成長させています。


セグメント別の業績

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次に、セグメント別の業績を見ていきます。全セグメントにおいて、前年同期比で売上が大きく成長していることが分かります。特に広告プラットフォームサービスのノバセルの四半期売上はYoY+208.4%と、3倍以上に急成長しています。

また、もう一つの大きなポイントは、物流プラットフォームサービスであるハコベルの売上総利益率が17.4%(YoY+8.2pt)と、前年同期比で大きく向上していることです。

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次に、セグメント別の売上構成比を見ていきます。以前はラクスル事業が売上の大半を占めていましたが、ノバセルやハコベルの売上が順調に増加し、2021年7月期3Q累計ではこの2つの事業で全体売上の30%超に成長し、主力のラクスル事業に次ぐ、第2・第3の収益の柱となりつつあります。

新規事業の成功確率は、一般的に10%未満と言われているなか、ラクスルは、2015年にハコベル、2018年に現在のノバセルを新規事業としてリリースしました。これだけ確実に新規事業を当て続けるのはとても凄いことです。


注目ポイント#1:ノバセルの高い売上成長率

冒頭で記載した今回の決算におけるポイント、ノバセルとハコベルの成長について順番に見ていきましょう。

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1つ目の注目ポイントは、「ノバセルの高い売上成長率」です。上図はノバセルの四半期別の業績推移を表しており、今四半期の売上は26.1億円と、一気に増加していることが分かります。

これは、新規顧客の増加及び案件の大型化によるものと説明されています。大手企業の3月末決算に合わせて、広告の発注量が増加するという外的な影響も受けているようです。

そのため、次の四半期の売上予測は17〜17.5億円と、今四半期と比較すると減少見込みですが、前年同期比ではYoY+220.8%〜230.2%と高い成長を見込んでいます。


注目ポイント#2:ハコベルの売上総利益率の上昇

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次の注目ポイントは、「ハコベルの売上総利益率の上昇」です。上図の折れ線グラフが売上総利益率の推移を表しており、2020年7月期3Qから徐々に増加し続け、2021年7月期3Qでは過去最高水準の17.4%(YoY+8.2p)に上昇しています。

ハコベルの2021年7月期3Qの四半期売上は6.57億円(YoY+23.4%)と、売上総利益率の水準を高めながら同時に売上も成長させています。

これまで、ラクスルの今回の決算における注目ポイントを整理してきました。記事の後半では、注目ポイントであるノバセルの売上が急成長している要因と、ハコベルの売上総利益率が大きく向上している要因について考察していきます。

この記事は、マーケットプレイス型のビジネスに従事している方や、新規事業の成長戦略に関心がある方におすすめの内容となっています。

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・Q.ラクスルの新規事業ノバセル・ハコベルが急成長しているのはナゼ?の答え
・ノバセルとテレビCM市場
・ノバセルが切り拓いた新たな市場
・ハコベルの売上を因数分解
・ハコベルが高い売上総利益率を作り出せた理由
・まとめ

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