Q.ウォーレン・バフェットが大量保有する電気自動車会社BYD、Teslaと何が違うのか?
新着記事をTwitterでお届けします。下記URLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote
----------------------------
ヒント:両社とも垂直統合型のビジネスモデルだが、●●が異なる
この記事はhikoさん(企画・リサーチ担当)と masmさん(ライティング担当)との共同制作です。
この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)、1元=20円として記載しています。
皆さんご存じの世界的な投資家であるウォーレン・バフェット氏がCEOを勤めるバークシャー・ハサウェイが、長期的に投資している中国企業があります。
その企業は比亜迪汽車(BYD)という電気自動車会社で、バークシャー・ハサウェイはBYDが発行している株式の7.7%にあたる2.25億株を2008年9月から保有しています。
上の表は、バークシャー・ハサウェイの2021年12月31日時点の所有株式の一覧です。
約13年前、2008年9月時点の投資額は$232M(約232億円)でしたが、2021年12月31日時点の評価額は$7,693M(約7,693億円)、実に33倍を超える価値に成長しています。
一方、BYDと同じ電気自動車会社で、日本で最も馴染みがあると思われるアメリカのTesla社は、ウォーレン・バフェット氏からの出資を受けていません。
今回の記事では、ウォーレン・バフェット氏から出資を受け着実に成長を遂げているBYDを取り上げて、会社概要や成長要因を深掘りしていきます。
また、ウォーレン・バフェット氏が株式を保有しているBYDと、世界第一位の電気自動車会社Teslaではどのような違いがあるのか、という点についても分析していきます。
BYDの会社概要
まずは、BYDの会社概要について解説していきます。
BYDは1995年に中国の深圳市でバッテリーメーカーとして創業し、2002年に香港証券取引所に上場しています。現在は従業員22万人超、6大陸に27支社、30の生産工場を抱えるほどに拡大しています。
自動車メーカーとしての成り立ちは、2003年に小型車メーカー「西安秦川汽車」を買収し、BYDの自動車部門「BYD汽車」が設立されたところから始まっています。
現在でも、1.電気自動車事業、2.モノレール事業、3.環境エネルギー事業、4.ITエレクトロニクス事業と4つの事業を展開しています。
ITエレクトロニクス事業の携帯電話のODM(Original Design Manufacturing=委託者のブランドで製品を設計・生産すること)事業では、台湾に本社を構えるFoxconn(フォックスコン)に続き世界2位の規模となっており、Apple、ファーウェイ、Xiaomi(シャオミ)などの最新スマートデバイスの開発、製造を行っています。
2020年には新型コロナウイルスの流行に伴いマスクを製造、販売し、「世界最大のマスクメーカー」と言われるようにもなりました。時流に応じて幅広く事業を展開していることが伺えます。
上の表は、兵庫三菱自動車販売グループがまとめている世界のEV車のメーカー別販売台数ランキングです。BYDは、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle=ハイブリッドカー)を含めた電気自動車のメーカーとして、Teslaに次ぐ世界第2位に位置しています。
BYDの自動車メーカーとしての特徴は、Teslaと同じ垂直統合型モデル(製品の開発から生産、販売までを自社グループ内で行うこと)の体制を持っている点で、ガラスとタイヤ以外は自社で作るほど内製化が進んでいます。
また、電気自動車のコアである電池は、バッテリーメーカーから創業しただけあってBYDの得意分野です。BYDは車載電池メーカーとして中国で第二位の実績があり、自社製の電池を自社だけでなく他社のEVにも供給しています。
ちなみに中国第一位の車載電池メーカーは、世界でもナンバーワンのシェアを誇る寧徳時代新能源科技(CATL)という電池に特化した会社で、Teslaを始め、GM、BMW、トヨタなど世界の主要自動車メーカーとパートナーシップを結んでいます。
BYDの業績
次に業績の推移を見ていきましょう。
FY2021のBYDグループ全体の通期売上は4.32兆円、YoY+38%となっています。
事業別売上は、自動車がEVやPHV車がYoY+34%、スマホ関連のITエレクトロニクス事業はYoY+44%、電池関連の環境エネルギー事業はYoY+36%と、主力事業が好調な結果となっています。
BYDの営業利益は前年(FY2020)の2,270億円から半減し、FY2021で1,065億円でした。この営業利益の減少は、原材料費高騰の影響が大きく影響しています。
FY2020以前の営業利益率の水準は約5.5%で、日本の自動車会社と比較すると、トヨタの8.1%には劣りますが、ホンダの5%と同等の水準となっています。
また、TeslaのFY2021の通期営業利益率は12.1%で、直近FY2022Q1の四半期営業利益率は19.2%となっており、すでに世界最高水準の利益率でありながら、さらにその水準を高めています。
ここまで記事の前半では、電気自動車メーカーとして世界第2位のBYDの企業概要、業績を解説してきました。
ここからは、BYDとTeslaを比較し、同じ電気自動車メーカーでありながらどのような違いがあるのか分析していきます。さらに、BYD躍進の要因や戦略についても迫っていきます。
この記事は、自動車製造業に関わっている方、環境分野のビジネスに興味関心がある方、急成長企業の成長要因に関心がある方に最適な内容になっています。
----------------------------
ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、初月無料の有料マガジンをご購入ください。
有料マガジンは、無料期間終了後、月額1,000円となりますが、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加されるため、月に2本以上の記事を読む場合には、マガジン購読がお得です。
月末までに解約すれば費用はかかりませんので、お気軽に試してみてください。
有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。
・Q.ウォーレン・バフェットが大量保有する電気自動車会社BYD、Teslaと何が違うのか?の答え
・BYDとTeslaの違いその1:●●
・BYDとTeslaの違いその2:BYDの日本でのビジネス展開
・BYD躍進の背景
・まとめ
----------------------------
ここから先は
¥ 500