動画配信は、どの程度テレビに侵食しているのか? アメリカのテレビ・動画市場の5つのトレンド
前回の「世界最大の動画配信サービスNetflixの5つのここが凄い」に続いて、今日は、アメリカのテレビ・動画市場の5つのトレンドを見ていきたいと思います。
大きなトレンドとしては、皆さんご存知のように、(昔からある)電波放送としてのテレビから、ネット配信・ストリーミングへと移り変わる時期に来ています。この流れ自体は不可避なものだと思いますが、既存のテレビという巨大産業の中に、「ネット配信・ストリーミング」がどのように、どこまで侵食してきているのか、というのを詳しく見てみたいと思います。
1. ケーブルTVから動画ストリーミングへ
アメリカでは、日本と少し異なり、テレビを見るのに、ケーブルTVに加入する必要があります。ケーブルTVに加入しないと、主要なコンテンツがほぼ見れません。
また、インターネット接続も、ケーブルTVと同じ会社がセット販売するのが主流です。
水色がケーブルTVの加入者数、紺色がブロードバンドの加入者数です。
このグラフを見れば分かるように、2013年頃は、
ケーブルTVの加入者数 > ブロードバンドの加入者数
だったのが、2015年には
ケーブルTVの加入者数 < ブロードバンドの加入者数
と逆転しているのが分かります。Time WarnerやComcastなどの上位ケーブルTV会社が、ケーブルTV加入者数を1年前の44万世帯から、14.5万世帯減らした一方で、(AT&T傘下の)DirecTVやDish Networkは加入者数が微増だったとのことです。
ケーブルTV会社もこのまま黙って、ケーブルTV加入者数が減るのを眺めているわけではなく、以下のような施策を打っています。
オンデマンド・ストリーミングコンテンツを追加: 例えば、ComcastのStreamは、月$15を追加で払うだけで、オンデマンドコンテンツにアクセスできる。
より小さなケーブルTVパッケージを提供: 全てのチャネルが見れるパッケージ以外に、一部のベーシックなチャネルのみが見れるケーブルTVパッケージを提供しています。例えば、VerizonのCustom TVは2015Q2の新規獲得ユーザーの3分の1に選択されるなど成功していると言われています。
Netflix等のストリーミング専業会社へコンテンツ提供を止める: ケーブルTV会社が自ら作成した番組の一部は、Netflix等へ提供されてきており、それらが原因で「私はNetflixだけで十分なので、ケーブルTVには加入しません」という人が増えてきているので、Netflix等へのコンテンツ提供を止める、ということをし始めています。身近な例で言うと、アメリカでのF1の放映権は、Comcast傘下のNBCが有していますが、F1はNetflixやHulu等のストリーミングサービスでは見ることができず、ケーブルTVに加入せざるを得ません。
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・2. ケーブルTVと動画ストリーミングの売上シェア
・3. 動画ストリーミングを見る主なデバイスはテレビ
・4. 動画ストリーミングで人気のコンテンツ種別
・5. 動画ストリーミングの主要プレーヤーの加入者数
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