Q. 米国テック大手の決算から分かる、広告ビジネスの世界トレンドとは?
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今回は、以下の米国テック企業の決算から広告ビジネスのトレンドを分析していきます。
この米国大手企業の直近の決算で見ると、広告ビジネスのトレンドが変わりつつあることが見えてきます。各社どのような状況なのか、詳しく解説していきます。
各社の広告収益
まず各社の最新決算(2022年10-12月期)から広告収入の状況を見ていきますが、YoY(前年同期比)がマイナスの企業もあり、全体的に好調とは言い難い状況です。
2022年10-12月期のAlphabet(Google)の広告収入は$59.04B(約5.9兆円)、YoY-3.59%、Metaは$31.25B(約3.1兆円)、YoY-4.24%と売上成長率がマイナスになっています。
一方、Pintarestは0.68B(約680億円)、YoY+8.16%と広告収入を伸ばしており、Amazonは11.56B(約1.2兆円)、YoY+18.95%と最も大きく成長しています。
各社の状況を更に詳しく見ていきましょう。
Alphabet: ついに検索広告もマイナスに
まず、Alphabetの状況から見ていきます。
Alphabetは主な広告事業として、検索広告(Google Search & Other)、動画広告(YouTube Ads)、ネットワーク広告(Google Network)があります。
前四半期(2022年7-9月期)の時点で、YouTube Ads(YoY-1.86%)、Google Network(YoY-1.59%)は成長率がマイナスに転じていましたが、今回の決算で検索広告もマイナスとなりました。
検索広告がマイナスに転じたことに加え、YouTube Ads、Google Networkのマイナスが更に大きくなっています。
広告主の広告予算が減少する中で、検索広告は比較的成果と直結するため予算が削られにくい傾向にあるはずですが、それでも広告市場縮小の影響は免れない状況です。
Meta:どの地域も横這いもしくはマイナス成長
続いてMetaです。
Metaは、Facebook、Instagram、MessengerなどのSNSを元に広告事業を展開しています。
地域別の2022年10-12月期の売上を見ると、北米は$15.0B(約1.5兆円)、YoY-0.4%とほぼ横ばいですが、アジアは$6.0B(約0.6兆円)、YoY-3.5%とマイナスになっており、更に欧州は$6.9B(約0.7兆円)、YoY-15.5%と大幅に減少しています。
欧州では、ユーザー数も減少に転じており、2022年10-12月期のMAU(月間アクティブユーザー)は4.07億人、YoY-4.7%となっています。
広告予算が出ないというだけではなく、サービス価値の観点で危うい状況です。
一方で、広告インプレッション数はYoY+23%伸びており、特にアジア地域・その他地域での収益化・ARPUの向上は期待の余地があると言えます。
売上が低迷する地域では、Facebook、Instagramに次ぐ第3の柱として、Messaging領域の収益化の立ち上げが肝となっており、Metaが力を注いでいます。
Amazon: 他社が落ち込む中でも2桁成長
次に、Amazonの広告事業を見ていきます。
AmazonはECプラットフォームに広告枠を設置し、広告収益を得ています。
そのAmazonの広告収益は近年急上昇しており、2022年10-12月期は$11.56B(約1.2兆円)と$10Bの大台を突破し、YoY+18.95%となっています。
特にECプラットフォーム上での広告のため、CV(コンバージョン)という成果に直結することから、広告主も予算を捻出しやすいことが大きいと考えられます。
今後も、EC市場の拡大と共に安定的に伸びていくと思われます。
Snap: 北米は減少もその他地域の売上が牽引
次にSnapを見ていきます。
Snapは、写真共有SNS「Snapchat」を主軸とし、広告事業を展開しています。
2022年10-12月期の地域別の売上は、北米が$880M(約8,800億円)、YoY-6%と減少していますが、その他の地域は成長しています。
欧州は$219M(約2,190億円)、YoY+5%と微増ですが、その他の地域は$201M(約2,010億円)、YoY+28%と大きく成長しています。
Snapchatは北米の若者を中心に利用されているSNSであり、北米の売上比率が68%と大きいため、Snap全体の売上は横ばいとなっています。
Pinterest: 地域別のユーザー数と売上のバランスが異様
最後に画像共有サービスを展開するPinterestを見ていきましょう。
Pinterestは2022年10-12月期の$685M(約6,850億円)の売上のうち、北米の売上が$575M(約5,750億円)と、実に84%を占めています。
しかし、4.45億人のユーザーのうち北米のユーザーは0.95億人(21%)で、まさに2割のユーザーが8割の収益を生んでいる構図となっています。
その他地域のARPU(1ユーザー当たりの平均売上)は北米に比べて明らかに低い水準です。
北米とその他地域のARPUの倍率
Meta、Snapも北米のARPUがその他の地域よりも大きい傾向にありますが、Pinterestはその倍率が20倍と最も大きく、その他の地域で大きな伸びしろがあると言えるでしょう。
アルゼンチン、チリ、コロンビアなどの南米地域でも広告を開始とあるように、まだ各国で広告ビジネスを浸透させているフェーズであることがわかります。
ここまで記事の前半では、米国テック大手5社の広告収益を見ていき、成長率や傾向を把握していきました。
記事の後半では、広告ビジネスの全体的な傾向を押さえていき、今後の世界的なトレンドを考察していきます。
この記事は、広告ビジネスに携わっている方や興味がある方、な方、広告ビジネスの世界的なトレンドについて知りたい方、これから盛り上がる可能性を秘めた市場に関心がある方に最適な内容になっています。
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