Q. ドラマ「ファーストペンギン」と同じく水産業の流通を変えたフーディソンが上場、急成長できた理由とは?
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この記事はhikoさん(企画・リサーチ担当)との共同制作です。
日本テレビ2022年10月期水曜ドラマ「ファーストペンギン」は、水産業の流通経路を変えて産直を提供する「お魚ボックス」の物語でした。
この「お魚ボックス」をプラットフォームビジネスとして提供しているのが、2022年12月16日に上場した株式会社フーディソンです。
水産流通という、既存の卸業者など強い業界慣習がある業界で、何故、革新的なプラットフォームを構築出来たのでしょうか。また、今後のビジネスポテンシャルはどのくらい大きいものなのでしょうか。
今日は上記のポイントを中心に、フーディソンについて解説します。
日本の水産業の環境の変化
まず環境変化について説明しておくべきことがあります。
2020年に、食品流通にとって大きな法改正がありました。それまで生鮮食品の生産者は、卸業者を通して仲卸業者に卸すことが原則でした。しかし、2020年の卸売市場法の改正により、生産者が仲卸業者と直接取引ができることになりました。
この規制緩和は、卸売市場を活用するEC事業者に追い風となったのです。
ドラマ「ファーストペンギン」が昨年話題となりましたが、この物語は2011年の実話が元となっています。
内容は、まさに漁師が卸売市場を通さずに、直接料理店などに販売するシステムを発案し、実現していくというものです。坪内知佳氏の取り組みの実話は「news zero」や「news every.」など数多くのメディアで取り上げられ、話題となりました。
法改正前の2011年に、坪内さんがどのように漁師から卸売市場を介さない直接販売を成し遂げたのかは、ドラマもしくは原作でお楽しみ頂ければと思います。
このようなビジネスモデルを、現在は法改正の後押しも受け、プラットフォームビジネスとして提供しているのがフーディソンです。
フーディソンのビジネスモデル
フーディソンは、BtoBコマース、BtoCコマース、HRサービスの3つの事業を展開しています。まずは一つずつ、ビジネスモデルを解説します。
BtoBコマース「魚ポチ」は、生産者、卸業者、メーカーから仕入れた食品を自社ウェブサイトに掲載し、飲食店を中心に直接販売しているサービスです。
3,000以上の掲載商品から選んでオーダーすると、翌日〜3日後に配送してもらうことができます。
これまでは市場に買い付けに行ったり、仲卸業者に電話やFAXで注文する必要がありましたが、魚ポチはスマホで簡単に注文を完結することが可能です。また、購買データから適切なレコメンデーションを行うことで、発注時間の短縮も実現しています。
BtoCでは「sakana bacca」という実店舗での販売サービスを提供しています。
近所のスーパーマーケットでは販売していない魚や仕入れ産地にこだわった水産品を中心に取り揃えています。
JR東日本から出資を受けて駅中テナント4店舗を出店するなど、店舗の立地も強みの1つです。2023年1月現在、8店舗を展開しており、都内の主婦層はもちろん、アクセスが良いことから一人暮らし層にも利用されていると思われます。
さらに「フード人材バンク」というHRサービスも提供しています。中食の人材需要の高まりや食産業全般の労働者不足の課題を解決するための人材紹介エージェントです。
飲食店やスーパーマーケット向けに正社員候補を紹介しています。
上図はフーディソンの事業系統図です。
注目すべきはBtoB、BtoCともに商品の調達は共同で実施することができ、効率的な調達を可能にしている点です。
またHRサービスも、BtoBコマースのクライアントが顧客となるため、3つの事業が有機的にシナジーを創出していると言えます。
フーディソンの特徴として、大田区市場の中に自社の拠点を持っていることが挙げられます。
豊洲市場や全国の産地から食材調達を行い、自社拠点で品質管理、ロジスティクスの機能を抱えています。グループ会社と書かれているのは、関連会社で仲卸営業許可、豊洲市場の買参権を保有しているためです。これにより、効率的な調達を実現しています。
ここまで、フーディソンの事業領域とビジネスモデルについて解説しました。
記事の後半では、フーディソンの決算書を読み解きながら、フーディソンの強みと競合サービスについて解説します。
この記事は、食品流通ビジネスに関心のある方、ECに関心のある方におすすめの内容となっています。
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