Web3のトレンド、最新の波を知るためには? シバタナオキ×コムギ×オバラ (対談書き起こし・後編)
対談の後編です。前編をご覧になっていない方は、そちらを先にご覧ください。前編では、以下のテーマを語りました。
・なぜ今web3がトレンドなのか?
・web3的な働き方とは?
・web3プロジェクトへの参加方法と注意点
・web2以前の世界とweb3がどのように融合していくのか?
web2以前の世界とweb3が既に融合している分野とは?
オバラ:あっという間に50分ぐらい経ってきました。逆にコムギさん的にシバタさんに聞いてみたいことはありますか。
コムギ:そうですね。今日話していて思ったのですが、たぶん僕自身がWeb3という思想にかなりコミットし過ぎているせいで、既存の資本主義の原理というのをすっかり忘れているなというのが正直なところです。結構、理想主義じゃないんですけれども、理想はこうだよね、こうだよねと思っていたところを、たぶんシバタさんは結構冷静に見ていらっしゃるというのがよく分かりました。逆に、今、理想的にとらえてWeb3に向かっているというところとのバランスじゃないですけれども、それこそフィアットとCryptoのバランスのところは、今は相容れない価値観だよねという感じになっていますけれども、これが同時並行のやり取りがある世界じゃないですけれども、Web1、Web2的なものとWeb3的なものが仲良くしていく世界についてどのようにシバタさんが想像されているかなというのを聞いてみたいです。
オバラ:なるほど。面白いですね。
シバタ:そうですね。いくつかすでに融合してしまっている部分もあると思っています。例えば金融資産としてのCryptoという考えでいくと、アメリカでは相当なお金が機関投資家からビットコイン等に投資がされていて、そこに関してはたぶん戻らないだろうと言われています。機関投資家がビットコインや暗号通貨に投資したお金を丸ごと引き上げるということは、当然日々売り買いはしていますが、丸ごと引き上げるということはほぼないだろうと言われています。そこに関してはかなり既存の世界とも融合したと思います。資産運用に関しては、100ある資産のうち、たぶん数%がCryptoにもう流れていて、それが当たり前という状況になっていると思います。
一方で、決済のところを見るとまだ全然進んでいないわけじゃないですか。とてもじゃないですけれども日々の買い物では通信が遅すぎてCryptoを使えないですよね。決済が遅すぎて使えないですよね。また、働き方で言っても、先ほどMicrosoftとFacebookで2つの仕事を持っているという例を出しましたが、まだ少しそういう世界には遠いのかなという気がしたりしています。
ゲームの世界は、もう結構Axie Infinityなど今日お話した内容で、かなりWeb3の世界が既存の生活に、多くの人に浸食してきていると思いますが、それぞれ分野というか、ドメイン毎に濃淡があるなと思っています。おそらくゲームが最初に来るのではないかなと思います。ですので、これからたぶん今年あたりPlay-to-Earn型のゲームがもっとたくさん出てきてもいいのかなという気がしていますね。
ゲームが来たあとに次に何が来るんだっけというのを今考え始めているという感じですかね。お答えになっているかどうか分かりませんが、そんなふうに見ています。
コムギ:なるほど。近いところで考えていたこととしては、分散型アプリケーション(Dapps)が、アプリケーションが圧倒的に足りていないよねという感じがするということです。ゲームや、STEPNのようなライフスタイルアプリがあるぐらいで、そのほかに使い先がないと言ったらあれなんですけれども、NFTもせいぜいプロフィールピクチャーしか今は使えていないというのがあります。その使い先、当然メタバースなど開発はどんどん進んでいるのですが、時間がとにかくかかると思うので、それがライフスタイルアプリケーションのように既存のアセットを使えるものがあったりするといいなと思います。
アプリケーションが回るようになると一気に、焼き畑という表現してしまいましたけれども、〇〇-to-Earnでここなら稼げる、一気に行こうぜというふうに集中してしまうというのが現状だと思います。これが結構たくさんのDappsがあると、分散的にもっと健全なエコノミーを形成するのではないのかというところは考えていたところです。わりとゲームに限らずという話はあるにしても、近いところを何となく想像していたのかなというふうに今の話を聞いていて思った感じですかね。
オバラ:やはり、あらゆるものがネットによってまずゲームチェンジが起こったんですよね。ネットの前の世界では資本がものすごい必要で、機械の整備や製造というものがあったので、ビジネスにおいては先にB2Bが来て、そのあとにB2Cにいきますというのがインターネットの前のビジネスでした。
しかし、インターネットが始まったことによって、インターネットは基本的にはPower to the Peopleですので、みんなが力を持てますし。もっと言うと、新しい技術を使う側もつくる側もリテラシーを持っている人間が最初どうしてもテクノロジーが足りていないときというのはUXが足りていない部分が多いです。そうすると、一部のデジタルリテラシーが高い人だけが享受できるビジネスというものから始まるか、ゲームという分かりやすいみんなでリテラシーを超えて楽しめるエンターテイメントというもので始まるようになっていて。これはもうPCのデスクトップインターネットのときからそうですし、モバイルのインターネットもそうですし、今、メタバースもそうです。
そういう意味で言うと、メタバースというのは、もうある種、今のところようやくヘッドセット型のディスプレイが普及することによってOculus Questの上で1億円以上稼ぐプレイヤーがもう100社以上出ましたというぐらいのコアゲームマーケットが立ち上がってきていて、それと同じようなタイミングとして考えていくと、やはりWeb3もエンターテイメントとして始まる部分があります。
一方で、NFTをしていなくても、世界最大の今やファッション会社ってフォートナイトなわけですよね。あの上には時価総額で言えば4兆円で、トランザクションベースで言えば4,000億円のデジタルファッションが売買されていて、NFTなんかなくたって。それはある種、そこの上にアバターを稼ぐためというものの経済圏というものがこのあと乗ってくる可能性が、実際コンサートのライブで米津玄師が稼ぎますという話がありますので、そういう意味ではエンターテイメントというのは、こういったプラットフォームの歴史から考えたら順当で始まるところです。
一方で、後ろから逆算で考れれば、そもそもWeb3はWeb2の反省から来ているので、結局Web2の反省って何だったかと言うと、ユーザーが情報を上げることがたくさんできるようになりました。動画を上げることによってYouTubeが動く、写真を上げることによってInstagramが動く、食事のレビューをあげることによって食べログが動く。
メタバースでのゲーム開発、プラットフォームに依存すべきか否か?
オバラ:でも、気付いてみれば、上げたことによってYouTubeやInstagramという中央集権の権力が高まってしまって、結果、蓋を開いてみると、App Storeがテイクレートを3割、要は3割の寺銭を取り続けるということが生またし、気付けばAmazonも、実は昔はプラットフォーム側に払うお金は15%ぐらいだったのが、今や38%払うようになっているんですね。要は、中間マージンは中央集権が、もちろんAmazonはフルフィルや倉庫、輸送まで出してくれるから38%という便利さはあれ、中央の人にマージンをものすごく払う構造になっています。
そこら辺を、逆に言うとマージンを支払っているものがディスラプトされるというのがWeb3の逆算で考えた構造で考えれば、マージンをたくさん取っている業界をWeb2的に先にしておいて、下のインフラをあとでWeb3に変えていくほうが15年先20年先を考えたら有望な土地というふうには考えられますよね。例えば、ホットペッパービューティはテイクレート40%以上取ってしまっているし。
シバタ:そこでいくと、ゲームの世界で、今、ゲームを作っている人たちがどういうふうに考えているのかというのは僕も知りたいなと思っているのですが、App StoreやPlay Storeの世界が、スマホのゲームの世界がありましたよね。今、FacebookがOculusというか、メタバースのところでゲームのプラットフォームを当然つくっていますよね。1億円以上稼げる人が何人出たという話が当然出てくる一方で、たぶん彼らは直接Cryptoをあまりかまさずにおそらく行うと思うんですよ、最初は普通にメタバースのゲームで。
オバラ:そうですね。
シバタ:ただ、たぶん最初から40%ぐらいテイクレートを取るんですよね。そういう話になっていて、4割取られる世界、3割4割取られる世界が残るわけですよ。ただ、Facebookの、Oculusもそうですけれども、ユーザーの数でいくとものすごいいるので、ゲームのディベロッパーからすると魅力的なプラットフォームがありますという一方で、今度は一方でAxie Infinityのような、自分で0からつくってしまうと、もうとんでもなく大きくなってスケールして、誰にもマージン取られないという世界がありますよね。これからゲームディベロッパーはどちらにいくのかなというのは少し興味がありますね。
コムギ:なるほど。
シバタ:僕がゲームをつくれるとしたら、Facebookの力を借りてOculusのユーザーをたくさん取ってくれて40%取られ続けるのがいいのか、自分でギャンブルをして0からユーザーを取りにいくのがいいのかというところでいくと、どちらがいいのかなというのは、ゲーム会社の人からすると非常にこれは経営的に難しいなと思うんですよね。大きなオポチュニティが目の前に2つあって、どちら側にみんないくのかなというところはすごい個人的には興味がありますね。
コムギ:確かに。そうだと思います。
オバラ:でも、ある種例えば、ユニスワップをベースにスシスワップがなぜあんなに急激にユーザーを伸ばせたかと言うと、やはり初期ユーザーが早めに移れば移るほど得をするというトークンインセンティブの構造だったり、Axie Infinityもそうですが、スカラーシップのように周りを巻き込むことのハードルを下げる仕組みをつくると結果的にトークンインセンティブで儲かるからというふうに、今まではプラットフォームが持っているユーザーの力を借りるから、むしろ借り続けなければいけない構造になってしまっているから、結果的にテイクレートと言われるプラットフォームにかかる手数料を上げていく方向にいくわけです。
でも、むしろWeb3というのはある程度オープンソースだったりクリエイティブコモンズでやり方を公開していかなければ、みんながそこは筋が悪いと言って使わないといったところもあります。そうすると、遂に、ユニスワップからスシスワップへというような、構造として同じようなものが横で立ち上がって、それが周りを巻き込むことが、協力すると自分たちにとってもトークンインセンティブがつくから集客力を持つというところの熱さがあります。
それこそ英語版しかなくて恐縮ですが、Web3に大きく張っているa16z、Andreessen Horowitzが、一昨年の9月頃にCommunity Takes Allというブログを出していて、結局、今まではGoogleやFacebookといったポータルが全部を持っていく、ネットワークエフェクトをつくった人たちが、というふうになっていたんだけれども、コミュニティがいる人が、ほかの人がいるから熱くはまるし、はまっていくと、そのはまっていく行為の中で外の人を巻き込みたくなるしという、そういうエンゲージメントでどんどん深みにハマるループと、フックループ、新しく人を連れてくるループというもののダブルループが設計されていくと、コミュニティが全部を持っていく時代になるんじゃないか。このCommunity Takes Allのフック&エンゲージメントループをどのようにつくっていくかということがものすごく大事なんだということを言っていたりしますね。
シバタ:面白いですね。ありがとうございます。
オバラ:Twitterに貼りますので、貼っている間にコムギさんが良い話をします。
コムギ:(笑)そうですね。今、お伺いしていて、私がまだまだベンチャーキャピタルに身を置いて浅いからなのか、Web3プロジェクトをいろいろ見させていただく中で、こうやれば稼げる、儲かるという話があまり出てこないんですよね。たぶんすごいシードやアーリーのスタートアップに投資しているからだと思いますが、テイクレートはとか、そういう議論にあまりならなくて。仕組みが少し通常の株式会社と違うんだろうなというのを、お話を聞いていて、ものすごく「ああ、そうだな」と思いながら聞いていました。
その一方で、儲かる、稼げるという感じよりは、Axie Infinityで言うと、例えば、YGGなどもそうなんですけれども、「人々の生活が改善した」というようなことを、プロパガンダ的にしているところはあるかもしれないですけれども、そちらを大事にしているような感じがするんですよね。だから、事業会社という利益を生むという仕組みと少しやはり違うカルチャーがあるのかなという印象を常に持っているんですよね。という感想をコメントさせていただきました。オバラさん、こんな感じで大丈夫ですか。
オバラ:ごめんなさい。まだツイートしているので。
コムギ:そうなんですね。(笑)
シバタ:そうですね。Web3プロジェクトの中でも、たぶん本当に非営利でミッションドリブンでしているのもあると思いますし、営利目的で普通に稼ぐことを目的にしている人たちもいると思いますし、それは両方あるのではないかと思います。
コムギ:そうですよね。いや、きっとそうなんだろうなと思います。結構、株式会社の売上、利益といったところとこの経済圏ですね、本当にX-to-Earnでいくと全部、NFTから、ガバナンストークンから、ユーティリティトークンから、全部価値の流通をつくって経済圏そのものをつくっていこうという感じのものだと思います。ただ、そこでは結構トランザクションが増えていくのはもう全体として、人口増という話が最初のほうにありましたが、人口増を続けながら少しずつ経済成長をさせていきましょうというような、本当に国家的な考え方ではありませんが、そういう考え方でしているような気がしています。
そこは価値観としても、一気にユーザー数を増やすと逆にエコノミーが壊れるというようなところがあったり、やはり少し違うところがあるんだろうなと、私自身が別にWeb2以前のベンチャーキャピタルやビジネスをそんなに詳しく知っているわけではありませんが、そんなような感想を、今日久々にWeb3の海外以外でお話させていただいたときに、明らかに自分の考えていることに自分自身で違和感を感じるという、不思議な経験だなと今話しながら思いました。どうですか、オバラさん。
オバラ:そうですね。だから、やはり通常のスタートアップとWeb3の違いは、Web3というのはもちろんAxie Infinityのような、遊び場所のような、ある種のゲーム空間ではなく、やはりDeFiだったり、それこそEthereumとなると、結局プロトコルですので、その場を通る川や海をつくっているようなものですから。そうするとやはりEthereumってもう20兆円の流通があるわけだし、例えば日本発でも渡辺創太さんが行っているAstar Networkも流通総額で言うと3,000億円がもうすでに動いているんですよね。
そうすると、やはり川や海を設計するということは流通総額そのものがやはりスタートアップの10倍~100倍の速度で上がっていく。ただ一方で、Ethereumって創業者が持っているEthereumって0.2%ぐらいしかなくて。だから、10倍で100倍で育つ分、創業者が持つオーナーシップというのが別に100分の1でも構わないという、そこがやはり今までのベンチャー投資と感覚が違う部分なのかなと思っています。だから、自分のところに価値を閉じ込めるよりは、価値が流れる大河、川の大きな流れをつくればつくるほど全体の流れる血脈が生まれてきてというところです。
コムギ:そうですね。
web3プロジェクトの資金調達状況は本当に活況そのもの
オバラ:だから、逆に言うと、それが分かっているから、結局、今のWeb2にしろ、インターネットというのがもともとクリントン政権のときにアル・ゴア副大統領のインターネットハイウェイ構想というのがあって、もともと軍事と学術目的にしか使っていなかったインターネットを、アメリカが巨額のインフラ投資をしてくださる、その代わり民間転用させましょうという、土地づくりから始まっているわけです。それが先ほどの文脈でおっしゃるように、アメリカが、「Web3そろそろ来ている、やばい、追い付かないと」ということで、要はWebの中の新しいゼネコンですよね。そして、新しい川の流れをどんどんつくっていって、だから、イーロン・マスクから「所詮Web3なんてaとzの間にしかないんじゃないの?」というような。あれ、この皮肉を言ったのはジャック・ドーシーだっけ?
コムギ:そうですね。(笑)
オバラ:と言われるということなのかなと個人的に思いますね。いや、でも、だからこそ逆に言うと、アメリカを中心としたWeb3に関する資本調達金額は、今すごいんですよね、シバタさん。
シバタ:そうですね。毎日のように何十件とたぶん調達が出ている感じです。
オバラ:金額の桁が違いますよね。
シバタ:そうなんですよね。やはり最初からグローバルにいくプロジェクトがほとんどですので、そういう意味では、あとお金が余っているというのもあると思いますが。
オバラ:そうですね。コロナで特にお金を刷ってしまったから。
シバタ:そうなんですよ。Web3系の専用のファームもできていますし、調達系はすごくいってしまっているなという感じです。私の「決算が読めるようになるノート」のチームが「web3事例データベース」というのをつくっていて、毎週毎週新しく資金調達をした会社の中から選りすぐりで何社かを紹介するといったことをしていますのですが、一応、中の議論としては、$10Mですので日本円に換算すると13億円ぐらい、それを一応資金にしていると。
オバラ:今は13億円になってしまいましたね。
シバタ:はい。それを調達した会社の中で何社かフィーチャーしようとしているのですが、どれを選ぼうかという議論が結構中で起きていまして、私は見ているだけですが、そのぐらいたくさん毎週毎週資金調達が行われている感じなんですね。
もし、Web3のプロジェクトを仕事でする必要がある、調査をしなければいけないという人がいましたら、ぜひ「決算が読めるようになるノート( irnote.com )」のところから見てみてください。「web3事例データベース」というのを月5万円で皆さんの代わりに弊社がリサーチしますという感じになっていますので、興味のある方はぜひご購入いただければなと思います。量的にはかなり信じられないぐらいの量のWeb3プロジェクトが生まれて、そこに対して信じられないような金額のお金が投資されている感じですね。
オバラ:そうですよね。だから、今日面白かったのは、そういう新しい流れというのが、やはり国として新しい顔をつくるために特に米国はお金が集まってきています。そこの中で、一方で参加者側としての貢献の仕方というものがあるし、その中間的なものとして今までの通常的なC-Corp的な株式会社的な在り方とDAOというところに中間的なものがたくさん生まれていっています。このダイナミズムを今体感して、やはり次のルールをいかに先取りするのかというのが個人的には大事なところかなと思っています。
というところで、あっという間に1時間経ってしまいましたね。
コムギさんが感じたweb3への違和感とは?
コムギ:そうですね。いや、ちょっと反省します。
オバラ:どうしたんですか、コムギさん?
コムギ:いやいや。たぶん何かが違うんだと思うんですよね。(笑)
オバラ:その違和感を大事にしましょうよ。
コムギ:いや、そうそう。(笑)全然、普段考えていることと全然違ったんですよね。
オバラ:それは1個だけ注意しておかないといけないのが、僕とシバタさんは物事を構造化して考えることが大好きな2人ですので、構造から逆算でトレンドを考えるんですよ。
コムギ:はい。
オバラ:だから、僕とシバタさんはVCに向いていないんですよ。
コムギ:うーん、そうなんですか。
オバラ:うん。だって、VCというのは半歩先や1歩先の価値がグッとホッケースティックのように上がるポイントを見つけて投資することがVCの役割ですので。
コムギ:なるほど。
オバラ:僕とシバタさんは、どちらかと言うと、ロングスパンで見たときにこういうふうに生態系って変わってくるよねというふうに、どちらかと言うと、フィールドワークの学者さんのようなところがありますもんね、シバタさん。
シバタ:そうですね。僕も「VCやれやれ」といろいろな人に言われていますが、僕は絶対うまくいく気がしないのでやらないです。(笑)
コムギ:なるほど。そうなんですね。(笑)
シバタ:おっしゃる通りです。ありがとうございます。素晴らしい。
コムギ:いやー、そうですね。
オバラ:ただ、僕の目から見ると、先ほどのSTEPNなどは所詮アンインテンショナル・ポンジ・スキームじゃんというふうに見えてしまうんですよね。
コムギ:そうですね。
オバラ:でも、それはSTEPNをしている創業者の方々は、そんなつもりは全然ないし、途中で化ける可能性もたくさんあるし。
コムギ:そうですね。たぶん。
オバラ:今、現状で言えば、熱狂が集まっているときに相転移って起こるので、やはり熱狂と相転移のバランスを見ながらそこに張っていくというのがやはりベンチャーキャピタルだったりするので。
コムギ:そうですね。結構ユーザーも、チーム、プロジェクト全体もそうなんですけれども、わりと未来に対して価値を感じてそこに投じるますよね。ですから、結構、確かに現状を見ると、アンインテンショナル・ポンジ・スキームというふうに見えるというのは構造で見ているお2人からすればそうなんだろうなということを思いつつも、やはりそこは信じたいというようなところがあります。Web3全体を見渡すと、それはやがて技術が解決するとか、テクノロジー楽観主義的な立場になっているのかもなというのが違いだったんだろうなと思いました。
オバラ:なるほどね。そうですね。それから、もう1つは、どうしても米国寄りで見ていると、Web3ってプロトコルですので、プロトコルとして下から固めていくというところのプレイヤーがやはり多くなって、一方で、日本をベースにしていると、アプリケーションレイヤーの、もう下がある程度不完全でもみんなが楽しめるから動くよねというやはりアプリケーション寄りのところからのアプローチになってしまうので。
コムギ:それはおっしゃる通りですね。
オバラ:そこのバランスというのも、もう1つあると思いますよ。
コムギ:そうですね。そこのカルチャーギャップは、日々感じるところですね。
オバラ:はい。でも、逆に言うと、日本はやはり下の技術が大したことなかったとしても、やはりみんなが愛してやまないものという資産がたくさんあるわけで。
コムギ:はい。そこは信じていますね。
オバラ:例えばiモードのような白黒のドット絵の時代から待ち受け画面というものが取引されたし、それで結局、待ち受け画面やキャラクターのスタンプ、そういったもので日本だけで1,200億円の市場があったわけですよね。
コムギ:はい。
オバラ:だから、やはりそれはみんなが意味を感じるものはそれを持ち続けたいし、そこで一緒にたわむれたいし、それがやはり本来的に言えばNFTの本質で、やはり役に立つものはSaaSのように利用の方向に向かうけれども、意味のあるものは、例えばロトの剣は保有し続けたくなるから、やはり保有し続けたくなる理由をつくれる魅力の源泉をつくれるのはやはり日本の力であり、やはりAxie Infinityが今のところは少し価値の逆流が起きて、やはり価値が下がってしまっているのは保有し続けたい意味を残念ながらまだつくれなかった。稼ぐために遊ぶだけであって、持ち続けるために遊ぶでは残念ながらまだなかったというのが今のフェーズであって、ここから先はまだAxie Infinityもまだまだ化ける可能性もあると思います。
コムギ:そうですね。そこはもう本当に不幸なところだったなと。今日お話した範囲でいくと、やはりアプリケーションが圧倒的に足りていないので、次に稼げるものというのをみんな待っているような状況になってしまっているというのは、まだまだプロトコルレイヤーが強い時代がずっと続いているので、これからどうなっていくのかというところが自分たちの張る方向だろうなと思っているというのがありますね。長くなりましたが、やめておきましょうか。(笑)すみません。失礼しました。
オバラ:はい、そういう感じですね。ということでね、こういう少し変化の激しい時代は、逆に言うとやはり定点観測し続けることが大事だったりしまので、ぜひご興味ある方は、シバタさんの「web3事例データベース」を登録して見たりしていただければですし、コムギさんもフォローしていただければと思います。
最近はどの辺のメディアでの発信が多いですか。最近はやはりメディア発信というよりかは、もうやはりVCとしての活動が中心になっているのですか。
コムギ:(笑)そうですね。発信は完全にTwitterに集中させているというのが正直なところです。一応、編集者の仕事として告知を入れるとしたら、伊藤穰一さんの本を今手伝っていて、6月6日に発売予定というのがありまして、まさにWeb3の本なんですけれども。
オバラ:Web3なんですね。
コムギ:そうですね。『テクノロジーが予測する未来』という書籍がSB新書からでる予定で、そちらを手伝っています。別に告知はいらなかったですけれども。
オバラ:そうですね。Joiが日本に戻ってきて、次の6月14日か、デジタルガレージ主催で「web3 Summer Gathering」があるので、結構これもいいメンツが集まっているのでね、ご興味ある方は参加されるといいと思います。
コムギ:ですね。
オバラ:相変わらず渋いなという感じですよね。というわけで、あっという間のほぼ1時間半になってしまいましたけれども。シバタさん、もうなんだかんだ言って朝6時半?
シバタ:6時20分ぐらいになってきましたね。
オバラ:ということは、もう1回寝れないんですよね。
シバタ:もう1回寝る…。そうですね、寝ないほうがいいかもしれないですね。
オバラ:というわけで、早朝から本当にありがとうございました。
シバタ:いえいえ、こちらこそありがとうございました。
コムギ:ありがとうございます。
オバラ:はい。というわけで、今日はまた濃厚なお時間をありがとうございました。そしてね、その中で135人もの方に集まっていただきありがとうございました。これはTwitterスペース自体録音されているので、あとから聞き直したいなという方は最初から巻き戻して、たぶん最初の5分ぐらい少しグダグダがあるのでスキップして、倍速だったり1.5倍速だったりお好みの速度で聞けるのでもし聞き直していただければと思います。聞いてみて「これはシェアする価値があるな」と思った方は、このTwitterスペースのURLをシェアしますとアーカイブとして皆さんにシェアがされますので、皆さんのヒントになればです。あと、これは書き起こしをするんですよね、シバタさん。
シバタ:はい。書き起こし、頑張ります。
オバラ:というわけでね、少し途中トラブルでグダグダもありましたが、皆さんの参考になればです。今日は長い間ありがとうございました。
コムギ:ありがとうございました。
シバタ:ありがとうございました。
--- * ---
最後までお読みいただきありがとうございました。
web3についてもう一歩踏み込んでインプットをしたい方向けに、2022年4月より、「web3事例データベース」を開始しています。
web3プロジェクトの調達情報、カオスマップ、事例集を週次更新で提供しています。web3の最新トレンドをいち早くキャッチしたい方は、以下のnoteより詳細をご確認ください。