音楽配信ビジネスの1ユーザーあたりの売上いえますか? Spotifyの次のビジネスモデルが誕生?
前回は「ストリーミング音楽配信」市場について書きましたが、今回は、その音楽ストリーミングビジネスの2大ビジネスモデルである「有料課金型」と「広告型」のビジネスについて詳しく見ていきたいと思います。
「有料課金型」と「広告型」の代表例: SpotifyとPandora
ストリーミング音楽配信ビジネスが「有料課金型」と「広告型」の2つに分類されるという話は上述の通りですが、それぞれのビジネスモデルを詳しく見てみたいと思います。スライドは、Activateによるものです。
「有料課金型」の代表: Spotify
Spotifyのサービスは、日本のLINE MusicやAWAとほぼ同じです。無料でも利用できますが、機能に制限があって、全機能を利用するには、月額$9.99(約1000円)の有料プランに申し込む必要がある、という形です。
Spotifyは上の図の下側にあるようなビジネスです。2014年時点での売上$1.3B(1300億円)のうち、92%にあたる$1.2Bが、月額課金による売上です。有料会員数(2000万ユーザー)は、全会員数(7500万ユーザー)の27%と非常に高いのも特徴です。
また最近のレポートでは、有料会員数が3000万ユーザーを突破したというデータもあり、有料会員比率が30%近くなるといった具合に、売上成長は非常に好調に見えます。
最近は、Apple Musicなど、大手が同じモデルをコピーしてきていますが、有料会員数ベースで見れば、Spotify3000万ユーザーに対して、Apple Musicが1100万ユーザーと、シェアではSpotifyに先行者利益がある、というのが現状です。
他方、こういった大手の参入は、顧客獲得コストの増大につながるのも事実で、最近では、$1B(1000億円)もの金額を(投資家に有利な条件とも見える)社債で調達するなど、収益化への道はまだ遠いようにも見えます。
「広告型」の代表: Pandora
Pandoraのモデルは日本の方にはあまり馴染みがないモデルかもしれません。Pandoraはラジオに非常に近く、ユーザーは自身で選曲するというよりは、受け身で音楽を聞きます。
Pandoraの2015年の決算を見ると、売上$1.16B(1160億円)に対して、原価(この場合はほぼ音楽ライセンスコスト)が$697m(697億円)となり、原価率が60%と非常に高いのが特徴です。その後、営業費用が$636m(636億円)かかり、$170m(170億円)の営業赤字でした。
売上$1.16B(1160億円)のうち、19%にあたる$221m(221億円)が、月額課金による売上です。有料会員数(8300万ユーザー)は、全会員数(400万ユーザー)の5%と非常に低いのも特徴です。
以上、整理しておきます。
有料課金型の代表: Spotify
売上のうち有料課金の割合: 92%
ユーザー数のうち有料課金の割合: 27%
広告型の代表: Pandora
売上のうち有料課金の割合: 19%
ユーザー数のうち有料課金の割合: 5%
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