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Q. 先日上場したChatwork、課金ユーザーあたりの売上はSlackの何分の一?

A. Chatworkの月次ARPPUは約321円。Slackは約2,993円。
よって、Chatworkの課金ユーザーあたりの月次売上高はSlackの1/9以下。

この記事はYusuke Gotoさんとの共同制作です。

共同制作者のYusuke Gotoさんは、複数事業展開している企業のSaaSでセールス担当をされており、SaaSビジネスに造詣が深いサウナ好きのライターさんです。

今日は、先日上場を果たしたChatworkと、何度かここでも取り上げているSlackのビジネスを詳しく見ていこうと思います。

Chatworkは、業務上のコミュニケーションを効率化することのできるビジネスチャットツールでSlackと似たSaaSを提供しており、「生産性向上」や「SaaS」といった観点で、今非常に注目度の高い領域のビジネスかと思います。

まず初めに、それぞれの決算の概要を見ていきましょう。

東京証券取引所マザーズへの上場に伴う当社決算情報等のお知らせ(2019/9/24)

Investor Presentation Second Quarter Fiscal Year 2020(2019/9/4)


Chatworkの決算概要

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2019年12月期第二四半期終了時点の売上高が約8.5億円でYoY+30.7%、営業利益は5,500万円でYoY+157.9%と、非常に高い成長率を記録しています。

※Chatworkの前年度第二四半期末時点の数値が開示されていないため、前年度通期の決算を単純平均して成長率を算出しています。


Slackの決算概要

続いてSlackの直近四半期の決算を見ていきます。

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売上高は$145M(約145憶円)でYoY+58%と非常に早いペースで成長しています。

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Non-GAAPベースの営業利益は△$56M(約△56億円)でYoY-38%で、大きな赤字を記録しています。引き続き投資に注力している状況と言えるでしょう。


課金ユーザーあたりの月次売上高(以下、ARPPU)はSlackの何分の一?

では次に、タイトルにも記載のあるARPPUを見ていきましょう。
まずはChatworkのARPPUを計算していきます。

新規上場申請のための有価証券報告書

成長可能性に関する説明資料

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2019年12月期第二四半期末時点のChatwork利用料(課金収益)は約7億円となっています。

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課金ユーザー数は36.4万ユーザーを抱えています。

上記数値からARPPUを計算すると以下のようになります。

2019年12月期第二四半期
売上高(Chatwork課金収益):約7億円
課金ユーザー数:36.4万ユーザー
=> ChatworkのARPPU=7億円÷36.4万ユーザー÷6=約321円

Chatworkの料金プランは400円、500円、800円の3種類ですが、ARPPUは約321円と低めの数字が出ています。これは、KDDIへのOEM提供が影響しているのではないかと考えられます。

次に、SlackのARPPUです。

Q.Slackの1社あたりの平均ユーザー数は?

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直近四半期開始時点で、9.5万社が登録している状況です。
以前この記事で紹介したSlackの1社あたりの平均ユーザー数(17ユーザー)を当てはめると、Slackの課金ユーザーは約161.5万ユーザーであると考えられます。

冒頭紹介したSlackの売上高と合わせると、ARPPUは以下の通り求めることができます。

売上高:$145M(約145憶円)
課金ユーザー数:約161.5万ユーザー
=> SlackのARPPU=約145億円÷161.5万ユーザー÷3=約2,993円

まとめると以下のようになります。

ChatworkのARPPU:約321円
SlackのARPPU:約2,993円
=> ChatworkのARPPUはSlackの1/9以下

かなり大きな差分があり、Slackのビジネスとしての凄さや、Chatworkの伸び代の大きさを感じることができるのではないでしょうか?

今日の記事後半では、ChatworkとSlackの違いを、ARPPUだけではなく、様々な視点から読み解いてみたいと思います。

この記事は、SaaSビジネスに携わっている方、継続課金型のビジネスを担当されている方、メッセージング系のサービスに興味のある方に最適な内容になっています。


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・課金ユーザーあたりのLTVは?
・投資・回収モデルは?
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