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Q. 新規上場のVTuber事務所カバー、ANYCOLORとの利益率に違いが生まれる理由は?

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ヒント :カバーの方が●●が高く、●●を積極的に行っている

この記事は沼幹太さんとの共同制作です。

今回は、2023年3月27日に東証グロース市場に上場予定のカバー株式会社を取り上げていきます。

カバーは2016年6月に設立された比較的新しい企業で、キャラクターIP(知的財産)の開発やVTuberプロダクションをメインの事業としています。

カバーが運営するVTuberプロダクション「ホロライブ」は、2022年6月に上場し話題を生んだANYCOLORの「にじさんじ」と並ぶほど有名です。そのANYCOLORの時価総額は一時3,000億円を超え、民放キー局のフジ・メディア・ホールディングス(フジテレビ)、日本テレビホールディングス、TBSホールディングスを上回る時価総額になる等、VTuber市場は今後の注目度が高い市場です。

今回の記事では、カバーの業績をANYCOLORと比較しながら、カバーの強みや今後の事業展開を考察していきます。


ホロライブは少数精鋭、にじさんじは多士済々

まず、パーセル|毎日図解で投資を学ぶさんのツイート(上画像)を紹介しながら、カバーの「ホロライブ」とANYCOLORの「にじさんじ」の定性的な比較を見ていきます。

にじさんじは、所属VTuberは大所帯でバラエティ感が強く、男女の様々なVTuberが所属しており、多種多様で自由な印象のプロダクションです。

一方、ホロライブは所属VTuberの人数を絞っており、アイドル感を強く押し出しています。にじさんじとの最も大きな違いは、女性VTuberのみのプロダクションであることです。(男性のキャラクターは「ホロスターズ」という別のプロダクションに所属)

VTuberの総数は2022年12月時点でカバー全体として71名、ANYCOLORは2022年10月末時点で169名です。ANYCOLORの方が約2倍以上のVTuberを抱えています。

共通するのは両社共に海外展開に積極的である点です。国内に加え、英語圏とインドネシアに進出しており、ANYCOLORは韓国にも進出しています。


配信やライブで育成したIPをコマースやライセンスで事業展開

次に、カバーの事業内容について見ていきます。
カバーの事業は主に以下の4つです。

1.配信/コンテンツ
VTuberによるライブ配信などの動画コンテンツの提供や、音楽ストリーミングサービスでの楽曲コンテンツの提供をする事業
収益源:視聴者からの会費やSuper Chat、YouTubeからの広告収入、楽曲コンテンツの販売収益等
コスト:コンテンツクリエイター(演者)への収益配分やプラットフォーム手数料などがある

2.ライブ/イベント
所属VTuverのライブコンサートやファンミーティングなどのイベント事業
収益源:チケット販売収益やイベントでの物販収益、イベント収録映像の販売等
コスト:イベント制作費、演者出演料等

3.マーチャンダイジング
VTuberのIPを活かしたキャラクターグッズ、デジタルコンテンツの販売事業
収益源:ECでのコンテンツ販売収益
コスト:グッズの製造費用、演者収益配分、決済手数料等

4.ライセンス/タイアップ
カバーが保有するIPの使用権利の提供(ライセンスアウト)、VTuberのメディア出演などのライセンス事業
収益源:ライセンスアウトのロイヤリティ収益、プロモーション料、出演料等
コスト:一部制作費、演者への出演料配分等

このように、カバーはVTuberの幅広い活動によって事業を展開しています。


売上と売上総利益率は肉薄、しかし営業利益率はANYCOLORに軍配

次に、カバーの業績をANYCOLORと比較しながら見ていきます。

上のグラフは、FY18以降のカバーの売上と売上成長率の推移ですが、4、5年の短期間で急激な成長を遂げてきたことがわかります。

FY22の売上は136.64億円、YoY+138.7%と2倍以上の急成長を続けていますが、FY23はQ3までの累計では成長鈍化が見られます。Q3累計の業績を通期に換算すると170.69億円となり、YoYでは+25%程度となります。

売上をANYCOLORと比較してみると、FY22ではカバーの136.64億円に対し、ANYCOLORは141.64億円と、カバーの急成長により売上規模の差はほとんどなくなってきていました。

一方、ANYCOLORはFY23通期の売上予測を225億円(YoY+58.9%)としており、直近では差が開く見通しとなっています。

ANYCOLOR 2023年4月期 第2四半期決算説明資料

両社の売上の内訳で比較してみると、共に4つの事業から構成されており、呼び名は違えど事業内容はほぼ同じです。

カバーはANYCOLORに対しライブ配信に関する売上が大きく(カバー35.9%:ANYCOLOR19.7%)、YouTubeのSuper Chatからの売上などが収益源として大きいと考えられます。

一方、ECサイトにおけるコマースの売上構成比(カバー:マーチャンダイジング、ANYCOLOR:コマース(コンテンツ))はANYCOLORの方が49.5%(カバーは41.4%)と大きく、事業内容は同じでも収益構造には違いがあることがわかります。

売上総利益率、営業利益率を比較も見ていきます。

売上総利益率はカバーもANYCOLORも変動はあれど、40%付近で推移しており差はほとんどありません。

一方、営業利益率に関してはANYCOLORが上昇傾向に対し、カバーが低下傾向で、直近ではANYCOLORが35.9%(FY23Q2までの累計)、カバーが13.5%(FY23Q3までの累計)と差が大きく開いており、これにともない営業利益額でも両社間に差が付きつつあります。

ここまで記事の前半では、カバーの事業内容や業績をANYCOLORと比較していきましたが、後半では、カバーの営業利益率がANYCOLORに差をつけられている要因と、カバーの強みについて解説してきます。

この記事は、デジタルコンテンツを扱う事業に携わっている方や、VTuberに興味がある方、メタバースに関心がある方に最適な内容になっています。


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・Q.新規上場のVTuber事務所カバー、ANYCOLORとの利益率に違いが生まれる理由は?の答え
・営業利益に差が出る理由#1
・営業利益に差が出る理由#2
・カバーのANYCOLORに対する強み
・●●の強さを生かしたメタバース事業に期待


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