インスタグラムに攻められ続けるスナップチャットの反撃の一手

先日IPOしたスナップチャットがFacebookから強烈な追い上げをくらっています。

背景としては、2013年頃Facebookがスナップチャットに対して$3B(約3,000億円)での買収提案をしたものの、スナップチャットがそれを拒否したということがあります。


遂にスナップチャットのDAU<インスタグラムのDAUとなった

過去数年間、Facebookは自社のFacebookアプリだけではなく、インスタグラム上でスナップチャットのあらゆる機能のコピーを試みてきましたが、思うようにユーザーが使ってくれず何度も何度もトライし続けてきました。

※ Facebookは2012年に創業2年で売上0円のインスタグラムを$1B(約1,000億円)で買収しています。

スナップチャットは10代を中心とした若者に非常に受け入れられており、Facebookとしては若者層を取り込めないという危機感を強く抱いていました。ところが その流れが変わりつつあります。

一番のきっかけは昨年インスタグラムがリリースした「ストーリー」という機能です。

※「ストーリー機能」とは、複数の写真や動画をスライドショー形式にまとめて一度の投稿でまとめてアップでき、投稿から24時間で自動的に削除される機能。スナップチャットの最大の特徴は個別の相手に送信した内容が最大10秒で自動削除される機能ですが、「ストーリー」もスナップチャットが開発した機能の一つ。

Facebook copied Snapchat a fourth time, and now all its apps look the same」という記事によれば、「Facebook陣営がスナップチャットをコピーしたのは、これで4度目である」と書かれています。

メッセンジャー、Facebook、インスタグラムの3アプリ全てに「ストーリー」機能が搭載されており、Facebook陣営のなりふり構わぬパクリが、実を結んだ形です。

そして、ついにインスタグラムの「ストーリー」のユーザー数がスナップチャットのユーザー数を超えたというところまで来ました。

Instagram Stories now used by 200 million people daily, gets new creative tools」という記事から引用します。

Five months after launching, the company revealed that 150 million people were using Instagram Stories daily. And four months later, that number has grown to 200 million.

「インスタグラムのストーリーはリリース5ヶ月で1.5億DAU、さらにその4ヶ月後に2億DAUという具合に猛烈なスピードで成長してきた」と書かれています。

※ DAU=Daily Average Userの略。1日にサービスを利用したアクティブなユーザーの数。

ただ、ユーザー数でインスタグラムに抜かれたからといって、スナップチャットが今すぐ危機的な状況にあるか?というとそうとも限りません。 

10代のユーザーに限れば、スナップチャットの人気は未だに衰える気配がありません。

またDAUで抜かれたからといって、必ずしも利用時間など他のKPIでも負けているということにはなりませんので、もう少し詳細なデータが公開されるまで待つ必要があるとは思います。


スナップチャットの広告APIが遂に公開

ユーザー数の伸びで競合サービスに遅れを取るというのは必ずしも良い兆候ではありませんが、短期的に見ればスナップチャットはまだまだ成長の余地が大きくあります。

その一つが自社の広告APIをサードパーティーに開放するというニュースです。

*API=Application Programming Interfaceの略。アプリとOSをつなぐ役目をするインターフェース。公開されているAPIを利用すると、外部からプログラムを呼び出して、その機能やデータを組み込んだアプリと連携したソフトウェアを開発できる。

参考までにスナップチャットの広告商品は大きく3つに分けられます。

いわゆる動画広告の「Snap Ads」、特定の場所で利用できるフィルター「Sponsored Geofilters」、最後に動画に広告主のテーマをオーバーレイできる「Sponsored Lenses」という3つです。

広告APIを開放することでスナップチャットが得られるメリットは以下の3つです。

第一に、これまでスナップチャットに広告を掲載するにはスナップチャットと直取引をしなければならず、スナップチャット側の人員数がそれほど大きくないこともあり、広告主は大手のブランドなどに限られてきたというのが現状です。

広告の直販というのは、自社のリソース最適化が働けば働くほど、どうしても大手の広告主中心にならざるを得ません。

今回、広告APIをサードパーティーに公開するということは、より多くの広告主に対してスナップチャットの広告枠を販売する体制を構築する強い意志の表れです。

第二に、広告販売や広告配信そのものを、かなり自動化できるということになります。広告販売を自動化できれば、同じ広告枠に対して複数の広告主が入札(ビッド)することになるため、広告単価の上昇が期待できます。

第三に、今回広告APIを解放するサードパーティーのパートナーの多くは既に、Facebook、インスタグラム、グーグルなどの広告を広告主に販売しているパートナーです。従ってこれらのパートナー次第ですが、現在Facebookやグーグルなどに振り分けられている広告予算の一部がスナップチャットに回ってくるということが十分期待できます。つまり競合の広告売上を減らして、自社の広告売上を増やすという効果が間接的に期待できるだけです訳です。


Snapchat Launches Ad Tech Platform 2.0 Inspired by Facebook's Model」という記事によれば、

Marketers said Snapchat has been borrowing Facebook's early model of working with the industry to welcome ad tech partners to innovate and drive revenue on the platform. This puts Snapchat in the position of copying Facebook's ad roadmap while Facebook has been borrowing from Snapchat's product design.

とあるように、「スナップチャットの今回のAPI開放戦略は初期のFacebook広告の戦略をそのままコピーしている」と書かれています。Facebookも広告を売り始めた初期の段階では自社の営業体制を整備すると同時に、サードパーティーのパートナーに対してAPIを開放することで急成長を遂げたという経緯があります。 


なぜ(中小の)広告主を増やすことが重要なのか?

このテーマは日本の広告業界の人に説明をしてもなかなか理解してもらえないんですが、広告ビジネスにおいては広告主の数が多ければ多いほど、より広告プラットフォームが構築できると言えます。

上でも少し書きましたが、広告主が増えれば増えるほど、一つの広告枠に対して複数の広告主からの入札が入る形になるため広告単価が上がります。

広告ビジネスをメディアを閲覧しているユーザーと広告主の「マッチングマーケットプレイス」だと考えると、広告主が多ければ多いほどマーケットプライスとしての魅力が大きい、つまり収益性が高いということはご理解いただけると思います。

この「中小の広告主を増やす」という戦略で最も成功しているのはFacebookです。

Sheryl Sandberg: Facebook Hit 5 Million Advertisers By Turning Users Into Marketers」という記事によれば、

The social network announced on Monday it has more than 5 million active advertisers, up from 4 million in September. The pool of businesses on Facebook is much larger -- 65 million businesses have Facebook pages and 8 million have Instagram profiles.

「広告主が500万社を超え、2016年9月時点での400万社から100万社増えたという形になります。それだけではなく6,500万社の企業が自社のFacebookページを保有し、800万企業がインスタグラム上でプロフィールを持っている」という具合にFacebookは多くの企業に利用されているということは非常に大きな強みになっています。

以上のように、スナップチャットの機能をFacebookとインスタグラム陣営が真似し、Facebookの広告の販売手法をスナップチャットが真似をするというイタチごっこ状態になっていますが、いずれにせよスナップチャットの広告APIの開放による影響は少なからずあると思うので、今後の動きが楽しみです。


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