Q. PayPayよりも急成長?GMOフィナンシャルゲートのGMV(取扱高)成長率はPayPayの何倍?
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ヒント:GMOフィナンシャルゲートのGMV成長率はYoY(前年同期比)+110%と急成長中
2021年12月1日、GMOインターネットグループでオフラインの決済ソリューションを提供するGMOフィナンシャルゲート株式会社が、「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」を発表しました。
ご存知の方も多いと思いますが、この資料の開示自体は特別なことではなく、2020年11月以降にマザーズに上場した企業は年に一度開示、それ以前にマザーズに上場している企業も、2022年4月4日の新市場区分でグロース市場を選択している場合は、2021年12月30日までに開示することが東京証券取引所(東証)から求められています。
GMOフィナンシャルゲートは2020年7月にマザーズに上場しているので、東証の指示に基づいて年末前に開示しました。
2021年12月1日 GMOフィナンシャルゲート株式会社 事業計画及び成長可能性に関する事項の開示
この資料を読んでみると、ネット事業を幅広く展開しているGMOグループ中でも、GMOフィナンシャルゲートは非常に高い成長率を誇っていることがわかりました。
そこで今回は、GMOフィナンシャルゲートを取り上げ、ビジネスモデルと、同業他社と比較してどのくらい成長しているのかを検証していきます。
記事の後半には、GMOフィナンシャルゲートのユニークな営業戦略についても解説します。顧客の利益も考えた営業戦略は非常に参考になる内容だと思います。ぜひ最後までご覧ください。
「対面キャッシュレス」決済ビジネス
GMOフィナンシャルゲートのビジネスモデルを一言でいうと、「対面決済領域におけるキャッシュレスソリューションの提供」です。
GMOの決済ソリューションと言えば、EC決済で利用されている「GMOペイメントゲートウェイ」を思い浮かべる方が多いかもしれません。上図の右側のように、こちらはオンライン決済の仕組みを提供しています。
一方、GMOフィナンシャルゲートは、物理的な端末などを利用したオフラインの決済システムを提供しています。
GMOフィナンシャルゲートは、対面決済が必要な小売、飲食、サービスなどの実店舗と、カード会社、銀行、電子マネー事業者などの決済事業者との間に入り、決済端末の提供、決済システムの提供、決済処理、精算処理など、決済に関わる全ての業務をワンストップで提供しています。
GMOフィナンシャルゲートの収益構造は、フロー型収益とストック型収益にの2つに大きく分かれています。
フロー型収益は、加盟店にとっての初期費用に当たる端末販売を指します。
一方で、ストック型収益は、決済端末を導入した店舗からの収益で、決済システムの利用料(ストック)、決済処理手数料(フィー)、精算手数料(スプレッド)の3つに区分できます。
決済手段としてはクレジットカード、電子マネー、QRコード、共通ポイントなど幅広く対応していますが、クレジットカードのみイニシャル、ストック、フィー、スプレッドの全ての売上カテゴリでマネタイズが可能となっています。
いずれのキャッシュレス決済を導入するにしてもイニシャルコストとして端末費用と決済システムの利用料(ストック)がかかりますが、キャッシュレス決済の方法によって、決済処理手数料(フィー)と精算手数料(スプレッド)が必要なものとそうでないものがあるので、この上の図を見るだけでもワンストップでサービスを提供していることは利用する店舗側にとっても必要とされるサービスなのではないでしょうか。
GMOフィナンシャルゲートにとって最も重要なKPIとは?
次に、GMOフィナンシャルゲートの直近のFY21(2021年9月期)の通期決算から、業績と重要なKPIについて見ていきます。
FY21の通期売上高は71億円、YoY(前年同期比)+92%と急成長していますが、売上総利益は20億円でYoY+25%と、売上のYoY成長率と大きな乖離があります。売上総利益率は、FY20の44%からFY21は28%と大幅に減少しているので、この利益率の減少にはなにか要因がありそうです。
GMOフィナンシャルゲートのFY21の売上総利益率減少の要因は、FY21の売上の大半がイニシャル売上によるものだと考えられます。
どういうことかと言うと、FY21の売上71億円に対し、イニシャル売上は52億円、YoY+131%と増加しており、売上の73%を占めています。ストック売上は原価が低く利益率が高くなりますが、端末の原価がかかるイニシャル売上が売上の大半を占めているため、FY21の決算では売上総利益率が下がっていると考えられます。
言い換えると、この1年間のコロナ禍で「対面キャッシュレス」を導入する加盟店(店舗)をこれまで以上のペース(YoY +131%)で獲得したということになり、加盟店が増加すれば必然的にストック売上も増加していくと考えられます。
「では引き続きイニシャル売上の成長を目指していけば良いのではないか」と思われるかもしれませんが、GMOフィナンシャルゲートのビジネスの上で重要なKPIを一つだけ選ぶとしたら、イニシャル売上でも、全体売上でもないと考えられます。
売上が重要なKPIにならない理由は、左側のグラフのように青色のストック・フィー・スプレッドの売上は、端末の導入数に比例して成長していきますが、黄色のイニシャル売上は、FY21のように一気にキャッシュレスが進んだタイミングでは増加しますが、多くの店舗に普及したのちは、必ずしも成長を続けることが難しいからです。
つまり、ストック売上が右肩上がりでも、全体の売上は上がったり下がったりするため、KPIとして追いかける指標としては難しいと考えらえるということです。
では、何をKPIとして設定するべきでしょうか。
GMOフィナンシャルゲートのビジネスで重要なKPIを一つだけ選ぶならGMV(取扱高)であると考えられます。
イニシャル売上である決済端末販売が順調に伸びれば、GMVが成長する可能性は高まりますし、GMVが成長すればストック収入(決済手数料など)も増加するため、どの売上カテゴリにとっても重要な指標であるからです。
FY21Q4のデータを見てみると、GMVは約4,000億円でYoY+110%(+2.1倍)、決済処理件数もYoY+120%(+2.2倍)と急成長しており、FY21の年間GMVは約1.2兆円でYoY+86.8%になっています。
ここまで、GMOフィナンシャルゲートのビジネスモデル、直近の業績と最重要KPIだと考えられるGMV(取扱高)について考察してきました。
記事の後半では、類似ビジネスである「PayPay」や「Square(Blockへ社名変更)」との比較分析を行い、GMOフィナンシャルゲートのユニークな営業戦略を紹介していきます。
この記事は、FinTech業界、決済事業に携わっている方や興味がある方、ユニークな営業戦略について知りたい方に最適な内容になっています。
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Q. PayPayよりも急成長?GMOフィナンシャルゲートのGMV(取扱高)成長率はPayPayの何倍?の答え
・PayPayとの比較
・米Square(Blockへ社名変更)との比較
・GMOフィナンシャルゲートのユニークな営業戦略
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