Q. クレカ比較: 楽天カードとPayPayカード、収益性が高いのは?
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ヒント:
収益性が高いのは、●●カード。●●カードと比較して売上収益が6倍。
取扱高やテイクレートも高いため、全体的に収益性が高い。
PayPayカードは、取扱高の増加とともに、利率が高い●●●●が増加している。今後、●●●●●●●とその利益貢献に注目。
この記事は沼幹太さんとの共同制作です。
月初に公開したの記事では、PayPayの決済単価を他のQR決済サービスと比較し、その差分の発生要因などについて解説をしました。
ZホールディングスはPayPayを含むフィンテック事業において、YoY+20%のペースでの売上成長、EBITDA1,000億円(2021年Q1は△63億円)を目指しており、フィンテック事業は今後収益の大きな柱となる注力分野になっています。
「大手インターネット企業のフィンテック事業」というと、ベンチマークとしてまず思い浮かぶのは楽天でしょう。楽天では、皆さんご存知のように、楽天カードを始めとしてフィンテック事業がEC事業と並ぶ収益の柱となっています。
というわけで、今回はZホールディングスのフィンテック事業の第2弾として、カード事業の「PayPayカード」について、記事の前半では競合である「楽天カード」との売上規模の比較や主要KPIの大きさを比較していきます。
そして、後半では、両社のKPIを深堀りしながら、収益性や戦略の違いを深堀りしていきます。
※「PayPayカード」はZHDのカード事業、ワイジェイカードの改名後の名称です。2021年10月1日時点で変更予定になります。
※以降、旧ワイジェイカードについて、全てPayPayカードと記載します。
楽天のフィンテックセグメントにおける楽天カードの位置づけ
こちらは、楽天の2021年12月期第2四半期(2021年4月-6月)のフィンテック事業の業績です。
今四半期の楽天のフィンテックセグメントの売上は1,532億円、YoY+8.1%。営業利益は225億円、YoY+6.0%でした。保険事業以外の各事業がYoYでプラスの成長となっています。
中でも楽天カードは売上収益687億円、営業利益108億円と楽天のフィンテックセグメントの売上の約45%、営業利益の約48%を占める主力事業となっています。
こちらは楽天のフィンテックセグメントの全体戦略を示すスライドです。
楽天カードは、楽天金融経済圏において顧客基盤・収益基盤の入口と位置付けられている事がわかります。
楽天金融経済圏とは、複数の楽天サービスをクロスユースすることで、楽天ポイントを効率的に獲得・運用できる「楽天経済圏」のうち、金融セグメント内で起こるサービスごとのシナジー範囲を指したものです。
例えば楽天生命・楽天損保の中で該当商品のカード払いを楽天カードで行ったり、楽天銀行をカード引き落とし口座として設定することで、SPUが+1倍されるなどのプログラムがあり、収益基盤が拡大する仕組みを構築しています。
Fintech事業におけるPayPayカードの位置づけ
次に、PayPayカードの2021年第一四半期決算(2021年4月-6月の概況を確認していきましょう。
2022年3月期Q1のZホールディングスの戦略(Fintech)事業の売上は283.54億円、YoY+35.1%。調整後EBITDAは-63,66億円となりました。
中でもPayPayカード事業(上図の表記はワイジェイカード)の売上はYoY+12.1%の114.5億円で、売上収益の約4割と大きな割合を占めています。
カード取扱高の比較
FY20、21年度における楽天カードとPayPayカードの取扱高を上の図にまとめました。
2021年4-6月の取扱高は、楽天カードが3兆4,667億円、PayPayカードが6,866億円と、約5倍の差があることがわかります。
また、取扱高の成長スピードは、楽天カードがYoY+35%のペースで成長しているのに対し、PayPayカードはYoY+25%と、現状では取扱高、成長スピード共に楽天カードに軍配が上がっています。
上図の楽天の決算説明会資料資料によると、クレジットカード市場における楽天カードのシェアは21年5月時点で約21.1%を占めており、この5年間で倍以上にシェアを拡大していることがわかります。
経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2021年4月-6月におけるクレジットカード業の取扱高の合計金額は16兆7,354億円であるため、PayPayカードの市場シェアは全体の4%程度と推計されます。
経済産業省、特定サービス産業動態統計調査、クレジットカード業
ショッピング手数料売上
次に、楽天カードが公開しているショッピング手数料売上に着目してみます。(PayPayカードは同様の数字を公開していません)
楽天のカードショッピング売上は、主にリボ払いの手数料である「リボ手数料」と「その他(ショッピング手数料)」から構成されており、その推移を上のグラフは示しています。
2021年4-6月のショッピング手数料売上は、258.9億円(YoY+31.5%)と成長を続けており、リボ手数料の売上230.19億円を上回っています。
リボ残高比較とリボからの売上
次にリボ売上、およびリボ残高を見ていきましょう。
次に、FY20、FY21における楽天カードとPayPayカードのリボ売上、リボ残高を比較してみました。
※こちらもリボ売上が開示されているのは楽天のみになります。
上の表より、楽天カードのリボ残高はYoY-2%程度と少々ではあるものの減少しており、一方のPayPayカードについてはYoY+13.4%と徐々に増加していることがわかります。
全体売上の比較
次に楽天カード、PayPayカード事業の売上を比較をします。
2021年4-6月におけるカード事業の売上は、楽天カードが687億円、PayPayカードが115億円となりました。売上は約6倍の差があり、ショッピング取扱高の5倍の差より大きな差があることがわかりました。
前半では、楽天カード、PayPayカードの主要なKPIを比較し、全体的な収益規模が大きいのは楽天カード、リボ残高の成長率が高いのはPayPayカードであることがわかりました。
後半では、両社のKPIをさらに深堀りし、今後の施策・戦略について考察をしていきます。
この記事は、カードビジネスの決算分析にご興味がある方、PayPayカード・楽天カードの今後の戦略にご興味がある方、KPIに着目した決算分析の習得を目指す方に最適な内容になっています。
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