ネットフリックスが年間6,000億円を自社コンテンツへ投資する理由

ネットフリックスに関してはこれまで何度か取り上げたことがありますが、興味深い会社なので今回も取り上げてみたいと思います。

今日のnoteは、「財務諸表を深く読む」という基本に立ち返り、数字とそこから読み取れる背景を分析します。

ちなみに、ネットフリックスはおそらくネット企業の中で最も決算を開示するのが早い会社で、だいたいいつも四半期の一番最初に出てくる決算発表がネットフリックスです。
想像でしかありませんが、社内の財務会計のシステムがとても整備されている会社なんだと思います。

2017年1月から3月期の決算を見てみたいと思います。
*Q1 17 Letter to shareholders(2017/4/17)

一番最初に注目すべきは動画ストリーミングの有料会員が9,436万人という規模に達しており、有料会員1億人の大台が目の前に迫っていることです。

売上は$2.6B(約2,600億円、YoY+34.7%)でした。営業利益は$257M(約257億円)、営業利益率は9.7%です。

営業利益が$257M(約257億円)、純利益が$178M(約178億円)と非常に大きなくなっているにもかかわらず、営業活動からのキャッシュフローがマイナスの$344M(約▲344億円) になっています。

つまりどういうことかと言うと、本業で$178M(約178億円)分の利益が出ているにもかかわらず、何かに投資をして、結果として営業活動からのキャッシュフローがマイナス$344M(▲344億円)になっているというわけです。

一体何に投資をしているのかというと、あきらかに自社コンテンツに投資をしていますね。日本で言うところのAbemaTV(サイバーエージェントとテレビ朝日が設立したインターネットテレビ)のようにコンテンツを自社で制作して、権利を自分たちのものにするために非常に大きな金額を投資していることになります。


2017年はコンテンツへ6000億円を投資し、キャッシュフリーがマイナス2,000億円になる予定

営業黒字の会社がこれだけのキャッシュを放出している仕組みを、少しキャッシュフローステートメントから見てみたいと思います。

営業活動からのキャッシュフローの部分を見ると、まず一番上に税引き後の利益が$178M(約178億円)と出てきます。
その下にコンテンツ投資の償却・資産化の項目が複数出てきて、最後にトータルでの営業活動からのキャッシュフローがマイナス$344M(約▲344億円)となっています。

これらの数字を見れば、ネットフリックスがとてつもない金額を自社コンテンツへ投資していることがよくわかると思います。


また、決算発表の資料に、

Free cash flow in Q1’17 was -$423 million vs. -$261 million in the year ago quarter and an improvement from -$639 million in Q4’16. The growth in our original content means we continue to plan to have around $2B in negative FCF this year.

とあり、2017年はキャッシュフリーキャッシュフローがマイナス$2B(約▲2,000億円)になる予定だということです。 P&Lだけ見ると黒字の会社ですが、その利益にプラスしてさらに$2B(約2,000億円)分のお金をコンテンツに投資するという宣言が出されています。

TechCrunchによれば、直近で更に$1B(約1000億円)を調達し、今年の年間コンテンツ予算は$6B(6000億円)にものぼるとのことです。

少し余談ですが、ネットフリックスの有名な自社コンテンツである「House of Cards」のシーズン5は(アメリカでは)5月30日公開と発表されました。

ちなみに、「House of Cards」の制作費は1話4億円、1シーズンで100億円と言われています。日本のテレビドラマの制作費は、1話2,000万円〜大河ドラマでも6,000万円位だそうなので、しっかりとお金をかけて良い作品を作るという姿勢が伺えます。


長期借入金は3,000億円を超える水準

では年間2,000億円の現金を投資することになるわけですが、そのお金はどのように調達してきたのでしょうか?

バランスシート(貸借対照表)を詳しく見てみたいと思います。

Liablity(負債)の項目のうち、保有コンテンツ以外で最も大きいのが長期借入金(Long-term debt)の$3.4B(約3,400億円)です。つまり、$3.4B(約3,400億円)を借入で調達している訳です。

2016年10月のBusiness Insiderの記事に『Netflix is taking on another $800 million in debt』とあるように、追加で$800M(約800億円)調達しています。

http://www.businessinsider.com/netflix-raising-800-million-in-debt-2016-10

$3.4B(約3,400億円)の借入金というのは年間の営業利益の約3倍に相当する額であり、借入の水準としてはそこまで無茶をしているというわけではありませんが、非常に大きなレバレッジをかけようとしていることだけは確かです。

(この決算の後に、上述したように、追加で$1Bの調達を行うので、計$4.4B(約4,400億円)が借入金になるかと思います。)

では、なぜここまで大規模な投資をするのでしょうか?


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・余談: ネットフリックスは税金もちゃんと払っている
・まとめ

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