Q. 衣料品再生のJEPLANが米国でSPAC上場を目指すのはなぜ?
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この記事はhikoさん(企画・リサーチ担当)との共同制作です。
衣料品やペットボトルの再生事業を行うJEPLAN(ジェプラン)が、SPAC(特別買収目的会社)のAP Acquisition Corp社との合併で年内にニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を目指しています。
昨今、ESG(環境・社会・ガバナンス)への重要度が世界的に高まっており、JEPLANはそういった時代背景にもマッチした事業を展開しており、海外での上場を目指している点でも注目されています。
今回の記事では、JEPLANはどのようなビジネスモデルで、どんな技術を持っているのか、さらに現在の業績や上場を目指す背景について迫っていきます。
JEPLANの会社概要
まず、JEPLANの企業概要を見ていきましょう。
JEPLANは2007年にわずか120万円の資本金でスタートしたベンチャー企業で、設立当初はユニフォームリサイクルに関するコンサルティング事業を展開していました。
設立後まもなく、大阪大学と共同で綿繊維リサイクルに関する技術開発をスタートさせ、2008年6月には綿繊維からバイオエタノールを生産するリサイクル技術の開発に成功しました。
開発に成功した技術を用いて事業を展開しながら、さらなる研究開発を続けており、「あらゆるものを循環させる」というビジョンに沿って、リサイクルの運営、技術開発を続けています。
JEPLANの事業内容
次に、JEPLANの事業内容について解説していきます。
JEPLANは、2つのリサイクル事業をしています。
1つ目は、ペットボトルからペットボトルをつくる“ボトルtoボトル” 事業です。
従来のペットボトルリサイクルは、まずペットボトルを粉砕してペレット(米粒ほどのプラスチック)にします。次に加熱加工を行うことで、多くは紡績糸や生地、シートとなり、一部がペットボトルにリサイクルされていました。
JEPLAN社の独自技術では、ペットボトルを分子レベルまで分解し、不純物を除去して再結合することによって、石油由来の新しい製品とほぼ同品質のリサイクル樹脂へと再生することが出来ます。この技術によって、使用済みのペットボトルが新品ペットボトルになる循環を何度でも繰り返せる仕組みになっています。
ペットボトルが資源ごみではなく、循環し続ける資源に生まれ変わり、さらには石油から新規に生産するのに比べて温暖化ガス排出量が半分になるという、環境面に対して多くのメリットがある事業を展開しています。
2つ目は「服から服をつくる」事業です。
ファッション産業で生み出されるゴミの量は世界全体で年間9,200万トンで、廃棄される衣類の多くが焼却もしくは埋立をされています。
一般的な服のリサイクルは、「マテリアルサイクル」と呼ばれる廃棄物に化学的な処理をして原料に戻す方法が取られています。この方法だと、溶かす前の服の色が残ってしまうという課題があり、服をリサイクルすることが困難です。
JEPLANの服から服を作る事業では、「ケミカルリサイクル」と呼ばれる手法を用いており、ポリエステル製品をペットボトルと同様に分子レベルまで分解し、不純物を除去して再結合することによって、石油由来の新しい製品とほぼ同品質のリサイクル樹脂へと再生することが出来ます。
そのため、染料の分子を取り除くことが可能となり、まっさらな素材に再生出来ます。
この事業で重要な要素の一つが、「再生する服をいかに調達するか」ですが、服を回収する仕組みを自社内で構築しています。
2022年7月の段階では160社と提携して洋服店に回収ボックスを設置し、衣類の回収活動を行っています。
海外展開
JEPLANは、現在は川崎市(本社)と北九州(工場)の国内2拠点のみで事業を展開していますが、海外展開も進めています。
その一環で、JEPLANは、2023年5月31日に、UAEで再生プラスチックのグローバル取引プラットフォームを展開するRebound Limited社と協同プロジェクトに関する基本合意書を締結しています。
プロジェクトの内容は、PETケミカルリサイクルプラントの建設で、再生PETのサプライチェーンの構築を目指しています。
JEPLANの業績推移
JEPLANの業績を、バフェットコードの情報を基に見ていきましょう。
直近の2022年12月期(2022年度)の売上は9.44億円、YoY(前年比)+28.4%で、2020年度から2021年度にかけてもYoY+35.6%となっており、順調に売上を伸ばしています。
一方、2022年度の純利益は-13.57億円で3期連続で赤字かつ赤字額が拡大しており、研究開発等の投資を積極的に実施していると推察されます。
ここまで記事の前半では、リサイクル事業を行うJEPLANの企業概要、事業内容、海外展開、業績について解説していきました。
記事の後半では、JEPLANのユニークな上場スキームとその狙いについて考察していきます。
この記事は、リサイクル事業に携わっている方や興味がある方、SPAC上場のスキームについて知りたい方、アメリカでの上場のメリットに関心がある方に最適な内容になっています。
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