AmazonのEC事業とクラウド事業の利益率いえますか?

noteで2回目の投稿です。1本目はたくさんの方に読んでいただいたみたいで、無料記事にしたにも関わらず、複数の方から「サポート(=投げ銭・寄付)」いただきました。ありがとうございます。

さて、今日はAmazonの決算。報道では、米アマゾンの10━12月期、利益が予想大幅に下回る、などという報道になっていますが、もう少し本質的なところを見てみようという試みです。

ところで皆さん、

AmazonのEC事業とクラウド事業の利益率いえますか?

試験に出ます(嘘)。冗談はさておき、受験ではないので、記憶力勝負をしても仕方ないのですが、主要な事業の代表的な利益率を覚えておく、というのはいろいろな事業を行なう上で重要なことだと思っています。

余談ですが、Amazonの決算スライドは、本当にやる気がないというか、パワーポイントを綺麗に作るという気が全くないのが凄いなぁと思います。(余談ですが、Amazonはパワーポイントよりも、ワード文化で有名ですね。)


EC事業

Amazonが公開しているセグメントは、North America(北米のEC), International(北米以外のEC), AWS(クラウド)の3つですが、ここでは、北米のECセグメントが一番、彼らのECの実態を表すのに最適と判断します。

四半期で見ると、グロスの売上が$21.5B(約2.5兆円)、営業利益が$1B(約1200億円)です。つまり営業利益率は、4.66%です。

通年で見ると、グロスの売上が$63.7B(約7.5兆円!)、営業利益が$2.8B(約3300億円)で、営業利益率は4.32%です。

AmazonのECは「直販モデル」で、自分たちで仕入れを行い、在庫リスクを取って販売する、というモデルです。この直販モデルの場合、Amazon規模の会社で営業利益率は4.5%程度、と覚えておけばいいでしょう。


クラウド事業(AWS)

四半期で見ると、売上が$2.4B(約2886億円)、営業利益が$687M(約824億円)で、営業利益率は29%です。

通年で見ると、売上が$7.9B(約9456億円)、営業利益が$1.86B(約2236億円)で、営業利益率は24%です。

まだまだ急成長中のAWS事業なので、利益率は今後ブレてくる可能性はありますが、営業利益率25%程度、と覚えておけばいいでしょう。


Amazonの本業は?

冒頭のクイズへの回答を整理しておくと、

EC事業の営業利益率は4.5%程度
クラウド事業の営業利益率は25%程度

というのが答えでした。覚えておきましょうね。試験に出ます(嘘)。

さて、勘が良い方はもうお気づきかもしれませんが、EC事業は(グロス)売上は大きいですが、利益率が高くありません。他方、クラウド事業は利益率がECの6倍くらい。

これまで、Amazonと言えばECの会社だと言うのが正しかったと思いますが、四半期で見て

EC事業の営業利益が$1B(約1200億円)YoY +27%
クラウド事業の営業利益が$687M(約824億円)YoY +186%

という数字を見てしまうと、営業利益ベースでは、クラウド事業が(北米)EC事業を抜く日もそう遠くない、とも言える気がします。


「Amazon利益大幅未達」という報道に見る会社側との意識のズレ

冒頭で紹介した、米アマゾンの10━12月期、利益が予想大幅に下回る、という報道がありますが、あくまで僕の主観では、このタイトルはミスリーディングだと思います。ECがYoY +27%、クラウドがYoY +186%で伸びているというのもありますが、そもそもAmazonは利益を出すということを経営ゴールにしていないからです。

そんなことが公開企業で許されるのか、という気もしますが、Amazonは上場以来、ずっと「利益を出すことをゴールにしない」、利益ではなく、

フリーキャッシュフローを最大化する

のが経営ゴールだと言い続けています。

このスライドが、決算発表スライドの最初のページですが、

Long Term Goal - Optimize Free Cash Flows

と毎回しつこく、とても大きいフォントで書いてあります。(要は、訳がわからないアナリストに「うちは利益じゃなくて、FCFを最大化しているので、短期的な利益うんぬんで文句言うな」と言っている訳です。)

AmazonはECでもクラウドでも、「規模の経済」で勝つビジネスモデルなので、事業から生まれるキャッシュフローは、(設備などに)投資します(だから利益は残りませんよ)という訳です。別の見方をすれば、利益捻出をゴールにはしないけど、「規模の経済」で勝つために、どんどん投資はしたいので、フリーキャッシュフローは重視しています、ともいえます。


余談: Amazonの決算資料に出てくる「TTM」って何?

TTMとは Trailing Twelve Month (period)のことで、要は

TTM = 直近12ヶ月間(の数字)

という意味です。↑のスライドで、2015/Q4のフリーキャッシュフローがTTMで$7.3Bというのは、Q4で$7.3Bのキャッシュフローを捻出した、ということではなく、(Q4の)直近12ヶ月間、つまり、2015通年で$7.3Bのキャッシュフローを捻出した、ということです。

なんでTTM表示をするか、というと、一番大きな理由は、季節変動要因を除くためです。ECビジネスは、特に北米では季節変動が非常に大きいので、3ヶ月毎の比較以外にも、直近12ヶ月の比較をすることで、より正確な比較になる、という意図だと思われます。


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コメント1件

スライドのしょぼさがベゾスの思想を如実に表していて面白かったです
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