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ソフトバンクも4,000億円以上を投資したNVIDIAはなぜ「謎のAI半導体メーカー」と呼ばれるのか?

先週、NVIDIA(「エヌビディア」と読みます)関連で興味深いニュースが2つ出ました。

一つ目はソフトバンクがNVIDIAの株式を約4,000億円分マーケットで買い付けて第4位の株主になったというニュースです。

ソフトバンクは「ビジョン・ファンド」発表の際、NVIDIA株式を保有していることを公表したが、その保有率は約4.9%で第4位の大株主であり、金額は40億ドルだとBloombergが報じた。

もう一つは「詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー」という記事で、日経ビジネスオンラインがNVIDIAのことを「謎のAI半導体メーカー」と書いたことで一部の有識者から「NVIDIAの一体どこが謎なのだ?」という疑問の声が上がっています。

NVIDIAという会社はよく知っている人からすれば謎でも何でもない、昔からあるGPU(=Graphics Processing Unit。パコソンやワークステーション等の画像処理を担当する主要な部品の一つでグラフィックチップとも呼ばれる。)メーカーであるわけですが、昨今の人工知能(AI)ブームと重ね合わせると、この会社が急激にこれまでと違う市場で注目を集めてきているかということがよくわかります。

今日はその辺りの背景を詳しく書いてみたいと思います。 


NVIDIA = 元々は(主に)ゲーム用GPUメーカー

NVIDIAというのはもともとは高価なGPUを作る半導体メーカーです。

GPUというのは、パソコンで非常に高機能なゲームをするユーザーが欲するもので、通常のパソコンの用途より、さらに鮮明で詳細な描画能力を必要とするユーザーに向けて作られたものです。

つまり、非常に綺麗な画面を映し出すために必要な画像処理のための部品で、超高画質でゲームをプレイしたいユーザーは高価なGPUを買い、自作パソコンを作ってゲームを楽しむといったようなことをしています。

NVIDIAは言わばプロゲーマー向けのGPUの会社だったと言っても過言ではありません。


GPUメーカーが急に注目を集めた背景

このように元々はプロのゲーマー向けにGPUを売る商売をしていたNVIDIAですが、ここ数年で全く違う用途のビジネスが立ち上がっています。

その背景にあるのが人工知能。中でもディープラーニングの急激な普及によるものです。

人工知能の研究自体は百年以上続いているものですが、数十年に一度のブレークスルーと呼ばれるディープラーニングが開発されてから、世界中のインターネット企業がディープラーニングのアルゴリズムを開発するために多大な投資を行っています。

そしてそのディープラーニングをより高速に行うためにはGPUが必要だというわけです。

なぜGPUが必要かと言うと、ディープラーニングは機械学習の一つであり、機械学習というのは一般的に過去の大量なデータを学習して、ある「入力」に対して過去の学習結果を利用して「出力」を返すというものです。

この大量のデータを学習するプロセスにGPUが使われます。特にディープラーニングは人間が物事を学習するのと非常に近い仕組みでデータを学習していきます。従って人間の脳に近いレベルでの計算回数が必要になります。

これらの「学習」は我々が普段使っている「CPU」でも実現可能ではありますが、NVIDIAによると、NVIDAのGPUはディープラーニング分野においては、対CPU比で10倍程度の演算パフォーマンスを発揮することができ、ディープニューラルネットワークのトレーニングをわずか3年で50倍高速化したそうです。

これまではプロのゲーマー向けにGPUを売っていたNVIDIAですが、ここ数年間の間に人工知能用途、機械学習用途のチップが急激に売れ始めたというのが背景にあります。

「棚からぼた餅」と言うと失礼かもしれませんが、これまでと全く違う用途で急激に今一番ホットな市場の中心に躍り出てしまった訳です。

このように全く違う市場で急にホットな会社として扱われるようになったため、日経ビジネスの記事では「謎のAI半導体メーカー」というラベリングがされてしまったのだと思います。

今日はそんなNVIDIAの決算を詳しく見ると同時に、なぜソフトバンクがNVIDIAに投資をしたのか少し考察してみたいと思います。


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・ NVIDIAの売上構成の推移のうち「人工知能関連」に注目
・ ソフトバンクはなぜNVIDIAに4000億円以上も投資したのか?

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