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Zoomに比べて成長率で見劣りするチャットワーク、今後の成長のカギは?

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


今回の決算の印象

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ーー(Risa)皆さんこんにちは。今回は、ビジネスチャットツールを展開するチャットワークの2021年度12月期第1四半期の決算をシバタさんと一緒に読んでいきます。

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ーーチャットワーク社は、「働くをもっと楽しく創造的に」をミッションに掲げ、社名にもなっているビジネスチャットツール「チャットワーク」の事業と、ESETというウイルス対策ソフトウェアの販売代理店を行っている企業です。
ーー主力のチャット事業が売上の9割近くを占めています。

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ーー第1四半期の売上高は6億8,000万円で、前年同期比+27.1%となっており、主力であるチャットワーク事業の売上高は6億2,400万円で前年同期比+33.6%でした。
ーーしかしながら、営業利益の部分では-900万円と赤字着地となっています。
ーーテレワークの需要の増加により、トップラインは順調に伸びている印象ですが、今回の決算全体の印象を教えて下さい。

(シバタナオキ)チャットワークのメイン事業が前年同期比+33.6%という部分で、もちろん一般的にはすごく高い成長率なのですが、類似事業のZoomを見ると相当物足りなく見えてしまいます。

今回コロナの特需があった中で競合との比較をすると、やはり売上の成長率が物足りません。後半で説明があると思いますが、営業利益をかなり犠牲にしているというか、かなり投資をして赤字になっています。

赤字になること自体は全く問題ないのですが、それだけ投資をしたのにも関わらず+33.6%なのか、というのが正直な印象です。

繰り返しになりますが、一般論としては非常に良い数字ですが、更に上がいるという意味では少し物足りないといった、二面性のある決算だったのではないでしょうか。


今後の成長戦略について

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ーービジネスモデルはSlackなどと同じで、無料プランと有料プランがあり、有料プランとユーザーから収益を上げていくものです。
ーー課金ID数は14.4%アップ、ARPUも19.8%アップと順調に推移しています。
ーーSlackなどは、大手企業のアカウントの獲得を成長ドライバーとしていますが、チャットワークの顧客は中小企業が中心です。
ーーこれからもこのような中小企業を中心とした戦略で成長していくと思われますか。

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そうですね。上の画像にある通りですが、一番最初に「Product-Led Growth」と書いてあります。

要は、良いプロダクトを作って営業パーソンを大量に街中に投入するよりかは、プロダクト中心にセルフサーブのマーケティングをしたい、という意図なのでしょう。

中期経営計画と書いてあるくらいなので、今後も戦略としてはプロダクト中心にセルフサーブで商品を売っていくということだと思います。

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上の画像を見て下さい。今のチャットワークの企業規模別の有料ユーザーを見ると、ユーザー数ベースで300人以下の会社が87.2%です。

そして左側に書いてありますが、ITに詳しい人がいない、予算がない、取引先と同じツールにしたいという中小企業マーケットがスイートスポットなのです。

こういった企業をセルフサーブで非常に上手くマーケティングしているため、チャットワークは成功していると言えます。

やはり今後も、中小企業をまず取っていくのが戦略の中心になっていくはずです。

中小企業を攻めると営業費用が勝る?

ーーSlackのようなところだと、大企業1社を取ってしまうとそこでユーザー数が増えるので、それが順調にいけば成長ドライバーになると思います。
ーーしかし中小企業を攻めていくとなると、営業費用がSlackよりも勝るということになるのでしょうか。

営業の人を使って売り始めると、数字が合わなくなります。お客さん1社あたりの売上が小さいので、営業パーソンを投下できないはずなのです。

セルフサーブで売るというのは、人を使わないで売るということです。営業パーソンが入って売りに行っていたら、例えば月間で売上100万円以下のお客さんに営業なんて行けませんよね。

しかしそこで、セルフサーブで勝手に商品を買ってくれるのであれば、月5万円でも良いという考え方です。

そのため、Slackもチャットワークも同じなのですが、セルフサーブでお客さんを取れるというプロダクトの力があるのが一つの大きな特徴です。

逆にMicrosoft Teams等は、どちらかというと営業パーソンがきちんとMicrosoftの製品をまとめて売りに行くといった感じなのでしょう。

Slackやチャットワークは、マーケティングで営業パーソンをほぼ使わずにユーザーが増やせるので、その点が大きく異なると思います。


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