Q. アメリカで人気の「マインドフルネス」、今後日本で普及させるための鍵とは?
ヒント:海外サービス「Calm」「Headspace」の事例から、日本でマインドフルネスを普及させるには、●●を目指す●●へのサービス展開を強化することが重要になります。
この記事はKimmyさんとの共同制作です。
今回は、コロナの影響によって改めて注目されているメンタルヘルスを取り上げます。
皆さんも体感されている通り、大きく行動を制限されたり、人によっては失業や休業を強いられている結果、メンタルへの悪影響が社会課題として既に浮き彫りになっています。
5月13日の国連の発表によると、コロナによって心理的苦痛を感じている人口の割合は、中国で35%、イランは60%、アメリカは45%と報告されています。
特に、医療従事者のうつ病や不眠症などの発症率が高くなっており、カナダでは47%の医療従事者がメンタルサポートが必要だと回答しています。
当然子供にも影響が及んでおり、 イタリアとスペインで、外出自粛中の子供を持つ親に子供への影響を聞いたところ、「落ち着かない」や「いらいらしやすい」との回答が39%。「なかなか集中できない」という回答は77%にものぼりました。
同報告によると、メンタルヘルスは最も軽視されている健康分野の1つで、各国がメンタルヘルスに費やしている予算は平均でわずか2%にしか及びません。国連は各国政府に対し、メンタルヘルスへの意欲的な取り組みを呼びかけています。
世界的に見ても、メンタルヘルスの専門家は1万人当たり1人未満という状況であり、コロナが問題を引き起こしたというよりも、コロナをきっかけにもともとあった社会課題が改めて注目されたと言う方が正しいかもしれません。
*United Nations “COVID-19 and the Need for Action on Mental Health ”(2020/05/13)
アメリカで拡大する「マインドフルネス」市場
各国のメンタルヘルス領域への投資が遅れている中でも、アメリカにおいては、近年「マインドフルネス」が民間でブームになっています。
マインドフルネスとは、「今、この瞬間に集中している心のあり方」であり、瞑想やヨガ等を通じてリラックスして集中している状態を目指すプロセスを指します。
ご存知の方も多いと思いますが、マインドフルネスは、グーグルやフェイスブックなどの企業研修に組み込まれています。心を健やかに保つメンタルヘルスのケアの一つとして、カウンセリングよりも簡単に、個人的に日常生活に取り入れられる点が人気になっています。
調査会社Appinventivによると、2010年あたりから、マインドフルネスに関する情報がメディアや科学雑誌で数多く掲載されるようになり、メディアでの露出度が年々増加しています。
全米衛生統計センターでの報告では、瞑想を利用する人口の割合は、2012年の4.1%から2017年には14.2%と3倍以上増加しており、普及率が上昇しているのが分かります。
ワシントンポストによると、今回のコロナの影響により、3月29日の週のマインドフルネス・瞑想アプリのダウンロード件数が75万件に達し、1月と2月の週平均を25%上回ったそうです。
瞑想アプリの事業者はこの期間、失業者や最前線で働く医療従事者へコンテンツを無料で提供するなど、いち早くパンデミックに対応しています。
*Appinventiv “Meditation App Statistics to Know in 2020”(2020/02/28)
*National Center for Health Statistics ”NCHS Data Brief No. 325” (2018/11)
*Washington Post ”Feeling stressed? Meditation apps see surge in group relaxation” (2020/04/21)
ここで、マインドフルネス・瞑想アプリの市場規模を金額から見てみましょう。
Appinventivの先述の報告によると、マインドフルネス・瞑想アプリの売上推移は、2015年の$8M(約8億円)から2019年の$195M(約195億円)まで年平均成長率 122%で拡大しています。
メンタルヘルス関連全体のアプリ市場は、2025年には$4,378M (約4,378億円)まで成長することが見込まれており、今後大きく成長する分野であることは明らかです。
*SensorTower “Mobile Users Spent $195 Million in Meditation Apps Last Year”(2020/01/30)
上の図は調査会社SensorTowerによる、2019年のマインドフルネス・瞑想アプリ世界売上トップ10です。
1位の「Calm」は推定売上$92M(92億円)、2位の「Headspace」は$56M(56億円)、それぞれ前年比+46%と+33%の増収を達成したそうです。計算してみると、$195M(195億円)の市場に対してこの2つのサービスで市場の76%を占めていることになり、寡占状態にあるのが分かります。
では、CalmとHeadspaceがどのようなサービスを提供し、いかにユーザーを取り込み、どんなユーザーに評価されているのでしょうか。記事の後半ではこの2つの海外サービスがヒットした要因を探るとともに、日本でメンタルヘルスサービスを普及させるための鍵について考察していきます。
この記事は、メンタルヘルスやマインドフルネスに興味をお持ちの方、メンタルヘルス関連のビジネスに興味がある方や携わっている方に最適な内容になっています。
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・2大アプリ「Calm」「Headspace」がヒットした要因
・瞑想サービスを高く評価するユーザー
・日本のメンタルヘルス市場と今後の展望
・まとめ
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