トランプ大統領がイスラム国からの入国を拒否する大統領令 => 翌日に司法が無効と判断
アメリカは移民問題で大騒ぎになっています。
トランプ大統領は就任してまだ1週間も経っていませんがでアメリカ時間の金曜日、 イスラム7カ国(イラン、イラク、リビア、ソマリア、スーダン、シリア、イエメン)の国籍を有する全ての人の入国を拒否する大統領令を出しました。
アメリカやビザ・永住権を有していても入国拒否
この大統領令自体はトランプ大統領の公約の一つでもあったため、さほど驚きがなかったかもしれませんが、 驚くべきは常にアメリカのビザあるいは永住権を有している人であっても上述の7カ国の国籍を有する人は、すべて入国拒否されるという非常には強固な大統領令であったことで波紋を呼んでいます。
もし、これが仮に観光客あるいは観光ビザで入国しようとしている人を拒否するというのであれば、まだ理解ができないこともありません・実際にどの国パスポートを持ってる人をアメリカに入国させるかというのはアメリカに決める権利があるからです。
他方、すでに受けビザあるいは永住権を発行した人をも入国拒否するという点が非常に大きな議論を呼んでいます。当然ビザや永住権を有している人は、問題がない限り再度アメリカ入国できると思って飛行機に乗っているわけですが、突然空港で入国を拒否されたというのは今回の一番の大きなの論点です。
移民の街シリコンバレーでは Google、Facebook、Appleといった企業の名前でこれらにこの大統領令に反対する強固な姿勢を示していますし、自社の対象となる従業員に対しては手厚く法的なサポートすると発表もなされています。
翌日に裁判所が大統領令の一部を無効にする(一時的な)判決
アメリカ時間の金曜日は、シリコンバレーでは1日中この騒ぎが続いていただけですが、大統領令が発令されてすぐに、American Civil Liberties Union(ACLU)という団体がこの大統領令を無効にするための訴訟を起こしました。
そしてアメリカ時間の土曜日に裁判所はこれらの訴訟の内容を受け入れて 一部の入国拒否されていた人たちの入国を許可するという判決を下しました。
HuffintonPostによると、
The American Civil Liberties Union, immigrants’ rights groups and refugee relief organizations had filed the action in federal court Saturday morning on behalf of two Iraqi nationals who were detained at John F. Kennedy International Airport in New York City, asking for a declaration that the order is unconstitutional and requesting an injunction to prevent its implementation against other travelers who may be equally harmed.
とのことで、訴訟は、今回の大統領令は、unconstitutional(合衆国憲法違反)という主張をしていました。
裁判所の判決は、
“The petitioners have a strong likelihood of success in establishing that the removal of the petitioners and others similarly situated violates the rights to Due Process and Equal Protection guaranteed by the United States Constitution,” U.S. District Judge Ann Donnelly of the Eastern District of New York wrote in her order.
というもので、こちらでもアメリカの合衆国憲法によって保証されるべき「適正手続(Due Process)」と「法の下の平等(Equal Protection)」を犯している、という強い言い方になっています。
ビデオでご覧になりたい方はこちらから。
https://www.facebook.com/aclu.nationwide/videos/10154110036096813/
実際の裁判所の判決はこちらです。
アメリカ人にとっての移民問題
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカは移民によって成り立った国です。もとをただせばトランプ大統領の先祖も移民であり、移民に対して寛容であるということはアメリカという国の強さの源泉の一つでもあります。
従って、今回のように、Constitution(合衆国憲法)・Constitutional(合衆国憲法上の)といった表現が出てくるくらい大騒ぎになるわけです。
今回、移民に対して非常に厳しい対応をとる大統領が誕生した訳ですが、特に移民が多い西海外、東海岸では非常に強い反発が起こっています。
アメリカでは大統領は自分の好きな大統領令を発行することができますが、大統領令ではあくまでも立法府であるある議会の議会による承認を経ていませんので、今回のように司法がストップするケースが多々あります。実際にオバマ大統領が発行した大統領令のいくつかも司法によりストップされたことがあります。
今回は大統領による強行突破と司法による「良心」の両方が垣間見えた瞬間でもありますが、今後もこの移民問題がどうなっていくのか注目していきたいと思います。
(表紙画像: http://abcnews.go.com/Politics/president-trumps-executive-orders-immigration-explained/story?id=45062485)
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