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Q. コロナ禍で最も取扱高の成長率が高い日本のECサービスは?

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A. 取扱高の成長率が最も高かったのは、BASEでYoY+105.4%。成長率は圧倒的に高いが、取扱高の規模は各社と比較して10分の1以下の規模。
楽天のショッピング事業の取扱高の成長率はZホールディングス、メルカリを凌駕している。
ショッピング事業の取扱高と取扱高の前年同期比は以下の通り。

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この記事はゆべしさんとの共同制作です。

富士経済の発表によると、コロナ禍で拡大した国内の通販・EC市場の規模は、2020年で13.7兆円(YoY+17%)、2021年は15兆円(YoY+10%)と二桁成長が継続する予測となっています。

引用:【コロナ禍の通販・EC市場】2020年は17%増の13.7兆円、2021年は10%増の15兆円超と予測

そのような成長著しい市場環境の中で、ECサービス大手の楽天、ヤフーのZホールディングス、メルカリ、BASEの取扱高はどのように変化しているのでしょうか。

この記事では、先週公開された「Q. コロナ終了間近: Amazon, eBay, Shopifyの中で取扱高の成長率が最も高いECプラットフォームは?」に続き、日本のECサービス各社の決算を比較し、成長要因を考察していきます。

なお、ECサービスと一口に言っても多岐にわたるため、この記事ではECサービスを「コマース」と「ショッピング」という切り口で見ていきます。

■この記事におけるコマースおよびショッピングの定義
コマース・EC:モノを売買するコマースに加え、旅行系などのサービスECも含む
ショッピング:モノを売買するコマース


楽天の取扱高・成長率

楽天グループ株式会社 2021年度第1四半期 ビデオプレゼンテーション資料(2021年5月13日)

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まずは楽天から見ていきます。楽天市場に楽天トラベルなどのサービス系ECを加えたコマース全体の2021年12月期1Qの取扱高は1.1兆円、前年同期比(YoY)+22.4%で、楽天市場や楽天西友ネットスーパー、ラクマなどが含まれるショッピングECの取扱規模はYoY+33.9%と、大きく成長していることが分かります。

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上図は、楽天の各ECサービスにおける2020年1月時点の取扱高を基準に、2021年3月までの取扱高の変化率を、各業界水準と比較したものです。ここから、楽天の各ECサービスは業界水準を上回り、順調に推移していることが分かります。

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また、各ECサービスのユーザー数も順調に増加しています。中でも楽天ファッションがYoY+47.9%、楽天西友ネットスーパーがYoY+55.6%と、大きく増加しました。


Zホールディングスの取扱高・成長率

Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 通期及び第4四半期(2021年4月28日)

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次にヤフーを手がけるZホールディングスを見ていきます。Zホールディングスの2021年3月期4Qのコマース全体の取扱高は0.82兆円(YoY+14.3%)、ショッピングの取扱高は4,069億円(YoY+25.7%)です。

Zホールディングスのショッピング事業には、Yahoo!ショッピング、PayPayモール、ZOZOTOWNなどが含まれており、コマース全体は上記に加えて、ヤフオク!等のリユース事業、一休.comやYahoo!トラベル等の旅行系サービス、有料デジタルコンテンツの取扱高が含まれています。

上図右の「取扱高の成長率の推移」を見ると、ショッピング事業はコロナによる影響を強く受けた2021年3月期1Qに大きく成長し、以降の成長率は落ち着いてきていることが分かります。また、リユース事業は、昨年から徐々に成長率を高めています。

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上図は、ヤフーのセグメント別の取扱高と前年同期比を示したものです。緊急事態宣言の影響を強く受けた「サービス系」以外のセグメントは、いずれも前年同期比でプラスの成長をしています。

また、成長率が加速しているリユース事業は、ヤフオク!に加えてPayPayフリマの急成長でほぼ2桁成長していることが分かります。


メルカリの取扱高・成長率

株式会社メルカリ 2021年6月期 第3四半期 決算説明会資料

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次にメルカリを見ていきます。株式会社メルカリは楽天やZホールディングスと異なり、ECサービスはフリマサービスのメルカリのみとなります。

メルカリの国内における2021年6月期3Qのショッピングの取扱高は2,086億円(YoY+27.1%)、MAUは1,904万人(YoY+14.9%)と、双方が右肩上がりに成長し続けています。

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メルカリは国内だけでなくアメリカでも事業展開しており、アメリカでの取扱高は$320M(約320億円)、YoY+99%で、MAUは510万人(YoY+54.5%)と、こちらも成長を続けています。

メルカリのアメリカの事業は、日本と比較して取扱高は約1/6、MAUは約1/4と規模は小さいものの、成長率は大きく上回っていることが分かります。


BASEの取扱高・成長率

BASE株式会社 2021年12月期第1四半期 決算説明会資料(2021年5月11日)

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最後にBASEを見ていきます。BASE株式会社はネットショップ開設サービスのBASEに加えて、決済サービスのPAY事業も展開しています。今回はECサービスに該当するBASEを見ていきます。

BASEの2021年12月期1Qの取扱高は257億円(YoY+105.4%)です。コロナによる追い風を受けた2020年12月期2Qに取扱高は大幅に増加し、その後は横ばい〜微減で推移していますが、取扱高のYoYは2倍以上の高い成長率を保ち続けています。

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上図はBASEの「販管費の推移」を表したもので、前四半期比でプロモーション費が3.39億円減少しています。プロモーション費用を2割程度抑えたにも拘らず、取扱高や取扱高の成長率は従来水準を保っており、広告に依存しないユーザーが定着していきていることが伺えます。

ここまで、大手ECサービス各社のコマース・ショッピングの取扱高と成長率を整理しました。各社ともコロナによる外部環境変化の追い風を受けて成長を続けていることが分かりました。記事の後半では、各社ごとの成長要因や戦略を考察していきます。

この記事はEコマース事業に従事している方や、プラットフォームビジネスに興味がある方、Eコマースの成長戦略に興味がある方におすすめとなっています。

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・楽天の成長要因
・Zホールディングスの成長要因
・メルカリの成長要因
・BASEの成長要因
・コロナ前後における日本のEC市場全体の成長率とは?
・まとめ

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