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【音楽ストリーミング】Apple MusicがSpotifyにとって(それほど)驚異ではない理由(おまけ: NetflixとSpotifyのビジネスモデルにおける最大の違いとは?)

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


Spotify 2020年度第3四半期決算の印象は?

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ーー(伊佐山真理)皆さん、こんにちは。今回は、Spotifyの2020年度第3四半期の決算をシバタさんと読んでいきたいと思います。シバタさん、よろしくお願いします。

ーーSpotifyの収益源は有料プランに申し込んでいるプレミアム会員からのサブスクリプションフィーと、無料でサービスを使っているユーザー向けの広告費の2つから構成されています。

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ーー早速、今回の決算を見ていきます。ユーザー数は、プレミアム有料会員と無料会員(Ad Supported)共に伸びており、全体でYoY+29%ととても順調でした。一方、売上(Total Revenue)の伸びはYoY+14%で、もう少し伸びてほしかったと思いました。

また、営業利益(Operetion Income)が前四半期(Q2)から続いて赤字である点も気になりました。シバタさんの今回の印象はいかがでしたか。

(シバタナオキ)全体で見ると、ユーザー数が前年同期比+29%、売上が+14%、営業利益は赤字がまだ続いているという感じですね。

売上の伸びがもう少し欲しかったというのはその通りですが、ここはアメリカやヨーロッパ以外の国に進出しているので単価が落ちていたり、広告がコロナで調子が悪いなど、いろいろな要素があると思います。

ユーザー数は、有料会員が1.44億人、無料会員が1.85億人、全体で3.2億人です。両方順調に伸びており、すごく良い感じです。

成長率も、売上の伸びが+14%と以前に比べると成長率は落ちていますが、まだまだ高い成長率だと思いますし、営業利益の赤字も、売上が$1.975B(約1,975億円)と$2B(約2,000億円)近くある中での$40M(40億円)で、ほぼブレークイーブンと言って良い。決算としてはすごく良い決算だと思います。

ーー今回の特徴は、ユーザー数がまだまだ伸びているという点です。Netflixのユーザー数は2億人ぐらいです。Spotifyの有料会員(Premium Subscriber)もNetflixに追い付きそうな勢いで伸びていますよね。

そうですね。Netflixほどではないかもしれませんが、結構いい感じで伸びていると思います。

Netflixとのビジネスモデルの違いは、広告で無料会員をきちんとマネタイズしている点です。そこがNetflixと大きく違いますね。


広告からの収益は今後もっと伸ばすことができる?

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ーー確かに。ユーザー数は、無料会員(Ad Supported MAU)の方が多いと思いました。広告からの収益は約1割ほどで小さい印象ですが、今後もっと伸ばしていけると思いますか。

まだまだ伸びると思います。

彼らのビジネスモデルでは、1ユーザーあたりの売上で見ると、当然、有料プランに課金してくれた方が10倍ぐらいARPUが大きくなりますよね。

しかし、無料プランであってもそこそこ売上が上がるため、実は赤字になりにくい。無料プランのままでもコストが回収しやすいモデルに実はなっているのがすごいところです。

ーー確かに!

無料会員が1.85億人で広告からの売上が$185M(約185億円)ですので、1四半期に1ユーザーあたり1ドル(約100円)の売上が広告で上がりますよね。ARPU(1ユーザーあたりの平均売上)は月に約33円です。

それでおそらくストリーミングの回線費用ぐらいは払えると思うんですよね。そのため、ユーザーがそのまま無料プランで使い続けてくれていても、実は赤字になりにくい構造になっています。

また、広告がうっとうしいため、使えば使うほど有料プランに転換しやすくなります。最初は無料会員としてしばらく使ってもらい、あるタイミングで有料会員に転換するというかたちだと思います。

繰り返しになりますが、Netflixとの最大の違いは、無料プランでもユニットエコノミクスが赤字にならないようにして、きちんと無料会員を維持できるというところです。


Spotifyが全世界でブランドを確立できている理由

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ーーMAUの伸びを地域別に見てみると、北米とヨーロッパは4%と1%の伸びで、ほぼユーザーを獲得しきってしまったのかなという、ほぼ横ばいですが、南米とアジアなど、他の地域で見ると、30%と51%で伸びていると書かれていました。

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ーー上図のユーザー数の割合を見ても、南米とアジアでまだまだ牌を広げていくことが期待でき、Spotifyは既に全世界でうまく認知を広げてきていると思いました。このようにブランドを確立できている最大の理由はどこにありますか。

やはり、音楽ストリーミングサービスを一番最初にかなりのカバレッジをもって提供した最初の会社がSpotifyだと思います。ファースト・ムーバー・アドバンテージで音楽ストリーミング=Spotifyというブランディングに既になっており、それがすごく大きかったと思います。


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