Q. BASEのショップあたりの取扱高はShopifyの何倍か?
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A. Shopifyの「ショップあたりの取扱高」を1とした場合、BASEは0.23と低く、大きな差があります。
この記事はゲストライターとの共同制作です。
今回の記事では、2019年10月にマザーズへの上場を果たしたBASE株式会社のECプラットフォーム「BASE」について見ていきます。
ECプラットフォームの領域は、国内ではBASEやSTORES(旧STORES.jp)が有名ですが、グローバルではカナダ発の「Shopify」が圧倒的な規模感を誇っています。
そこで、今回は同じECプラットフォームを提供するBASEとShopifyを比較することで、BASEのビジネスモデルへの理解を深め、今後の成長戦略について考えていきます。
BASE株式会社 2019年12月期第3四半期決算説明会資料(2019/11/14)
Shopify Q3 2019 MD&A/Financial Statements (2019/10/17)
BASEとShopifyのテイクレートの差は?
まずEC領域の分析に欠かせない「テイクレート」を見てみましょう。
テイクレート = 売上 ÷ 取扱高
テイクレートは上の式で計算できるので、両社の2019年7月〜9月の決算資料から、以下のように算出することができます。
BASEのテイクレート=8.71億円÷101億円=8.57%
Shopifyのテイクレート=$390M(約390億円)÷$14.8B(約1.48兆円)=2.64%
テイクレートでは、実はBASEがShopifyを3倍以上も上回っていることが分かります。
では、なぜこのような大きな差が生まれているのでしょうか?
BASEとShopifyのビジネスモデルの違い
BASEとShopifyのテイクレートの差の要因を探るために、まずは両社のビジネスモデルの違いを整理していきましょう。
BASEとShopifyのビジネスモデルには、以下のような構造上の違いがあります。
BASEはショップの開設や維持は無料化し、売上に対する手数料のみを回収する「手数料単体モデル」、Shopifyは月額のサブスクリプションフィー(出店料)と手数料の双方を回収する「サブスク+手数料ハイブリッドモデル」を採用しています。
これだけをみると、サブスクでもフィーを回収できているのであれば、「Shopifyの方がテイクレートが高いのでは?」と考えてしまいがちですが、実際の手数料とサブスク金額を見てみると、その差は明らかです。
上図で示しているように、ShopifyはBASEに比べて手数料が大幅に低い水準になっています。
さらに、「Shopify Plus」という大規模なECを運営するエンタープライズ向けプランも提供しており、このShopify Plusの手数料は企業規模にもよりますが1%を切る水準の企業もあると言われています。
つまり、両社のテイクレートの差を生む要因として、元々の手数料率の差とShopify Plusにおける手数料の大幅な割引の2点が考えられます。
ちなみに、Shopify Plusは、日本でもよく知られている食品・飲料メーカーのネスレや、栄養ドリンクのレッドブルなどの企業に利用されています。
BASEとShopifyの重要なKPIは?
では、BASEとShopify両社のそれぞれに重要なKPIはなんでしょうか?両社の重要なKPIは、先述の両社のビジネスモデルと関連しています。
手数料単体モデルのBASEは、取扱高が増えれば増えるほど収益が増えていくため、取扱高が重要なKPIとなります。
一方で、手数料とサブスクのハイブリットモデルのShopifyは、手数料部分は取扱高、サブスク部分は月間経常収益(MRR:Monthly Recurring Revenue)が重要なKPIとなります。
BASE(手数料):取扱高(GMV)
Shopify(手数料+サブスク):取扱高(GMV)、月間経常収益(MRR)
Shopify については、決算資料で「Key Performance Indicators」として上記2つの指標が明示されています。
BASEは「KPI」という言葉は用いていませんが、決算資料で「GMV(取扱高)」の数字や推移が多用されていることから、社内的にも重要なKPIと見ていると思われます。
Shopifyの直近の四半期あたりの取扱高は、$1,482M(約1,482億円)で、前年同期比+約48%で成長しています。一方BASEの直近の四半期の取扱高は100億円で、前年同期比+61%と、規模はShopifyが圧倒的に大きいものの、同規模の高い成長率を誇っています。
取扱高を上げるために注目すべき数字は?
では、ここからはBASEとShopifyに共通する重要なKPIである「取扱高を上げる」ためにはどうすればよいか考えていきましょう。
取扱高は、以下のように因数分解することができます。
「取扱高」=「ショップ数」×「取扱高 / ショップ数」
つまり、取扱高を上げるためには「ショップ数」を増やすか、「取扱高 / ショップ数(ショップあたりの取扱高」を上げる必要があるわけです。
ここまでは、BASEのビジネスモデルと注目すべき数字について解説してきました。
ここからはBASEとShopifyのユニットエコノミクスの比較や、Shopifyが出店者に提供しているサービスをもう少し深く見ていくことで、BASEの今後の戦略について考えていきます。
この記事は、ECビジネスに関心がある方、プラットフォームビジネスに関心がある方、新規事業の成長戦略に携わっている方に最適な内容になっています。
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・BASEとShopifyのユニットエコノミクスの比較
・BASEの80万超のショップのうち、売上が発生している割合は?
・Shopifyが$1B(約1,000億円)の投資を決めた分野は?
・BASEが取扱高を伸ばすためにできること #1
・BASEが取扱高を伸ばすためにできること #2
・まとめ
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