Q. カーブスの売上の過半を占めるのはフィットネスジムではなく、●●
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この記事はhikoさんとの共同制作です。
今回は、隙間時間の30分で効率的に運動ができる女性専用フィットネスジムとして、97.7%の継続率を誇るカーブスを運営する株式会社カーブスホールディングスについて解説していきます。
カーブスは会員数75万人、国内に1,947店舗(2022年8月末時点)展開しています。身近な方が利用していたり、近所で見かける方も多いのではないでしょうか。
カーブスは日本で事業を開始してから約17年ですが、その短期間でここまでの規模に成長できたのは、優れたビジネスモデルや差別化戦略があったからだと考えられます。この記事では、そのようなカーブス成長の秘密を深ぼっていきます。
記事の前半では、カーブスの沿革やビジネスモデル、他のフィットネスジムとの違いを深掘りし、記事の後半では、カーブスの売上の主力となっている意外なビジネスに迫っていきます。
カーブスはアメリカ発の企業
まず、カーブスの歴史について解説していきます。
カーブスは、元々アメリカのCurves International, Inc. によって生み出されました。日本では2005年に株式会社ベンチャー・リンクが国内のマスターライセンス(事業展開の権利)を得てカーブスジャパンを設立し、2005年7月に日本1号店(東京都品川区戸越)をオープンしています。
その後カーブスジャパンは、2008年にカラオケボックスの「まねきねこ」などを運営するコシダカホールディングスグループの傘下に入り、現在のカーブスホールディングスという社名になっています。
2018年にカーブスホールディングスは、Curves International, Inc.を買収し、さらには2020年にコシダカホールディングスから分離・独立(スピンオフ)。2020年3月に単独で東京証券取引所第1部(現プライム市場)に新規上場しています。
カーブスはどのようにして日本で事業を開始してから約15年でカーブスを生み出したアメリカの会社を買収し、親会社から独立して上場できるほどの急成長を遂げられたのでしょうか?
3つのポイントからフィットネスジムとしての特異点を見ていきましょう。
フィットネスジムの常識を覆した3つのポイント #1:ビジネスモデルの違い
カーブスが日本に上陸する以前は、フィットネスジムと言えば大型施設が当たり前でした。個人では所有が困難な高価なトレーニングマシーンが多数設置され、プールやスタジオ、大浴場を売りにするジムがほとんどでした。そのような大型施設を、多数の人に対してサブスクリプション型で提供し、機器や設備の投資に対して会員数が多ければ多くなるほど利益が出るビジネスモデルが主流でした。
対してカーブスは、筋力トレーニングと有酸素運動を交互に繰り返し、1回のトレーニングが30分で終わるサーキットトレーニングを提供しています。高価な機器もプールやシャワーも必要なく、施設も平均40坪とコンパクトに展開できます。それゆえ、商店街や駅前など、居住地に近い場所に出店できていることも特徴的です。
このようなトレーニング施設を考案した背景には、アメリカのカーブスの創始者、ゲイリー・ヘブン氏の想いがあります。彼は、高血圧とうつ病、肥満などが原因で母親(40歳)を突然亡くしており、運動習慣のない人や、今まで運動していなかった人向けに、手軽に運動ができる環境を提供したいという想いでカーブスのビジネスモデルを形作りました。
フィットネスジムの常識を覆した3つのポイント #2:3つのM
50歳以上の主婦をターゲットと据えた、「3つのM」が2つ目のポイントです。
このように、ターゲット層である女性が気持ちよく通えることを徹底していることが分かります。これらは、一般的なフィットネスジムとは正反対の特徴です。
フィットネスジムの常識を覆した3つのポイント #3 独自のマーケティング
カーブスは中高年の女性がメインターゲットで、 60代以上がなんと71%も占めています。カーブス入会のきっかけの調査では、実に52%が口コミによって会員になっており、主婦同士の繋がりを上手く利用して広告宣伝費を抑えながら拡大していることがわかります。
カーブスは、オペレーションにマーケティングを組み入れています。カウンセリング担当者の磨き上げられたマニュアルにより、入会を検討している見学者の初回クロージング率は80%と非常に高くなっています。
また、カーブスのインストラクターは、会員の顔と名前をすべて覚え、来館すると下の名前で会員を呼ぶなど、ジム内ではコミュニティを前面に押し出す運営をしており、居心地を良くして長く使い続けてもらえるように工夫しています。
さらに、インストラクターは会員がしばらく来ないと電話での連絡を徹底しています。カーブスは主婦会員が大半のため、家計意識が強く、きちんと通えないと退会してしまう傾向が強いためです。退会抑制のための電話でのアプローチなど、オペレーションの中にもマーケティングを徹底していることが伺えます。
カーブスのビジネスモデル
カーブスは、95%以上をフランチャイズ(FC)方式で出店しており、インストラクターやオーナーになりたい人がカーブスの看板を使って商売が出来る代わりに、カーブス本体は売上の一部をロイヤルティとして受け取るビジネスモデルとなっています。
店舗の初期費用はFC店側が投資するため、店舗拡大によるカーブスホールディングスの財務負担は少ないのが特徴です。
直近の決算期末である2022年8月末現在で、全国47都道府県に1,947店舗を出店しており、会員数は75万人に上ります。フランチャイズという形態を取っていることが、国内の広範囲をカバー出来ている要因の1つであると考えられます。
カーブスの業績
カーブスの業績を見てみると、2022年8月期の通期売上高は275億円、前年同期比(YoY)+11.5%で、経常利益は33.1億円(YoY+92.9%)、経常利益率は12%(前期は7%)となっています。
売上は堅調な成長率ですが、利益率が大幅に改善し、YoYで2倍に迫る経常利益を計上しています。その要因は、売上、売上総利益の増加に伴い営業利益が増加(YoY+69.1%)したことに加え、円安により為替差益が+4.9億円発生したためです。
ここまでカーブスの歴史、ビジネスモデルの特徴、業績について解説していきました。
記事の後半では、カーブスの意外な主力事業について深掘りしていき、盤石なビジネスモデルの裏側を紐解いていきます。
この記事は、サブスクリプション(会員制)ビジネスに興味関心がある方、フィットネス事業に携わっている方や興味がある方、カーブスのビジネスモデルに関心がある方に最適な内容になっています。
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