Spotifyとは全く異なるTencent Musicのビジネスモデル
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今日の記事では、最近上場が発表されたTencent Musicに関して、書いてみたいと思います。
最初に概要を書くと、Tencent Musicは音楽ストリーミングサービスではありますが、Spotifyなどの月額課金型と全く違う進化を見せているのが特徴的ですので、そのあたりに注目してご一読ください。
1中国元 = 16円で併記します。
FORM F-1 Tencent Music Entertainment Group
Tencentグループが提供しているミュージックサービスだけあって、規模感が凄まじいものになっています。
音楽アプリの上位四つを全て独占しており、月間アクティブユーザー数は8億人を超え、アクティブユーザー当たりの1日の利用時間が70分を超えるという具合に、凄まじいエンゲージメントを見せています。
音楽レーベルとの契約者数は200社を超え、2018年度の上半期だけで売上がRMB8,616M(約1,379億円)となっています。売上の前年同期比の伸び率は92.2%と、約倍増しています。
提供している主なアプリは、この図にある通りQQミュージックを始めとした、中国のトップ音楽アプリです。これらを軒並み独占しているのが、Tencent Musicグループです。
株主リスト: あの会社が株主?
少し意外だったので、株主リストも見てみたいと思います。
Tencentが58.1%を保有しているだけではなく、Spotifyも9.1%を保有しているというのがとても意外でした。
さらにTencent Musicグループが、Spotifyの株式約2.5%を保有しており、株式の持ち合い構造になっていることが分かります。
恐らく音楽レーベルとのやり取りなどで、協業できる部分が大きいのではないでしょうか。
サービス概要と2つの事業セグメント
サービスの概要としては、こちらにあるようにアーティストは音楽レーベルから楽曲提供を受け、それらをライブストリーミング可能な形でユーザーに提供するだけではなく、ユーザーがカラオケを歌ったり、インタラクションできるような形になっているのが非常に特徴的です。
事業セグメントは二つに分けて報告されています。
一つ目がオンラインミュージックセグメントで、こちらは皆さんが想像するSpotifyなどのストリーミングサービスとほぼ同じビジネスだと考えて問題ありません。
二つ目がTencent Musicにユニークな(特有の)ビジネスである、ソーシャルエンタメセグメントです。
売上構成比でみると、オンラインミュージックセグメントが28.7%、ソーシャルエンタメセグメントが71.3%という具合に、後者の方が圧倒的に大きくなっている点も覚えておいてください。
事業セグメントごとのビジネスモデル
初めに、オンラインミュージックセグメントのビジネスモデルを見てみましょう。
サービスとしては、この図にあるように、Spotifyのようないわゆる皆さんがよくご存知のオンラインストリーミングサービスだと思って間違いないと思います。
こちらは基本的にサブスクリプション型になっており、月額RMB8(約128円)で、広告が入らない形で無制限に音楽が聞けるだけではなく、さらに追加で月額RMB15(約240円)を払うとプレミアムメンバーシップを手に入れることが出来、メンバー限定のビデオが見られるなど、様々なカスタマイズが出来るようになります。
月額課金の価格が非常に安いのが印象的です。
次に、ソーシャルエンタメセグメントのビジネスモデルを見てみましょう。
アプリとしては、WeSingが典型的なアプリですが、単に音楽を聴くだけではなく、自分で歌った声を共有したり、それらにコメントをつけたりという具合に、ソーシャル機能が強くなっています。
それだけではなく、この図にあるように、自分で歌うライブを放送して、それに対して他のユーザーがバーチャルギフトなどを送ることが出来るようになっています。
つまりをここの部分に関しては、モデルとしては日本で言うところのShowroomのようなモデルに近くなっていると言えるでしょう。
バーチャルギフトとしては、ダイヤモンドリングや車といったものも含まれており、ライブを放送してくれるユーザーを応援する機能が販売されています。
売上・営業利益
2017年の1年間で、売上はRMB10,981M(約1,756億円)、売上総利益がRMB3,810M(約610億円)、営業利益がRMB1,593M(約255億円)と、営業利益率が非常に高い収益性の高いビジネスに仕上がっており、冒頭にも述べましたが、売上成長率が前年同期比2倍程度になるという、凄まじい規模感になっています。
以下ではTencent Mucisのユニットエコノミクス(MAU・課金ユーザー数・ARPU)を詳しく見ていきます。Spotifyなどの欧米型音楽ストリーミングモデルとは全く異なるビジネスになっているのが非常に興味深いと思いました。
この記事は、エンタメ業界に携わっている方、個人課金ビジネスを担当されている方、ファンを抱えるインフルエンサービジネスを展開されている方に最適な内容になっています。
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