Q.1,785億円での「ヤフー」ブランドのライセンス買い切り、ライセンス料の何年分?
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ヒント:2020年度のライセンス料は●●億円
2021年7月5日、Zホールディングス株式会社と、傘下のヤフー株式会社から、「ヤフージャパン ライセンス契約」を終了し、「Yahoo!およびYahoo! JAPAN」に関連する日本での商標権の取得などを含む新たな契約を締結するという発表がありました。
この契約締結によって、Zホールディングスとヤフー株式会社は、現状売上の3%を毎年支払っているロイヤリティを支払う必要がなくなります。さらにヤフーに関連する商標・技術などが日本では永久に利用可能になります。
また、ヤフーの親会社であるZホールディングスを含めたグループ全体にとっても、ブランド使用や技術開発などに関する自由度が高まり、より機動的な事業展開が可能になるとされています。
今回の記事では、改めてヤフーの事業概要のおさらいをしつつ、「ヤフージャパン ライセンス契約」の経緯を紐解きながら、今回の契約がヤフー及び親会社を含めたZホールディングスグループ全体にどのような影響を与えるのか、ということについて考察していきます。
ヤフー株式会社 2021年7月5日プレスリリース
「ヤフージャパン ライセンス契約」に係る基本契約締結のお知らせ
ヤフーとZホールディングスの事業概要
まず、ヤフーと親会社であるZホールディングスについて、現状の事業概要をおさらいしましょう。
ヤフーの事業を大きくわけると、メディア事業とコマース事業の2つに区分されます。
まずは、メディア事業から見ていきましょう。
ヤフーのメディア事業の要である、ヤフーのポータルサイトの認知度は、日本では非常に高く、月間ログインユーザーID数は年々成長を続けており、2021年3月時点で5,270万のユーザーに毎月利用されています。
Zホールディングスのメディア事業の主な売上は、検索広告、ディスプレイ広告などの広告売上です。その他の売上としては、法人向けCRM関連、個人向けの動画、電子書籍販売等があります。
メディア事業の2020年度の通期売上は3,406億円、営業利益1,501億円、営業利益率44.1%と非常に収益率の高いビジネスです。
ヤフーのもう1つのメイン事業は、コマース事業です。
ECサイトの「Yahoo! ショッピング」や、ネットオークションやフリマアプリの「ヤフオク!」などを運営しています。2020年度通期の取扱高は3.22兆円、前年比(YoY)+24.3%と、ショッピング事業を中心に大きく成長しています。
続いて、ヤフーの親会社であるZホールディングスの事業概要を見ていきます。
Zホールディングスは、様々なグループ子会社を傘下にしたホールディングス企業であり、
主なグループ会社には、月間利用者数8,800万人を誇るチャットアプリの「LINE」、3,800万人の登録者がいる決済サービスの「PayPay」があります。
その他にも、オフィス関連商品に特化したEC事業の「アスクル」、宿泊施設等の予約サイトである「一休」、ファッションEC事業の「ZOZO」、フードデリバリーサービスの「出前館」などがあり、グループとして幅広い事業を展開しています。
ヤフージャパンの「ライセンス契約」とは?
次に、ヤフージャパンの「ライセンス契約」の歴史的な経緯について振り返ってみましょう。
ヤフージャパンは、1994年にアメリカで設立されたウェブサービスプロバイダであったYahoo,Inc.と、当時のソフトバンクのJV(ジョイントベンチャー)として、1996年1月に設立されました。
当時アメリカ国外でヤフーを立ち上げる場合、Yahoo,Inc.の100%子会社として設立されていましたが、当時のソフトバンクがYahoo,Inc.の筆頭株主だったこともあり、日本だけは、異例のJV形態で設立されました。
そのJV設立の際の契約の一つが、今回終了することになった「ヤフージャパン ライセンス契約」です。
そのライセンス契約の内容は、
・Yahoo,Inc.はヤフージャパンに対して、日本におけるヤフーブランドを利用を認める
・Yahoo,Inc.はヤフージャパンに対して、技術提供を行う
・その対価として、ヤフージャパンは、ヤフーブランドからの収益の3%をYahoo,Inc.に支払う
というものでした。
このブランド料と技術提供料としての3%の対価は、ヤフージャパンにとってメリットのあるものだったのでしょうか?
この「ライセンス契約」は昔は「お得」だった?
結論から言うと、設立当時にヤフーブランドからの収益の3%を支払う契約は、大きなメリットがある契約で、当時のヤフージャパンにとっては「破格」と言える契約内容でした。
当時のYahoo,Inc.は、最先端のエンジニアが多数在籍しており、新しいソフトウェアの仕組み(広告、コマース、モバイル等々)も、どの会社よりも先に作っていた、最先端の企業だったからです。
ヤフージャパンは、これらの最新のシステム技術をYahoo,Inc.から提供してもらい、さらに自社で開発を加えることもできました。これらの理由から、ライセンス契約として3%の対価は、当初は破格と言っても良いほど大きなメリットのある契約でした。
米Yahoo,Inc.が衰退するにつれて...
ところが、多くの方がご存知の通り、Yahoo,Inc.はスマホ化の波に乗り遅れて、2017年にアメリカの大手携帯会社であるVerizonに買収されました。
その後、VerizonはAOLとYahoo,Inc.を統合し、Yahoo!はTechCrunchなどとVerizonMediaブランドに統合され、Yahoo!ブランドは消滅しました。Verizon Mediaとして再建を図りましたが、それも叶わず、2021年の後半にファンドに売却される予定になっています。
今となっては、Yahoo,Inc.にヤフージャパンよりも先端的なものというのはほぼないと思われますし、アメリカでは毎年認知度が落ち続けるヤフーのブランド料を、日本で利用するためだけに3%を支払うという以前の契約は、費用対効果に見合わない契約になっていたと推察されます。
原価が低い広告をメインにしたメディア事業の売上の3%なら、まだ負担としては少ないと考えられますが、原価率が高くマージンが低いコマース事業の売上などを含めて考えると、3%のライセンス料は負担が大きかったでしょう。
ここまで、「ヤフージャパン ライセンス契約」を終了するというトピックスを取り上げ、ヤフーとZホールディングスの事業概要をおさらいし、これまでのライセンス契約の経緯について振り返りました。
記事の後半では、近年負担となっていた3%のライセンス料に対して、ヤフーがどのような戦略をとっていたか、そしてライセンスの買い切り価格1,785億円は高かったのか、それとも安かったのか、という点について考察していきます。
この記事は、ヤフーやZホールディングスの事業に興味がある方、ライセンス契約のある事業に携わっている方や興味がある方に最適な内容になっています。
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・1,785億円での「ヤフー」ブランドのライセンス買い切り、ライセンス料の何年分?の答え
・ソフトバンクとヤフージャパンが●●に巨額の投資をしてきた最大の理由
・1,785億円は「高い」?それとも「お得」?
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