【コロナ禍】5大商社の中で伊藤忠が絶好調な理由 - 商社の独特な決算の読み方も解説(おまけ: ウォーレン・バフェットはなぜ日本の5大商社に投資したのか?)
新着記事をTwitterやLINEでお届けします。以下のURLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote
LINE: https://line.me/R/ti/p/%40pap3801g
----------------------------
私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
商社独特の指標とは?
ーー(Risa)皆さんこんにちは、Risaです。今年ウォーレン・バフェット率いる米国バークシャー・ハサウェイが出資したことで話題になった日本の五大総合商社ですが、その中でも高い業績の伊藤忠の決算を、シバタさんと見ていこうと思います。シバタさん、よろしくお願いいたします。
ーー今年の4月~9月期(1-2Q)の決算は、「当社株主帰属四半期純利益」が2,525億円と前年同期比12.6%マイナスでしたが、7月~9月期(2Q)に関しては、四半期単体で過去最高益という結果でした。
ーーこのページに「基礎収益」など他の企業の決算ではあまり見ない指標があり、商社の決算は独特なように感じました。決算の印象を伺う前に、商社独特の指標があれば教えて下さい。
(シバタナオキ)商社には色々なビジネスが混在しているので、きちんと実態を把握するのは意外と難しいです。そのため、この資料にある「基礎収益」を1つの目安として見る場合が多いです。
基礎収益とは、営業利益に利息・配当金・持分法損益を加えた数字を指します。基礎収益を見る一番の理由は、商社には色々なビジネスがあり、色々なパターンで売上が生まれるので、売上高で追ってしまうと正しく比較できないためです。
ECのビジネスでいうと、直販とマーケットプレイスが混在しているような状態で、マージンが全然違うものが混ざるので、売上で比較しても意味がありません。例えば、マージンが5%のビジネスと30%のビジネスの売上を比べても意味がないですよね。
横並びで比べるときにフェアなのが基礎収益だというのが一番の考え方です。
ーーなるほど。基礎収益以外にも、色々なビジネスが混在している商社ならではの決算の見方があれば教えて下さい。
いくつかあります。1つは営業利益です。オペレーションを自分たちで持っているビジネスに関しては、営業利益で見るのが良いでしょう。
2つ目が金融収支です。これはいわゆる受取配当金も含むような金融収支で、お金を貸して、お金が返ってきて儲かる、というものです。
3つ目は持分法利益です。出資をしていて、持分に応じた利益を受け取ることです。
以上の3つくらいを分けて見ると、大体全体像が見えてくるのではないかと思います。
今回の決算の印象は?
ーーこちらは伊藤忠のセグメント別の一覧です。子会社のファミリーマートの税金費用の減少などで一過性利益はあったものの、全体を見るとエネルギー・化学品、食料、情報・金融、コンビニ事業含む第8セグメントが顕著に伸びており、苦戦する繊維(アパレル)、機械(自動車販売)や金属を補った結果になりました。今回の決算全体の印象を教えて下さい。
基本的にはコロナの影響が直撃している印象です。前年同期比で増えている分野は、コロナの影響通りに見えます。全体としてはマイナスになっており、非常に苦しい決算です。
世の中のトレンドに反していることはおそらく1つもなく、コロナでプラスの影響を受けている分野はプラスになり、マイナスの影響を受けた分野はマイナスになっている印象です。
ーー食品やコンビニ事業は、巣篭り需要がここにも表れているということでしょうか。
そうだと思います。
2021年以降も伊藤忠の独走が続くのか?
ーーコミュニティからの質問です。五大商社を比べてみたところ伊藤忠が圧勝ですが、アフターコロナ、脱炭素化の流れが続く2021年以降も、今年の勢いのまま伊藤忠の独走が続くのでしょうか。
このグラフは、青が2020年4月~9月の6カ月間の純利益、オレンジが2021年3月期の純利益の予測で、折れ線が進捗率です。これを見ると、伊藤忠は圧倒的に利益が出ていて、さらに出る予測になっています。
来年以降もこの勢いが続くのかですが、商社のビジネスは外部環境にかなり左右されます。今のままのトレンドなら、伊藤忠に追い風が続くと思います。
三菱商事や三井物産に比べると、石油や資源系への依存が少なかったのが伊藤忠です。資源系が絶好調の時は伊藤忠が落ち込み、三菱商事・三井物産が圧倒的に良かった時期もあります。今のようにコロナにより資源系の調子が悪くなると、資源系への依存度が低い伊藤忠の調子が良くなります。
今のように、コロナで移動が制限されている状況が続くとすると、その間は伊藤忠は好調でしょうし、その状況が変われば三菱商事や三井物産が好調になるでしょう。
伊藤忠の調子が悪くなるという意味ではありませんが、商社のビジネスは外部環境に影響される部分がかなり大きいように思います。
ーーやはり各商社で得意なセグメントがあるので、それによって各社の決算の明暗も分かれるということですね。
そうですね。
----------------------------
ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、月額1,000円のマガジンをご購入ください。有料マガジンは、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加される予定です。
マガジンは初月無料です。月末までに解約すれば費用はかかりません。購読開始した月以降の有料記事が読めるため、月末に購読開始しても不利にはなりません。
有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。
・他の商社で伊藤忠を追い越す可能性が高いのはどこか?
・商社は有事の際に強い業態なのか?
・なぜ株価が割安なのか?
・その他のポイントは?
・まとめ
ここから先は
¥ 500