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Googleも出資するABEJAが上場。特異的なDXのアプローチとは?

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ヒント:●●を導入する際に●●を必要としないアプローチ

この記事はhikoさん(企画・リサーチ担当)との共同制作です。

今回は、2023年6月13日に東証グロース市場に上場するABEJAについて深掘りをしていきます。

ABEJAは、国内ベンチャーキャピタルはもとよりGoogleやNVIDIAなども出資している、AIアプリケーションの開発・運用事業を行っている注目企業です。

AIが再び盛り上がりをみせることになった起点技術であるディープラーニングの黎明期に創業したABEJAは、どのように今回の上場まで至ったのか?

今回の記事では、以下のIの部を参考にABEJAの創業ストーリーやビジネスについて解説しながら、他社とのビジネスアプローチの違いなど、より深く考察をしていきます。

株式会社ABEJA 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)


ABEJAの会社概要

ABEJAは、2012年9月に岡田陽介氏が日本で初めてディープラーニングを専門的に取り扱うベンチャー企業として、創業しました。

代表取締役社長である岡田氏は、前職でシリコンバレーでのディープラーニングをはじめとした AIの進化を目の当たりにし、ABEJAの創業とデジタルプラットフォーム事業の立ち上げをします。

しかし、 当時はディープラーニングの黎明期のため、日本でディープラーニングに対して一般的な認知が進んでおらず、顧客企業に営業にいっても、導入事例もないため、門前払いを受けていました。

そこで、ABEJAは「ABEJA Platform」をベースに、業界を絞ってアプローチする戦略に転換します。ABEJAは、2015年10月に小売・流通業に特化した「ABEJA Platform for Retail」のサービス提供を開始します。

当時の小売・流通業では、実店舗の来店人数すら可視化できていない状況でした。一方で、店頭にカメラやデバイスを設置することで、ディープラーニングの強みである画像解析を活用することができるため、来店人数、店前通行人数、年齢性別推定など実店舗における来店から購買までの顧客行動を可視化するサービスを提供しました。

結果、企業はABEJA Platform for Retailを導入することで、売上向上やコスト削減に繋げることができ、小売・卸売AI市場で3年連続シェアNo.1を獲得し、550店舗以上に導入されます。(2023年2月末時点)

その後、ABEJAは、2018年2月より製造業界を対象とした製造現場の生産性向上のための「ABEJA Insight for Manufacture」、インフラ設備を監視し、安全かつ安定した稼働を実現するための「ABEJA Insight for Infrastructure」を提供し、小売・流通業に加えて、製造・インフラ業界へのアプローチを進めています。

このように、ABEJAは、業界特化型のSaaSサービスを提供することで、AIサービスの活用事例を創出し、認知向上と顧客企業を獲得しました。


ABEJAのサービス概要

ABEJAは、AI開発・運用プラットフォームである「ABEJA Platform」の提供をしており、顧客企業の競争優位の源泉となるビジネスプロセスを変革し、継続的な収益成長の実現に伴走する「デジタルプラットフォーム事業」を運営しています。

デジタルプラットフォーム事業は、フロー型(都度契約)の契約形態でDX推進の仕組みづくりをする「トランスフォーメーション領域」とストック型(継続収入)の契約形態で構築した仕組みを運用する「オペレーション領域」があります。

つまり、デジタルプラットフォーム事業は、トランスフォーメーション領域で設計し、ABEJA Platform上に構築したビジネスプロセスを、オペレーション領域で運用する事業モデルになっています。

次に、ABEJA Platformについて、解説します。

ABEJA Platformは、機械学習や深層学習を活用したAIアプリケーションの開発・運用を効率的に行うことができるプラットフォームで、DXの実行に必要なデータ生成からデータ収集、データの加工、データ分析、AIモデリングまでのプロセスを提供し、継続的・安定的な運用を行えます。

加えて、ABEJAは、今まで300社以上の様々な業界・業態に導入実績があり、DXを支援する上で培ったナレッジをABEJA Platform上の製造ラインとして持っているため、ABEJAの顧客企業は、ABEJA Platformの最先端の製造機械と製造ノウハウを活用し、AIシステムをシームレスに基幹業務に取り入れ、運用できます。

ABEJA Platform関連の売上は、ABEJA全体の83.6%を占めており、ABEJAのデジタルプラットフォーム事業の中核を担うシステムといえるでしょう。


ABEJAの売上、利益の推移と見通し

次に、直近の業績を見ていきます。

売上高は2022年8月期(2021年9月〜2022年8月)は19.7億円、YoY+57%と大きく右肩上がりに成長しています。2023年8月期(2022年9月〜2023年8月)の売上高も27.6億円とYoY+39%と高水準で成長する見込みです。

経常損失は2022年8月期は-1.8億円と赤字ですが、直近で徐々に減少してきており、上場後の2023年8月期で黒字化を達成する見込みです。

売上が堅調に成長していく背景として、働き方改革等のため、国内のデジタルトランスフォーメーション市場が大きくなっていることがあります。加えて、売上の84.1%を占めるトランスフォーメーション領域は、フロー型(都度契約)の契約ですが、長期間にわたる計画的なプロセスのため、継続顧客の割合は9割を超えており、長期的に見ても安定的な収益を見込めます。


上場までの道のり

ABEJAは、2020年3月の取締役会にて、ベンチャーキャピタルによる出資等の場合に発行される種類株を普通株に転換しました。その後、ABEJAは、2020年11月30日の株主総会で普通株の一部を種類株に戻しました。

日本では株主平等の原則が重視されることから、上場前に種類株から普通株に転換しておくことが通例となっており、2020年にABEJAが上場への動きを進めていたと考えられます。2021年1月には米国法人を清算、2021年7月にシンガポール法人を清算しており、何らかの課題があったため、上場を中止した可能性があります。

ABEJAは、2021年4月にSOMPOホールディングスと資本業務提携を実施し、SOMPOホールディングスが既存株主から21.9%の発行済み株式を取得し、関連会社となります。

背景には、ABEJAとSOMPOホールディングスが、2020年から「データ解析や機械学習を活用した予測モデルの構築、共同事業開発など」で協業を始めており、資本提携前から両者の経営層間で良い関係性が構築できていたため、SOMPOホールディングスからの救済があったと想定されます。

2022年8月期のABEJAの売上の38%がSOMPOホールディングスによる売上であることから、ABEJAにとって、SOMPOホールディングスとの業務提携によって、売上拡大があり、今回の上場にも繋がったと言えるでしょう。

記事の後半では、ABEJAの他社とのビジネスアプローチの違いや市場からの評価について考察していきます。

この記事は、AI業界に携わる方や興味がある方はもちろん、ビジネスモデルに関心がある方に最適な内容になっています。


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・Q. Googleも出資するABEJAが上場。特異的なDXのアプローチとは?の答え
・ABEJA PlatformのAI導入を成功に導く独自の仕組みとは?
・他社とのビジネスアプローチの違いは?
・同業他社との比較
・まとめ


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