Appleの後払いがついにリリース、子会社を作り本腰を入れてきた理由とは?
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この記事はゆべしさんとの共同制作です。
先日、AppleがBNPLサービス(Buy Now Pay Later:以下、後払いサービス)である「Apple Pay Later」を開始することを発表しました。
後払いサービスは、文字通り”今買って、後で払う”という仕組みです。クレジットカードと違って分割払いによる手数料が取られない等の利便性や、与信審査のハードルが低いため若年層の手軽に使えるなどの理由により、後払い決済の市場は急拡大しています。
また、AppleはこのApple Pay Laterの提供に先駆けて、金融サービスを提供する100%子会社を設立しています。
本日は、これまでiPhoneやMac、iPadなど各種デバイスを中心に事業展開していたAppleが、なぜ金融サービスを行う子会社を設立し、後払いサービスを開始したのか?FinTech領域に本腰を入れる理由を考察しました。
「Apple Pay Later」の概要
「Apple Pay Later」は、Apple Payを利用できるオンライン決済の際に、利子や手数料なしで後払いができる決済サービスです。一括払いか、6週間にわたって4分割で支払うかを選択することができます。
2023年3月28日時点では、米国で一部ユーザーにプレリリース版への招待を開始し、今後数ヶ月以内にすべての対象ユーザーに展開する予定とのことです。
元々、Appleは2022年6月に開催されたWWDC(Worldwide Developers Conference)で、この後払いサービスをiOS16に実装することを発表しておりましたが、iOS16.4で一部のユーザーに絞って提供する運びとなっています。
Appleの金融サービス
Appleがこれまで提供してきた決済サービスは、主に(1)Apple Cardというクレジットカード事業と、(2)iPhoneやApple WatchなどのAppleデバイスを使用したApple Pay事業の2つです。
Apple Cardは、ゴールドマン・サックスと協業したクレジットカードサービスで、iPhone上のWalletアプリから申し込みすることができ、デジタル化されたカードでオンラインや店舗での支払いが可能です。本記事執筆時点ではまだ日本で使用することはできません。
Apple Payは、既にご存知の方も多いと思いますが、クレジットカードやデビットカード、交通系ICカードなどを登録することで、非接触決済やアプリ内決済ができるサービスです。
これら2つの事業には後払いサービスは付帯していなかった為、Apple Pay LaterがAppleにとって初めての後払いサービスとなります。
ちなみに、上図の通りAppleの決算では主要プロダクト別の売上を公開しているものの、主要なプロダクト以外は、「サービス」というカテゴリにまとめられているため、前述した決済サービスの正確な売上は開示されていません。
次に、主要プロダクト別の売上構成比の四半期推移を見ると、多少の変動はあるものの、「サービス」カテゴリの割合は20%前後で推移しています。
FinTech領域への布石
今回注目すべきは、Apple Pay Laterのリリースに先立ち、Apple Financing LLC(以下、Apple Financing)というAppleの100%子会社を設立して、米国内で貸金業免許を取得しています。
また、Appleは2023年3月に、英国のFinTechのスタートアップである「Credit Kudos」という企業を買収しました。Credit Kudosは、AIを活用して借り主のリスクを正確に評価するクレジットスコアリングサービスを提供している企業です。
参考:Apple buys UK fintech start-up Credit Kudos
ここまで、Apple Pay Laterの概要、Appleが提供する決済サービスについてまとめました。記事の後半では、Appleが金融サービスに本腰を入れる狙いを考察していきます。
この記事は、金融サービスに従事している方や、Appleに関心がある方におすすめの内容となっています。
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