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Facebookに見るグローバル市場の攻略方法とスマホ市場の成熟度

Facebookの2016年10月〜12月期の決算が発表されました。

数字を見ると、売上は四半期単位で$8.8b(約8,800億円)を超え、グラフから分かる通り、伸び率も非常に絶好調に見えます。

他方、Facebookは前回の決算発表の際に、従来のペースで「広告を表示するスペース」を増やすことは出来ないため、今後成長率が鈍化する予定である、と明確にアナウンスしています。

Facebookだけではなく、例えばiPhoneを販売するAppleも伸び悩み始めていますが、今後スマホ市場はどうなっていくのかを、Facebookの決算から少し深読みしてみたいと思います。

スマホ市場全体という意味では、アメリカなどのスマホ先進国では、普及率が上限まで達して、これ以上スマホ人口が増えないことが鮮明になっている一方で、スマホ後進国ではまだまだ売れ続けている、という現状があります。

Facebookの決算は地域別の非常に詳細なデータまで公開されており、グローバルなスマホ市場の現状を把握するのには適しているデータと言えます。それらのデータを用いて、2016年末時点でのグローバルなスマホ市場の全体像を掴んでみたいと思います。

Facebook1社の決算をもってスマホ市場の成熟度を語るのは無理があるのではないか、という方もいらっしゃるかもしれませんが、Facebookはまさにスマホ銘柄と呼ばれるほど、スマホで成功している企業です。

また中国など一部の国を除いては、市場シェアが非常に高く、グローバルにおけるスマホの成熟度を判断するには最も適したデータと言えるでしょう。


今回のnoteは、分かっている人にとってはそんな話はとっくに聞いたことがある、という話かもしれませんが、改めてデータをしっかり整理してみたいと思います。


シンプルなビジネスモデル

Facebookの主なビジネスは広告ビジネスです。広告ビジネスは非常にシンプルなビジネスモデルです。

売上 = アクティブユーザー数 x ARPU

当たり前ですが、広告売上はアクティブユーザー数 x 1ユーザーあたりの売上(ARPU)という式で計算できます。

このシンプルなモデルにおいて売上を増やそうとした場合、アクティブユーザー数を増やすか、1ユーザーあたりの売り上げを増やすか、のいずれかになるわけです。


アプリ市場の成熟モデル

もう一つ興味深いモデルを紹介します。

AppAnnieのレポートによると、アプリ市場の成熟モデルは上の図のような形になります。

スマホの普及期においては、まずは黄色のダウンロード数が増え始めます。

最初は玉石混交のアプリがあるわけですが、次第にアプリの質が改善され、緑の利用時間が徐々に伸びてきます。

そして最後に青の収益が増えていく、というモデルです。

米国や日本のような成熟市場では、ダウンロード数が増加する段階から、アプリの利用拡大と収益増加が中心のフェーズに移りつつあります。一方、インドやインドネシアのような新興市場は、アプリのダウンロード数が今も大きく増加しています。ダウンロード数の増加状況は、パブリッシャーがいつどこに進出すれば早期参入で競争優位に立てるかを判断するうえで参考になるでしょう。

AppAnnieのレポートにも上のような記載がありますが 、Facebookの決算データから、各地域が現状での「スマホ成熟度」としてどのような状況にあるのかを、詳しく見てみたいと思います。


Facebookの2大KPI: DAU & ARPU

広告が主なビジネスモデルであるFacebookにおいては、最も大事なKPIは、アクティブユーザーの数と1ユーザーからの広告売上の2つになるという話は上述しました。

実際にこの二つのKPIを見てみたいと思います。

アクティブユーザーの中でも1日あたりのアクティブユーザーを表すDAUの推移を見てみると、右肩上がりで増え続けていることがよくわかります。

中でも、北米やヨーロッパの伸びが鈍化しているのに対し、アジアやその他地域の伸びが顕著です。

もうひとつのKPIであるARPUを見てみます。

ARPUは全体としては右肩上がりですが、北米やヨーロッパが急激に右肩上がりしているのに対し、アジアやその他地域は比較的鈍い動きに見えます。


地域別のDAU・ARPU推移

これら地域別のDAUとARPUの、時系列での伸びを、グラフにプロットしてみました。

(横軸: DAU (in M), 縦軸: ARPU, 2015Q1〜2016Q4)

グラフにしてみると一目瞭です。

まず北米ですが、アクティブユーザー数の伸びは他に比べて相対的に頭打ちになっているものの、ARPUの伸びが凄まじいと言えるでしょう。ARPUに関しては2015年の第1四半期は$8(約800円)以下であったのに対し、2016年の第4四半期は$20(約2,000円)近くまで上がっているという、驚異的な伸びを示しています。

一方でヨーロッパを見てみたいと思います。ユーザー数は北米よりも多く、ユーザー数の伸びも北米よりは早いスピードで成長していますが、ARPUが北米ほど高くないのが現状です。他方、ARPUの伸び率は、2015年の第1四半期に$2.8(約280円)だったのが、2016年の第4四半期には$5.86(約586円)まで上がっており、北米並の成長率とも言えるでしょう。

最後にアジアとその他地域ですが、上のグラフの通り、ユーザー数の伸びが驚異的であることがよく分かります。

一方でARPUの伸びに関して、グラフのスケールの問題で伸び率が分かりにくいので、グラフの右下部分だけを拡大したものが下の図です。

(横軸: DAU (in M), 縦軸: ARPU, 2015Q1〜2016Q4)

このグラフを見る限り、横軸のユーザー数だけではなく、縦軸のARPUも伸びていることがよくわかります。


2極化: 「北米+ヨーロッパ」と「アジア+その他」

上の図からも明らかなように、同じFacebookの中でも「北米+ヨーロッパ」と「アジア+その他地域」では、全く様子が異なっています。

前者の「北米+ヨーロッパ」に関しては、ユーザー数の伸びが緩やかになってきているのに対し、ARPUの伸びは未だに顕著です。

これらの地域では、今後ユーザー数が大きく増加することは期待できませんが、ARPUはこれからも伸びていくと考えられます。

後者の「アジア+その他地域」に関しては、ユーザー数が伸びる余地がまだたくさんあります。

そしてこれまでは未成熟の市場であったために、ARPUの伸びが前者に比べて小さかったのですが、Facebookの技術力をもってすれば、今後ARPUも前者並みに伸びてくると考えられます。

以上が、Facebookの決算から読み解く「グローバル市場におけるスマホの成熟度」の簡単な分析です。皆さんの認識と合っていましたでしょうか。

グローバルに見ればまだまだ伸びしろが大きいスマホ市場です。今後も注目していきたいと思います。


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