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東南アジアの巨大企業GoTo Groupが新規上場!競争が激化する市場を制するのは?

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ヒント:東南アジアで同領域の事業を行っているGoTo Group、Grab、Seaの3社を比較すると、状況は以下の通りです。(3社のいずれかが●●に入ります)
・EC:売上は●●が圧倒的、成長率は拮抗
・モビリティ&デリバリー:売上は拮抗、成長率は●●が優勢
・Fintech:売上規模、成長率ともに●●が他社を圧倒

この記事は沼幹太さん(企画・リサーチ担当)とmasmさん(ライティング担当)との共同制作です。

世界第4位の人口を誇るインドネシアで、EC、モビリティ、Fintechなどの事業を展開するGoTo Groupが、2022年4月4日にインドネシア証券取引所に新規上場しました。

東南アジアでは、GoTo Groupと類似した事業を行っているGrab社やSea社などの巨大な競合企業が存在し、競争が激化している状況にあります。

Seaについては、以前成長要因を分析した記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

今回の記事ではGoTo Groupの目論見書を参考に、東南アジアのEC、モビリティ&デリバリー、Fintechという3つの事業を切り口として、競合他社と比較しながら分析をしていきます。

この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。
また、1ルピア=0.00007ドル(Rp1 = 0.00007)として換算した値を掲載しています。


GoTo Groupの会社概要

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まずは、GoTo Groupの企業概要について見ていきましょう。

GoTo Groupは、2021年5月17日に設立された新しい企業ではありますが、モビリティ企業「Gojek」とEC企業「Tokopedia」の、スタートアップ2社が合併してできたグループ企業です。

主要展開国であるインドネシアは、人口が2020年時点で2億7,300万人超と東南アジア最大且つ世界で4番目に多く、GDPが100兆円を超える巨大市場であり、GoTo Groupはそのようなマーケットの中で事業を展開しています。

会社設立時には、米国のGoogleやMeta(当時Facebook)、中国のアリババグループやテンセントなど世界の巨大企業が出資し、日本のソフトバンクグループの投資ファンドであるソフトバンクビジョンファンドも出資者に名を連ねています。

このようにGoTo Groupは、世界から注目を集め、成長を期待されている企業であると言えます。


GoTo Groupの事業概要

次に、GoTo Groupが行っている事業について整理していきましょう。

GoTo Groupの事業は、主に旧Gojekの事業であるOn-demand Services(モビリティとデリバリー)、主に旧Tokopediaの事業であるE-Commerce(EC)、Financial technology Sercices(Fintech)の3セグメントからなっています。

・On-demand Services(モビリティ&デリバリー)
Mobility領域の「goride」が中心だが、ゲーム事業などを含むLifestyle & Entertainment領域、フードデリバリー事業などを含むFood & Groceries領域などもある。Grabと激しい競争を強いられている。

・E-Commerce(EC)
マーケットプレイス型のEC事業Tokopediaが主な収益源。TokopediaはSea社のShopee、アリババグループのLazadaに次ぐ業界第3位の売上規模。

・Financial technology Sercices(Fintech)
電子決済サービスの「Gopay」や、BNPLサービスの「Go pay later」などを運営。


GoTo Groupの業績:四半期売上・GMVの推移

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次に、GoTo Groupの業績について見ていきます。

FY21Q3(2021年7-9月期)の全体売上は$314.3M(約314.3億円)、YoY+55.1%となっており、前四半期のFY21Q2のYoY+62%よりは成長率が鈍化しているものの、高い成長率を維持しています。

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セグメント別の売上も見ていきましょう。

・On-demand Service:$185.7M(約185.7億円)、YoY+48.5%
・E-commerce:$123.5M(約123.5億円)、YoY+87.3%
・Financial technology Service:$18.2M(約18.2億円)、YoY▲3.4%

FY21Q3のセグメント別売上をまとめると、On-demand Serviceが最も売上が大きく、売上全体の約60%を占めています。

成長率ではE-commerceがYoY+87.3%と最も大きく、徐々にOn-demand Serviceとの差が縮まってきています。

Financial technology Serviceは成長率がマイナスとなっており、他の2事業とは対照的に伸び悩んでいます。


GoTo Groupの業績:セグメント別GTV

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各事業ごとのGTV(総取引額)も見ていきましょう。

E-commerceが$4,252M(約4,252億円)で全体の47.4%を占め、Financial technology Serviceが$3,829M(約3,829億円)で全体の約42.7%を占めています。

一方で、売上が最も大きいOn-demand serviceのGTVは$884M(約884億円)と、主要3事業の中で最も低くなっています。

FY21Q3の事業別テイクレート(取引手数料率)
・Financial technology Service:0.48%
・E-commerce:2.91%
・On-demand service:21.0%

事業別テイクレートの比較を見るとその差は歴然としていますが、売上が最も高くGTVが最も低いOn-demand serviceは、他事業と比較して高い手数料率を徴収できていることがわかります。

FY21Q3の成長率で比較すると、Financial technology ServiceはYoY+94%、E-commerceは67%、On-demand serviceは39%と、どの事業も高い成長率ではありますが、テイクレートが低い事業から取引量を成長させています。


ここまで記事の前半では、市場規模の大きいインドネシアで事業を展開し、新規上場したGoTo Groupの企業概要、事業内容、業績について整理していきました。 

記事の後半では、GoTo Groupの3つの主要事業ごとに競合他社との比較を行い、現状でどの企業がより優位に市場を開拓しているのかを分析していきます。

この記事は、GoTo Groupに興味関心がある方、インドネシアや東南アジア市場について知りたい方、EC、モビリティ、デリバリー、Fintech事業に携わっている方に最適な内容になっています。


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・Q.東南アジアの巨大企業GoTo Groupが新規上場!競争が激化する市場を制するのは?の答え
・全体売上比較:GoTo Group、Sea、Grab
・EC事業比較
・モビリティ&デリバリー事業比較
・Fintech事業比較
・時価総額比較
・まとめ

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