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Q. 新規上場SaaSのヤプリとプレイド: 新規顧客獲得費用とその回収期間は?

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A.
1社あたりの顧客獲得費用は、ヤプリが●万円、プレイドが●万円
回収期間は、ヤプリが●ヶ月、プレイドが●ヶ月

今日は、11月中旬に揃ってIPOが承認されたヤプリとプレイドの決算を読み解いていきましょう。

ヤプリとプレイドは、「SaaS」や「アプリ・ウェブ向けのツール」といった類似点があるため、お互いの指標を比較することで、単体で分析するよりも深い気づきが得られるはずです。

ヤプリとプレイドについては、詳しくはご存知でない方もいらっしゃると思いますので、それぞれの事業内容と決算概要に触れた上で、最後に両社の指標の比較をしていくことにします。

それでは、まずは両社の事業内容を簡単に抑えていきましょう。

株式会社ヤプリ 新規上場申請のための有価証券報告書

株式会社プレイド 新規上場申請のための有価証券報告書


ヤプリとは?

まずは、ヤプリの事業内容について解説していきます。

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ヤプリは、企業向けにノーコード(プログラミングなし)でネイティブアプリの開発・運用・分析ができるプラットフォームを提供している会社です。このプラットフォームが会社名と同名で「ヤプリ」という名前です。

以後、会社名とサービス名を区別するために、会社名を表す際には「ヤプリ」、サービス名を表す際には「ヤプリシステム」という言葉を使っていきます。

ヤプリシステムは、これまでSIer等の外部企業に発注する必要があったネイティブアプリの開発や運用を、同プラットフォーム上で簡単かつ安価にできるようにしています。

また、アプリ利用データの分析や保守運用といったアプリリリース後の各工程についても、ヤプリシステム上でワンストップで対応できるようにすることで、顧客がアプリを開発し運営していく際の様々な課題を解決しています。

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事業系統図(上図)を見ると、サービスとお金の流れの全体像が分かります。

このように、ヤプリは顧客に対して、ヤプリシステムの提供を行い、それに対してシステム利用料を受け取っています。また、アプリの初期制作のサポートを行い、その対価として初期制作料金を受け取っています。

システム利用料は、ベースの利用料金に加えて、有料オプションやプッシュ通知を受診できる端末数に応じた従量課金方式により加算される追加料金により構成されています。

参考までに、金額感の目安としては、システム利用料のベース料金は20〜70万円、有料オプションが機能あたり10万円〜、初期制作料金は280〜360万円となっています。


ヤプリの決算

では、次にヤプリの決算内容について見ていきましょう。

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通期の数字が出ている第7期(2019年1月〜2019年12月)の数字は次のようになっています。

売上高:17.2億円(YoY+68.4%)
経常利益:-7.99億円(YoY-6.3億円)

売上高は前年同期比(YoY)で+68.4%と大きく伸びています。経常利益は赤字ですが、これは先行投資としての開発人員の強化、そして新規顧客獲得のための広告宣伝を戦略的に行ったためです。


プレイド(KARTE)とは?

続いて、KARTEを運営するプレイドの事業内容を簡単に見ていきましょう。

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プレイドは、ウェブサイト・スマートフォンアプリ向けのマーケティングプラットフォーム「KARTE」を提供しています。

KARTEの最大の特徴は、サイトやアプリに訪問したユーザー一人ひとりを可視化し、各ユーザーの行動に応じたマーケティング施策をワンストップで実施することができる点です。

具体的には、サイトやアプリ内のチャットボックスや、Eメール、SMS等でユーザーに適したコミュニケーションを行うことができます。

以前は「ウェブ接客」という言葉も使っていましたが、現在は「CX(顧客体験)プラットフォーム」という言葉を使っており、接客(EC)に限らず、様々な業種における顧客体験の最大化をサポートするツールと自らを位置づけています。

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KARTEでは、上図のように顧客をリアルタイムに可視化し、セグメンテーションを行い、施策アクションを実施、そして施策のデータを収集し、次の施策に活かしていくという一連のマーケティング活動をワンストップで行うことができます。

さらに、「KARTE Datahub」を用いると、KARTE上のユーザーデータと事業者が保有する顧客データベースを統合することができ、さらに深い分析・施策の実行が可能となります。

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顧客セグメントは、上図のようになっています。サービス開始当初はEC事業者を中心に導入が進んでいましたが、現在ではその他の領域として、人材・金融・メディア・不動産など、幅広い業種に導入されるようになっています。

業種を問わず価値を提供できるようになったことで、今後の潜在的市場も非常に大きいと言えるでしょう。


プレイドの決算

では、続いてプレイドの決算を見ていきます。

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上図より、第8期(2018年10月〜2019年9月)の売上と経常利益は次のようになっています。

売上:29.4億円(YoY+84.1%)
経常利益:-6.79億円(YoY−4.51億円)

また、上図には反映されていませんが、第9期(2019年10月〜2020年9月)の実績も別ページに記載されており、次のようになっています。

売上:40.1億円(YoY+36.5%)
経常利益:-12.1億円(YoY-5.26億円)

経常利益については、新規顧客獲得のための広告宣伝及び人材獲得により、年々赤字額は拡大しています。成長期のSaaSの企業らしく、短期的には損失を出しながら将来的な売上の種の創出に注力しているフェーズと言えるでしょう。

ここまでは、ヤプリとプレイドの事業内容、そして直近の決算数字の概要をお伝えしてきました。

記事の後半では、ヤプリとプレイド両社のKPIとして、サブスク売上、契約ウェブサイト・アプリ数、ARPUについて比較・解説していきます。そして、最後には、SaaSの重要KPIである「顧客獲得単価」と「(顧客獲得コストの)回収期間」についても見ていきます。

この記事は、SaaSに関心のある方、SaaSのKPIについて深く知りたい#、ヤプリやプレイドへの投資を検討されている方に最適な内容になっています。

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・ヤプリとプレイドの新規顧客獲得費用とその回収期間の答え
・ヤプリのKPI #1: サブスク売上
・ヤプリのKPI #2: 契約アプリ数
・ヤプリのKPI #3: ARPU
・プレイドのKPI #1: サブスク売上
・プレイドのKPI #2: 契約ウェブサイト数
・プレイドのKPI #3: ARPU
・2社のSaaS KPIの比較
・顧客獲得費用・回収期間の比較
・まとめ

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