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Q. 時価総額1,500億円の大型上場!ビズリーチの成長を加速させる重要KPIとは?

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ヒント:社内指標として挙げられている「累計導入企業数」「年次利用企業数」「利用ヘッドハンター数」「スカウト可能会員数」に加えて、企業の「●●率」が重要KPIです。


転職支援サイトの一つとして、後発ながらすっかり定着したビズリーチを子会社に持つ、株式会社ビジョナルが、2021年4月22日東京証券取引所マザーズ市場に上場することが承認されました。公募分を含む総株数は約3,500万株で、想定発行価格から算出した時価総額は1,500億円超えの超大型上場ということで注目を集めています。

ビジョナルは、ビズリーチの他にも多角的に事業を展開していますが、現状ではビズリーチの売上が85%以上を占めており、ビズリーチがビジョナルに与える影響は大きいと言えます。

今回は、記事の前半で、ビジョナルのビジネスモデル、決算の概要、スカウトサービスの「ビズリーチ」について見ていきます。
記事の後半では、ビズリーチの成長を加速させる重要なKPIと、ビズリーチを含むHR領域の成長可能性について探っていきたいと思います。


ビジョナル(ビズリーチ)とは?多角化する事業

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ビジョナルは、2009年に現在の主要事業である「ビズリーチ」を会社名として創業し、HR、いわゆる人事領域を中心にITを活用した様々な事業を展開してきました。

2020年2月にグループ経営体制に移行すると同時に、サイバーセキュリティ分野に取り組むビジョナル・インキュベーション株式会社と、求人検索エンジンを手がける株式会社スタンバイを新設し、ビズリーチを含むホールディングスカンパニーとして、新設されました。

ホールディングス化と同時に、事業承継M&Aプラットフォームの「ビズリーチ・サクシード」や、物流DXプラットフォームの「トラボックス」など、HR領域に必ずしも限定せずに事業を展開しており、今後もプラットフォーマーとしてのポジショニングと幅広い領域における新規事業創出を経営方針として掲げています。


ビジョナルの売上・営業利益

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2020年7月期の売上は、258.8億円(YoY+20.41%)、営業利益は21.9億円(YoY+325.29%)と年々売上を伸ばしています。
しかし、売上の成長率をみると、2017年7月期の61.05%から2020年7月期は20.41%と成長率は年々鈍化しています。

売上の規模が大きくなれば、当然成長率は鈍化しますが、そのスピードを考えると今後の成長度合いが気になるところです。

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ビジョナルの今後の成長を探るために、セグメントごとの指標を確認していきましょう。
上図の通り、現状「HR Techセグメント」と「Incubationセグメント」の2つに別れています。主要事業は「ビズリーチ」を含む「HR Techセグメント」であり、その中でもビズリーチ事業は直近の決算で売上の85%以上を占めています。

ビズリーチ事業についてさらに深堀っていきます。


ビズリーチ事業とは?

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ビズリーチは、求職者(会員ユーザー)と直接採用企業(企業の人事・採用担当)、さらにヘッドハンター(人材紹介会社)の三者が集う日本最大級のダイレクトリクルーティングプラットフォーム(企業が求職者に直接アプローチできるプラットフォーム)です。

求職者にとっては、直接採用企業とヘッドハンターが同一のプラットフォームを利用しているという点で、就職先の選択肢が広がりやすくなるというメリットがあると考えられます。
そのメリットによって登録する求職者の人数が増え、直接採用企業とヘッドハンターも増えていくという、好循環を生み出していると言えます。


今期ビズリーチの成長は減速しているが大丈夫なのか?

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ビズリーチ事業単体の売上を見てみると、2020年7月期第2四半期(2019年8月-2020年1月)累計売上の102億円から、2021年7月期第2四半期(2020年8月-2021年1月)累計売上101億円と前年同期比で減収しています。

2021年7月期は、コロナの影響を受けているため、前年同期と単純に比較はできないので、他の人材企業の直近の成長率と比較して見てみましょう。

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上図は、人材業界の主要企業である、リクルートのHRTech事業、JACリクルートメントの国内売上、Wantedlyの四半期の売上とビズリーチ事業の売上を比較したものです。

人材業界全体としてまだコロナの影響を引きずっていると言えますが、リクルートが微増ながらも売上を成長させている中、リクルートと比べて売上規模が半分以下のビズリーチが、成長率では最も劣っていることがわかります。

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上図は、ビズリーチのビジネスモデルを解説した図です。サービス提供対象となるのは、直接採用企業とヘッドハンター及びプレミアム課金をしている求職者です。

それぞれのサービス提供対象者からリカーリング売上高(月額課金しているプラットフォーム利用料)のストック型、直接採用企業とヘッドハンターからはパフォーマンス売上高(採用成功報酬)のフロー型という2つのの売上パターンがあります。それぞれの利用者の推移はどのようになっているのでしょうか。


ビズリーチ事業の主要KPI

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上図は、ビズリーチ事業の社内指標としてあげられている4つの項目です。累計導入企業数、年次利用中企業数、利用ヘッドハンター数、スカウト可能会員数があげられています。導入・利用企業数は増加、ヘッドハンターは直近では横ばいとなっています。

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ビズリーチ事業の売上推移と、年次利用中企業数の推移を比較してみましょう。
2020年7月期は年次利用中企業数が6,600社でしたが、成長率に注目すると2018年7月期が30.56%と最も高く、2019年7月期に23.40%、2020年7月期は13.79%と成長率は鈍化しています。

しかし、1社あたりの売上は、2018年7月期に258万円、2019年7月期に291万円、2020年7月期には317万円と増加しています。
1社あたりの売上を増やせているのは、採用データベースとしての価値が向上しているからではないでしょうか。

利用中の1企業あたり売上は、今後IT開発などの売り手市場における人材不足がさらに深刻化した際に、企業やエージェントがより多くの求職者にアプローチするために「プラチナスカウト」と呼ばれるスカウト枠を追加することによって、さらに伸びていく余地があるでしょう。

記事の後半では、ビズリーチの今後の成長を加速さる上で課題となる点、KPIについてここから深堀りをしていきます。

この記事は、人材ビジネス・HRTech分野に携わっている方、ビズリーチに興味がある方、コロナ禍の人材ビジネスの成長に関心がある方に最適なコンテンツとなっています。


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