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「脳ドック専門クリニック」のオペレーションとビジネスモデルが凄かった件(後編)

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シバタの楽天時代の先輩、濱野斗百礼さんが開業した「脳ドック専門クリニック」へ行ってみたところ、あまりの早さに感動したので、その場の勢いで「しば談」をお願いしてみました。
前編・後編の2回に分けてお届けします。
※「しば談」は対談者との金銭のやり取りを一切行わない対談企画です。今回の企画でもシバタは自費で受診していますし、紹介料等のやり取りは一切ありません。
「スマート脳ドック」の詳細はこちらのビデオをご覧ください。


前編をご覧になっていない方はこちらからどうぞ。
[前編]


予防医療は究極の「ストック型ビジネス」

濱野: これをビジネスとして見ると、これは究極なストック型ビジネスなんですよね。顧客情報を最初に全て取得して、毎年1回脳ドックのご案内を出します。

そして、稼働率を上げて、例えばここだと実は1日平日だと88人撮れます。

シバタ: 1日88人も撮れるんですか?

濱野: 撮れる。先日がっちりマンデー後の4週間で100パーセント稼働を4週間やりました。

シバタ: 濱野さんって、意外と(と言うと失礼かもしれないですが)、オペレーション得意ですね。

濱野: 裏側でITでどうやって処理するのかというのを最初からきちんと設計しています。

カルテ情報は、イントラ(注: 病院内部に閉じたネットワーク)だし、ウェブの仕組みから連動性できないから、そういったものをどうやって入れるとか、そういったものを全部考えてやっています。

意外とスマートフォンを使える60代、70代がいるっていうのも分かったし、今回。全く使えないとか思ってたけど、意外にオンラインを使ってくださる高齢者の方も多いです。

シバタ: 1回オンラインでやってできちゃったら、もうそっちのが楽だって気付くと思うんですけどね。その最初の敷居が慣れてないんだと少し高いかもしれないですね。

濱野: 最初は脳ドックしか提供していなかったのだけど、今はCT検査もオプションで提供してみたら、4割5分ぐらいCTやってくださっていて、客単価が上がっています。

シバタ: 元々は脳ドックで始められて、そこに胸部CTがオプションとして追加されて、今後もオプションメニューを増やす予定ですか?

濱野: 増やしたいですね。CTも、やっぱりがんで亡くなられるので一番高いのは、肺がんなのですが、今のいわゆる胸部のレントゲンの撮影じゃ見つかりにくいのです。

一方で、胸部CTは病院で撮影すると、1万5千円から2万円ぐらいかかる。それをうちは税込8100円にしてるんです。


一体何を「シェアリング」しているのか?

シバタ: 冒頭で、「MRI機器を空き時間をシェアしてもらう」という発想がダメで、今のようにご自身でクリニックを設立されたと思うのですが、その時に課題だった「病院の先生は忙しい」問題はどうやって解決されているのでしょうか?

濱野: 読影するための先生を院内に5人、10人と抱えると数が増えていっちゃった場合にコストにしかならないんです。先生って高いんです(笑)。

でも読影部分をクラウド化にして、広島の会社と連携をして、物理的にここに居ない先生がうちで撮影した画像を診る、というオンラインの仕組みを作りました。日本全国の専門の医師免許をもった先生たちが(言い方は悪いのですが)アルバイトで画像診断してくれています。

元々読影を専門にやるのは放射線医のお医者さんがまず一旦診て、その後に医療連携をしている広島大学、鹿児島大学、徳島大学などの脳外科の先生がダブルでチェックするという仕組みを取り入れているんですよ。ダブルチェックです。

さらに、最終的には返って来たのをうちの院長先生が診て、コメントを書いて返すというような流れになっているから、トリプルチェックです。

単純に同じ画像を3人の医師が診ているというだけでなく、うちの院長は循環器の先生、さらに脳外の先生も放射線医も診てるから、見方を変えることによってより精度が高まります。

シバタ: いや、でもこれはすごいですね。なるべくお医者さんを自分の所で100パーセント抱えるのではなくて、外部と連携するということですね。

濱野: そうです。それができているので、経営的には固定費がさらに下げることができて、さらに安くできる。

濱野: 技師さんは毎日たくさんの画像を診ています。下手すると、読影する先生よりかよく見ている。だから、例えば何か危なそうに見える結果が出たら、すぐにうちの院長先生をその場で呼んで、先生が問題アリと判断すれば、本当にその場でやっぱり紹介状書いているケースも何個かありますね。

シバタ: 1週間待たないでですか?もう見た瞬間に「これヤバい。」っていうケースですよね?

濱野: もう見た瞬間、「この人問題あるから」ってちょっと呼び止めて、すぐ紹介状書くから病院いってください、となってすぐに治療してセーフになったケースもありました。


今後の展開: 直営クリニック vs 送客ビジネス

シバタ: このMRIとCTの機械だけいろんな所にあればと考えると...2カ所目をオープンするというのも考えているんですか?

濱野: 考えています。日本全国に6000台あるMRIの稼働率が低いという話をしましたが、あまり稼働していないところも多いわけです。

そこにうちのオペレーションと予約の仕組、さらに、いわゆる遠隔ドックを入れるというニーズもようやく出てきました。

例えば整形の先生がやってると、脳ドックはやらないわけですよ。でも、例えば「火曜日と水曜日だけ脳ドックをやりましょう。」とかができちゃうんですよ。

シバタ: なるほど。そのモデルの方が早くスケールしそうなイメージはありますよね。

濱野: だから、そこでスケールさせてやって、でも直営店もやっぱりクオリティを担保したいというのもありますね。

シバタ: 本当メディカルツアーリズムは大きくなると思いますよ。

知り合いから聞いたことあるのは、カナダは、日本みたいな国民健康保険制度なのですが、例えば、MRIとかCTをやらなきゃいけないと言うと、すごい待ち期間があるんですね。国民健康保険なんで、日本は直ぐいけるかもしれないですけど、待たなきゃいけない。

そういう時に、結構「もう時間ないから、自己費用負担でいい」と言って、メキシコに飛んでMRIとかCTとかをやる人がそれなりにいるらしいんですよ。要するに、自国で待っているともう死んじゃうかもしれないので、わざわざ自己負担で海外に行って診察するというケースです。

何が言いたいかというと、このメディカルツアーリズムはとても大きくなると思うので、アジアの国からインバウンドで来たついでに、日本のクオリティが高い医療を受けられる、しかも安いというのはかなりニーズがあると思いますね。

濱野: 北米展開をちょっと一緒に考えようよ。

シバタ: 北米展開、いいですよ。やりましょうか。

濱野: 絶対にヒットすると思う!

シバタ: ヒットしますね!

濱野: 1つ持っていって、「簡単にMRI撮れるよ。」っていう場所を作ってあげて、ウェブで予約できるようにする。そんな難しい話じゃなくて、機材とCRM作るというビジネスなので。

シバタ: 濱野さんCRM、得意ですもんね(笑)。


健康な受診者でも約1%の人が重大な疾患あり!?「予防医療」で命を救う

濱野: これまで、もう数十人以上の命を救っています。

シバタ: ちょっと待ってください。その話聞きたいですね。数十人以上救ってる、という話、もっと詳しく教えてください。

濱野: 頭だと動脈瘤というのが見つかっている人がいます。それ以外にも例えば、肺がんのリスクがある人が見つかったりとか、この間もアメリカの方に小さいのが見つかって、アメリカで手術してるんだけど、お礼のメールをいただきました。本当に、早期の早期で見つかって良かったとと思いました。

動脈瘤は、一番大きい人は20ミリ超の動脈瘤が見つかったこともありました。

40代の女性で6.4ミリの大きなものが見つかって、すぐに病院に紹介状書いて行っていただいて、結局先生に「このままだと破裂するよ。」って言われて、手術をしよういう話になったりというケースもありました。その女性は子どもがまだ7歳で、お母さん死ぬわけにもいかないですからね。

シバタ: いやいや、死んでいい人なんていないんですよね。ちなみに、こちらにいらっしゃる方は、自覚症状としては問題ない人しか来ないと思うのですが、受診者のうち何パーセントくらいの受診者の方に、クリティカルな疾患が見つかるのでしょうか?

濱野: 本当にすぐに対処が必要な疾患が見つかる人は、受診者の約1パーセント。小さな疾患は、約4割程度見つかります。

シバタ: ちょっと待ってください。1パーセントもクリティカルな疾患が見つかるんですか?この1パーセントの人は、手術などドラスティックな治療が必要な人ということですか?

濱野: そう。今、自分は仕事をしてて今まで一番良かったなと思うのは、やはり「ありがとう」って感謝されることだって本気で思っています。

シバタ: 疾患は小さい時に治しておいた方がいいに決まっているので、感謝したくなる人の気持ちもわかります。大きくなってから治すの大変だし、お金も掛かりますしね。


ズバリ!脳ドックは何歳から受診すべきか?

シバタ: 脳ドックは、何歳ぐらいになったら受けた方が良いのでしょうか?

濱野: 我々はなるべく若いうちから一度受診してみてください、という流れにしていきたいと思っています。

先日、21歳の方が来られて「なぜ来たのですか?」と聞いてみたら、「これから就職活動なんだけど、最近自分の能力が落ちているかもしれないので、ちょっと頭の中を見てみたい。」と言われました。

シバタ: 僕、今30代中盤なのですが、やはり毎年受けたほうが良いですか?

濱野: 初回の受診で何も問題なければ、2、3年に1回でいいと思います。

シバタ: 本当、そんなこと言っちゃっていいんですか(笑)?ビジネスにならないですよ。毎年受診した方がいいのは、何歳ぐらいからなんですか?

濱野: 50代ですね。でも、例えば動脈瘤などがあるなら、もっと若いタイミングから毎年受診をオススメします。

シバタ: 20分で受診できますからね。

濱野: コンセプトは、高度医療機器を、お金持ちだけの世界ではなく、全ての人たちに手軽な価格で提供していきたいと思っています。

シバタ: 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。


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「スマート脳ドック」の詳細はこちらのビデオをご覧ください。

脳ドックを受診しようかと思った方はオンラインで予約できます。(17,500円+税)

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