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米株取引アプリRobinhoodはなぜ取引を停止したのか?【決算が読めない素人投資家が投機的な投資をした結果とは?】

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


なぜRobinhoodが矢面に立っているのか?

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ーー(Risa)皆さん、こんにちは。Risaです。今回は、アメリカの政治・社会問題に急発展しつつあるゲームストップ株の乱高下、そしてRobinhoodなど証券会社による株の売買の規制のニュースについて解説いただきます。シバタさん、よろしくお願いいたします。

(シバタナオキ)このニュース、実はすごいことになっています。決算とは直接関係ないかもしれませんが、株式投資に興味がある方でこのYouTubeチャンネルを見ていただいている方もたくさんいますので取り上げたいと思います。

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ーーこちらは、人気の株取引アプリ運営会社のRobinhoodがソーシャルメディアの書き込みから高騰を招いた一部の銘柄の取引を制限し、政治の領域など各方面から物議を醸しているニュースです。

ーーそもそもRobinhood以外のチャールズ・シュワブやインタラクティブブローカーズなどの証券会社も、Robinhoodが規制をかけたゲームストップやAMCの株の購入に規制をかけているにもかからわらず、なぜここまでRobinhoodが矢面に立っていろいろと言われているのでしょうか?

このニュースについてご存じの方もいらっしゃると思いますが、まず皆さんに何が起こっているかというのを説明した方がいいと思います。

アメリカには2ちゃんねるのような掲示板サービスRedditというのがありまして、Redditに素人の個人投資家がたくさん集まってきて掲示板(スレッド)をつくって、そこで「この株を買おう」と言って、株価を操作すると言うと言い方が悪いのですが、みんなで少しずつお金を出して株を買うということをやっていたのです。

株を買う際、どのアプリで行ってもいいのですが、Robinhoodと言われる誰でもスマホだけで株が買えるというアメリカですごく人気のアプリがあり、そのアプリを使って比較的小さめの銘柄のゲームストップという会社の株を「みんなで買おう」と盛り上がって買っていたというのが背景です。

それ自体は別にそんなに問題ではありませんが、その掲示板が盛り上がり過ぎてヒートアップしていました。要は、個人投資家でお金をあまり持っていない人もたくさん来てしまい、いわゆる機関投資家やヘッジファンドに対して、「彼らは俺らの利益をむさぼっていて気に入らないから、みんなで力を合わせてやっつけよう」という感じになってしまったのです。

構図としては、個人投資家がヘッジファンドや機関投資家に対して戦いを挑むという、映画になりそうな盛り上がり方を見せていました。

昔であれば、株式投資は普通の人がやるものではなかったと思いますが、Robinhoodのようなアプリができたことで誰でも本当に簡単に少額で株を買えるようになり、たくさんの人が集まってそれなりのボリュームになってくると株価にかなり影響が出てくる状態になってしまいました。

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それを見ていた機関投資家が、今度はショート(空売り)をかけたり、いろいろなことをやり始めてヒートアップしてきてしまったのです。

信用取引も含めていろいろなことが起こり始めたため、Robinhoodがゲームストップなど特にボラティリティが大きい一部の銘柄の株を購入禁止にしたのです。売ることはできるけれども買えないようにしたということがあり、すごく問題になったというのが事の背景です。

Robinhoodだけが規制をかけたわけではありませんが、Robinhoodはいわゆる個人投資家を株式投資に引き込んだ代名詞のようになっているため矢面に立たされている状況です。

ーー確かに。少し言い方が悪いですが、私の周りの友人もRobinhoodでゲーム感覚のような感じで少額で株を始めた人が増えた印象はあります。

そうですね。Robinhoodだけでなく、最近のアメリカのユーザーフレンドリーな株式投資は1株でなくても買えます。例えば、この場合は1株が$250(約2万5,000円)ぐらいになっていると思いますが、$250(約2万5,000円)なくても、$20(約2,000円)で端数を買えるようになっています。

そのため、本当に少額で宝くじを買う感覚で株を買っている感じの人もいます。また、いろいろな人が入ってくるため余計に盛り上がる感じになっています。


特定の銘柄を取引制限したのはなぜか?

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ーー先ほどもありましたが、ゲームストップの他にも映画館を運営しているAMCやアメリカン航空エクスプレス等がターゲットにされている理由は何でしょうか。また、Robinhoodはなぜこの特定の銘柄に対して取引制限をかけているのでしょうか。

Robinhoodだけではないと思いますが、やはりボラティリティが大きいというのが一番の理由だと思います。元々ボリュームがそんなに大きくなく個人投資家が割と影響を及ぼしやすい銘柄で、かつ、ボラティリティが大きい銘柄に対して制限をかけました。

また、買うことはできないけれども、売ることはできるという、よく分からない制限になっており、いろいろ複雑ですが、なぜ取引制限をしないといけなかったかと言うと、証券会社の裏側の仕組みが関係しています。

実際に注文が入って売買が成立すると、通常は2日後までにクリアリングハウスにお金を振り込めばいいのです。クリアリングハウスというのはいわゆる決済をする機関で、ボラティリティが大きくなってくると証拠金を要求されます。

ーーきちんと払えるところを現金で見せなさいということですか。

はい。特に証券会社が信用取引を許可している場合、実際には証券会社の口座に1万円しかなくても、それよりも大きい金額の信用取引を許可している場合があります。そうすると、証券会社は手持ちのお金がないですよね。信用取引させる(レバレッジをかける)ということは、ユーザーにお金を貸している形になります。

その状況でクリアリングハウスから証拠金を要求されると、Robinhoodは手元にお金がありませんよね。今回、増資の話もありましたが、トランザクションの量に対して証拠金がきますので、増資で賄える金額ではないため、きつくなってきたのでしょう。

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上のスライドにあるように、Robinhoodの今回の追加調達額は$2.4B(約2,400億円)ですが、クリアリングハウスがRobinhoodに対して要求している証拠金は$33B(約3.3兆円)と言われています。調達額の10倍以上の額で足りませんよね。

それほどのお金を要求されているため、さすがにRobinhoodとしてはこれ以上うちはリスクを取れませんということで、証拠金が増えないような形に一部銘柄の取引を制限したというのが今回の経緯です。

ーーなるほど。では、Robinhood側からすれば、無茶な取引に対して制限をかけているのは、そんなに間違ったことをしているわけではないという認識でしょうか。

Robinhoodの自己防衛論理的にはそうですが、投資家からすると、ある日突然、自分が持っている株が追加で買えなくなります。そうなると、先ほどのグラフの通り、当然株価は落ちますので勘弁してくれという気持ちになると思います。

ーーそうですね。

はい。投資家保護という観点でいくと、当然ですが、あまり好ましくないと思います。


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