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Q. Netflixの株価が-30%超の大暴落、会員数減少に対する切り札とは?

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この記事はMihoさんとの共同制作です。

多くのサービスが乱立する動画配信サービス市場ですが、Netflixは自社制作のオリジナルコンテンツ「イカゲーム」の大ヒットや、人気作品のグッズ販売も始めるなどで他サービスとは一線を画していました。

しかし、Netflixの株価は2022年1Q(2022年1月-3月)の決算発表を受けて-30%以上も大暴落しました。有料会員数がマイナスに転じるのは過去10年間で初めてとなったことが大きな要因で市場は嫌気しました。

それまでは、コロナウイルス蔓延で人々の在宅時間が増え、Netflixの株価は上昇傾向でした。これは一時的なものとして終わってしまうのでしょうか?

今回は、Netfilxは有料会員数が減少する中で、どのような打開策があるのかという観点で詳しく見ていきます。


Netflixの株価が1日で37%下落

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上図は2022年4月19日のNetflixの決算発表前後の株価推移です。Netflixが引け後に決算発表したところ、時間外取引で2022年4月19日は20%以上の急落となり、翌日には1日で最大37%の大暴落となりました。

以下は決算発表後の終値の推移です。

2022年4月19日 $348.61
2022年4月20日 $226.19
2022年4月21日 $218.22
2022年4月22日 $215.52
2022年4月25日 $209.91

さらにその後も下落傾向にあり、2022年4月25日の終値は$209.91まで下がっています。終値でいうと2018年1月5日の$209.99と同水準程度まで落ちています。

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終値ベースで最高値をつけたのは2021年10月29日で、$690.31でした。つまり最高値と比べると、現在の株価は約70%もの下落率です。時価総額にすると、当時は$300B(約30兆円)でしたが、現在は$99B(約9.9兆円)となりました。

Netflixはコロナウイルスによって人々の在宅時間が増えたことで成長が加速していましたが、株価はそれ以前の水準の評価まで一気に戻ってしまったことになります。

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上図はFAANG(Facebook, Amazon, Apple, Netflix, Googleの総称)の株価推移です。

株価でFAANGを比較すると、上昇傾向なのは黒色のAppleのみで、黄色のAmazonと緑色のGoogleはやや停滞しているように見えます。

赤のNetflixと青のFacebookは下降傾向です。なかでもNetflix以外の4社はGAFAと呼ばれ、以前からアメリカの大手テック企業として君臨していましたが、Netflixは直近5年間で+400%近くと急上昇していただけに、落差が大きいです。

ここまでNetflixの株価トレンドを見てきましたが、次に株価暴落の背景を深掘りしていきます。


株価下落の要因: 会員数の減少

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多くのメディアで報じられていますが、今回の株価急落は「有料会員数が減少したこと」が最も大きな要因だと考えられます。

2022年12月期1Q(2022年1月-3月)の四半期売上高は$7.8B(約7,800億円)で過去最高となっています。

しかし、有料会員数がこれまで右肩上がりで成長していたものの、21年4Q:2億2,180万人→2億2,160万人と、前期より20万人減少に転じたことで市場が嫌気しました。

Netflixは前決算発表で2022年12月期1Q末の有料会員数を2億5,000万人と予想していたため、この乖離は大きかったといえます。

ちなみに、有料会員数が予想を下回ったのは今回が初めてではありません。2021年12月期4Q(2021年10月-12月)は850万人の増加と予想していたのに対して、828万人の増加に止まり、その際も株価が一時-20%下落していました。


地域別で見ると、アジアのみ唯一上昇

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上図はNetflixの地域別の業績です。地域別の有料会員数を見ると、

・増加傾向:APAC(アジア太平洋)
・横ばい:UCAN(アメリカ・カナダ)、EMEA(ヨーロッパ・中東・アフリカ)、LATAM(ラテンアメリカ)

となっています。

今回過去10年間で初めて有料会員数が減少傾向となった背景として、UCANは2021年12月期2Q(2021年4月-6月)でも減少となっていたため頭打ちの予兆がありましたが、加えてEMEAとLATAMも減少に転じたことが影響しています。

NetflixにとってAPACは成長地域で、重要性が高まっていると言えるでしょう。


ロシア・ウクライナ戦争の影響は?

ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、Netflixはロシアでのサービスを停止しました。この影響について、Netflixは以下のようなコメントをしています。

NETFLIX, INC. FORM 8-K

The suspension of our service in Russia and winding-down of all Russian paid memberships resulted in a -0.7m impact on paid net adds; excluding this impact, paid net additions totaled +0.5m.
(ロシアでのサービス停止およびロシアの全有料会員権の解約による有料会員数への影響は-70万人、この影響を除くと有料会員数は+50万人です。)

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上図はロシアアカウントの停止による影響を排除した有料会員数の推移です。有料会員数はわずかに純増となっています。しかし前述の通り、予想では2億5,000万人としていたため、下振れしていることに変わりはなく、Netflixは現状苦戦しています。

In EMEA (-0.3M paid net adds, or +0.4m excluding the Russia impact), we saw a slowdown in our business in Central and Eastern Europe in March, coinciding with Russia’s invasion of Ukraine.
(EMEA(有料会員数:-30万人、ロシアの影響を除くと+40万人)では、ロシアのウクライナ侵攻と同時に、3月に中・東欧でのビジネスが減速しました。)

ちなみに中央ヨーロッパ、東ヨーロッパのユーザーにも戦争による影響が出ているようです。


メンバーシップ料金引き上げによる効果

では、UCANやLATAMでは何故ユーザーのNetflix離れが起きているのでしょうか。Netflixは以下のように説明しています。

UCAN paid net adds of -0.6M was largely the result of our price change which is tracking in-line with our expectations and is significantly revenue positive.
(UCANの有料会員数は-60万人で、これは主に価格変更の影響によるもので、予想通り推移しており、大幅な増収となりました。)

UCANでは用意されているベーシック、スタンダード、プレミアムの3プランそれぞれが$1〜$2の値上げを実施しています。有料会員数は減少しているものの、ユーザー単価が上がったことによって、UCANは売上ベースでは増収となっています。

Paid net additions in LATAM totaled -0.4M; similar to recent quarters, we believe a combination of forces including macroeconomic weakness and our price changes (F/X neutral ARM grew 20% year over year) were a drag on our membership growth.
(LATAMの有料会員数は-40万人で、最近の四半期と同様、マクロ経済の低迷と当社の価格改定(F/XニュートラルARMは前年同期比20%増)が会員数の伸びの足を引っ張っりました。)

LATAMは、各プランの値上げに加えて、経済の低迷が影響しているという説明がされています。たしかに新興国はコロナウイルスのワクチン接種率の低迷などで、引き続き先進国ほどの経済回復は実現されていません。

世界銀行の発表によると、ラテンアメリカ・カリブ海地域の2022年の経済成長率見通しは2.6%で、コロナウイルスの影響回復が大きかった2021年の6.7%から大きく減速するとされています。
一方、アメリカや中国、ユーロ圏などはより高い成長見通しが発表されています。

こうしたマクロの経済トレンドも、Netflixの有料会員数の伸びに多少なりとも影響を与えている可能性はあるでしょう。


ここまで、Netflix決算発表後の株価推移、各地域別の要因を見てきました。

記事の後半では、Netflixの有料会員数の減少に対する打開策は何か詳しく見ていきます。

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