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老舗FintechのPayPalが前年同期比26%で成長するワケ

Fintechの企業としてはかなり古株である、個人間決済のPayPalの2017年4月から6月期の決算が発表になりました。

*PayPal Q2-17 Investor Update(2017/7/26)

2017年4月ー6月の四半期の売上高はYoY+20%の$3.14B(約3,140億円)、Non-GAAP EPS(非米国会計基準の一株当たり利益)はYoY+27%の$0.46(約46円)、フリーキャッシュフローはYoY+51%の$0.7B(700億円)となりました。

GoogleやAmazon、Facebookも然りですが、PayPalもこれだけ大きな規模になっているにもかかわらず、非常に高い成長率を見せています。


取扱高がYoY+26%で成長。成長しているセグメントは?

PayPalのビジネスは主に決済を扱うビジネスなので、最も重要なKPIを一つ挙げろと言われれば「取扱高」になります。

その取扱高ですが、四半期あたり$106B(約10.6兆円)を超え、コンスタントカレンシーベース(前年同期の為替レートを適用した場合)で前年同期比がプラスの26%と非常に高い成長率になっています。

なかでもユーザーと店舗をつなぐ決済が全体の86%を占めており、前年同期比+30%で成長しています。

スマートフォンの取扱高も全体の34%を占めるまでになり、前年同期比で50%の成長となっています。

ユーザー同士(P2P)の個人間決済は全体の取扱高の約21%を占めます。この個人間決済のうち、2013年にグループ化した「Venmo」の取扱高が前年同期比+103%で$8B(約8,000億円)に到達しました。

Venmoは2009年に設立されたスタートアップ企業。2012年にBraintreeという決済関連企業に買収され、翌2013年にPayPalがBraintreeを買収したため、現在はPayPalの傘下。P2Pの金融サービス企業としていわゆる「個人間送金」を提供しています。基本的に送金などの手数料は無料。イベントに参加費を支払ったり、飲み会で割り勘をしたことなどがFacebookやTwitterでシェアできる機能が若者に人気で、このような情報をやり取りするプラットフォーム的な側面もあるサービス。一般的にPayPalは30代以上のPCでの利用者が多く、Venmoは20代以下に人気がありモバイルでの利用が中心。若者の間では、「I’ll Venmo you」(送金しておくよ)というふうに動詞として使われるほど浸透している。


ユーザー数・店舗数ともに成長。1ユーザーあたりの月間取引回数は?

次にユーザー数と店舗数を見てみます。

ユーザー数は前年同期比+12%で2億1,000万ユーザーになりました。店舗数はアクティブな店舗数で1,700万店舗とこちらも非常に大きな数値になっています。

1ユーザーあたりの取引回数ですが、四半期当たり32.3回とこちらも前年同期+10%の成長になっています。

四半期当たり32.3回と言うことは、およそ3日に一度はPayPalのサービスで何らかの取引をしているという頻度になります。お金の取引を扱うサービスで3日に一度も利用されているというのはおそらく他に例がないのではないでしょうか。

PayPalのビジネス自体は約20年ほど前から存在する古いもので、ビジネスモデル自体も非常にシンプルです。そんなPayPalが四半期当たりの取扱高が1兆円を超えても、まだ前年同期比+20%以上のペースで成長しているわけですが、一体どんな戦略でこの高い成長率を維持しているのでしょうか?

今日は決算資料から高い成長率の理由を少し探ってみたいと思います。


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