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売上4.5倍と絶好調のZoom: 今後M&Aを仕掛けるとしたらどんな会社を買収する?

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


Zoom 2021年度第4四半期決算の印象は?

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ーー(伊佐山真里)皆さん、こんにちは。今回はZoomの2021年度第4四半期の決算書をシバタさんと読んでいきたいと思います。シバタさん、よろしくお願いします。

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ーーZoomはコロナで最も追い風を受けた企業といっても過言ではないと思います。早速、結果を見てみたいと思います。

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ーー売上は$882M(約882億円)でYoY+369%、Non-GAAPの営業利益は$360.9M(約360.9億円)でYoY+839%と約10倍の成長という結果でした。コロナ前も順調に成長していましたが、2021年度の3期連続で売上がYoY+350%超になっているのはとてつもない数字だと思いました。シバタさんの今回の印象はいかがでしたか?

(シバタナオキ)売上が前年同期比で約4.7倍、営業利益率も50%には届きませんでしたが40%程度と、コロナの追い風ももちろんあると思いますが、本当に凄まじいの一言です。なかなか、上場した後にこういう感じで売上の傾きが右肩上がりに加速度的に上がっていくというのはあまり見れる光景ではありません。このグラフの通り、歴史的な急成長です。

サービスもほとんど落ちていないですし、そういう意味も含めてこれだけのグロースをハンドルできるのは中の人たちもすごいと思いますし、かなり強烈だなというのが今回の決算の印象です。


中小企業からの売上シェアが大きくなっているのは良い傾向?

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ーー売上の伸びに関しては80%の伸びが新規顧客からの売上から来ていると今回発表されていました。新規顧客の伸びについても中身を見ていきます。まずは1年間で$100K(約1,000万円)以上の売上がある大企業(上図)は企業数が前年同期比で約2.5倍以上増えて1,644となっています。

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ーー上図の左を見ると、従業員が10名以上の顧客は前年度から5倍以上伸びて46万7,100社となっています。さらに面白いのが右の図で、10名以上の顧客がこんなに伸びているにもかかわらず、10名以下の顧客からの売上シェアが前年同期の20%から今期は37%に増えており、個人経営や中小企業からの売上がかなり加速していました。

ーー中小企業は大企業よりも解約率が高いイメージもありますが、中小企業からの売上シェアが大きく伸びている点について良い傾向なのか、どのように解釈すべきか教えてください。

まず1つ前の図は大企業からの売上です、年間でZoomに$100K(約1,000万円)以上払っているお客さんが今1,644社あり、ここが+156%で伸びています。次の図は従業員が10人以上の会社からの売上は前年同期比で5.7倍(+470%)で全体よりも速く伸びており、大企業よりもかなり速く伸びています。

さらに右側を見ると、従業員が10名以下のセグメント(緑色の部分)はもっと速く伸びています。一言で言うと、中小企業、規模が小さい会社からの売上がはるかに速く伸びていると言えます。

これは基本的にセルフサーブでこのプロダクトが売れている証拠です。いちいち営業マンを投下して売っているのではなく、勝手に口コミで広まりみんなが勝手に無料版を使い始めて、Zoomの社員が寝ている間に勝手に売上が増えていく形になっています。

これは非常に良い傾向で、セルフサーブで売れるSaaSのプロダクトはなかなかありません。営業マンを投下せずに売れているのは本当に素晴らしいことです。顧客獲得コストが圧倒的に小さくなるため、SaaSとしてはすごく良い傾向です。

一方で敢えてネガティブに見ると、先ほどのエンタープライズ(大企業)からの売上が中小企業からの売上ほど伸びていないのは、一言で言うと営業が追い付いていないということです。新しく優良顧客になった人に本当は1件ずつ営業して「もっとたくさん買いませんか」と言いたいのですが、それがまだうまくできていないという証拠でもあります。逆に言うと、そこは今後の伸びしろかなとも思います。

中小企業の解約率が高いイメージはその通りの場合も結構多いです。ただ、コロナ禍の今は中小企業の人ほどZoomがないと困るという状況になっていますので、解約率に関してはZoomはあまり心配しなくて良いと個人的には思います。

ーーなるほど!今後は大企業からのアップセルにかなり伸びしろが期待できそうですね。

そうですね。そこをうまくちゃんとアップセルできるかどうかが今後のポイントの1つになると思います。


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・企業にとってZoom Phoneを使う利点はどこにある?
・10月を境に株価が下がり続けている理由は?
・1月のタイミングでの公募増資は何が目的だった?
・今後、他の企業を買収する可能性はある?
・ビジネス用カレンダーではGoogleなどの大企業が競合になるがシェアは取れる?
・2022年度の成長で特に鍵になるポイントは?
・コロナ後もZoomは使われ続ける?
・まとめ

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